インフルエンザ予防接種
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接種期間:令和4年 10月1日~令和5年1月末
接種対象者:6ヶ月以上の方
特に、高齢の方
慢性疾患に罹患している方
虚弱な方
受験や就職を控えている人
(卵アレルギーの方は要注意)
費用:65歳以上(東大阪在住)の高齢者
60~65歳の方で心臓等の機能障害により日常生活が、
極度に制限される程度の障害を有する者 無料
生活保護の方 (65才以上) 無料
その他の方は 3500円
13才以下の方は原則2回、1回3500円で合計2回7000円
13才以上の方は原則1回のみです
(医)岡本医院
新型コロナ既感染者、1年後の抗体保有状況は?/横浜市立大
横浜市立大学の山中 竹春氏(学術院医学群 臨床統計学)率いる研究グループは、「新型コロナウイルス感染12ヵ月後における従来株および変異株に対する抗ウイルス抗体および中和抗体の保有率に関する調査」の記者会見を5月20日に開催。回復者のほとんどが6ヵ月後、12ヵ月後も従来株に対する抗ウイルス抗体および中和抗体を保有していたことを報告した。
調査概要と結果
本調査は同大学が開発した「hiVNTシステム」を用いて、新型コロナウイルス感染症からの回復者(2020年2~4月に自然感染した既感染者で、研究への参加同意を取得)約250例を追跡した国内最大規模の研究である。2021年3月末までの期間に採血・データ解析を行い、感染から6ヵ月後と12ヵ月後の抗ウイルス抗体と中和抗体の保有率を確認した。従来株(D614G)ならびに変異株4種[イギリス株(B.1.1.7)、ブラジル株(P.1)、南アフリカ株(B.1.351)、インド株(B.1.617)]を調査した。中和抗体の測定はシュードウイルス法*を用いて行われた。
*SARS-CoV-2スパイクを持つ偽ウイルスを用いてLuciferase活性を定量する方法で、危険性が低く、短期間で検出が可能。
主な結果は以下のとおり。
・参加者250例の平均年齢は51歳(範囲:21~78歳)だった。
・重症度別の内訳は、軽症・無症状は72.8%(182例)、中等症は19.6%(49例)、重症は7.6%(19例)だった。
・従来株に対する6ヵ月後の中和抗体の陽性率は98%(245/250例)、12ヵ月後では97%(242/250例)だった。
・自然感染から6ヵ月後と12ヵ月後の参加者の中和抗体陽性率は重症度別では、軽症・無症状(97%、96%)、中等症(100%、100%)、重症(100%、100%)で、中和抗体の量は6ヵ月から12ヵ月で大きく低下しなかった。
・変異株の中和抗体の保有率はいずれの時点でも従来株に比べ低下傾向だったものの、多くの人が検出可能な量の中和抗体を有していた[イギリス株(6ヵ月:88.4%、12ヶ月:84.4%)、ブラジル株(同:85.6%、同:81.6%)、南アフリカ株(同:75.2%、同:74.8%)、インド株(同:80.4%、同:75.2%)]。
・変異株の場合は軽症・無症状者の抗体保有率が低く、南アフリカ株やインド株の抗体保有率は70%前後だった。
また、山中氏はモデルナ製ワクチンの海外データ1)を踏まえ「ワクチン接種を行うことで自然感染と同様の中和抗体が残っている可能性が示唆されている。自然感染者よりワクチン接種者のほうが効率よく中和抗体を上げることができるので、1年後に再接種し免疫強化を図るのが良いのでは」とも見解を述べた。
ファイザー製ワクチン、感染方向率の低下は接種後何日から?/感染研
ファイザー製の新型コロナワクチンBNT162b2は国内では2021年2月12日に薬事承認され、2月17日から医療従事者を対象とした先行接種が開始となった。国立感染症研 究所は、先のワクチンの臨床的効果を敏速に評価するため、既存のサーベイランスデータ を用いた仮想コホ-トを構成し、1回目接種後のCOVID-19報告率の変化を検討した( 追跡期間は2021年4月30日まで).その結果、報告率は、1回目接種日から12日前 後を境に低下する傾向がみられ、接種後0~13日の報告李と比較すると、14~20日」で 0,42倍、21~27日で0,39倍、28以降で0,14倍であった。イスラエルで行われた先行研 究では、1回目接種後から2回目接種までのきかんののCOVID-19報告の抑制効果(VE)は 46~60%と奉公されており、本結果はそれと同等である可能性があるという。
本研究では、ワクチン接種円活化システム(V=SYS)と新型コロナウイルス感染者等情 報把握・管理支援システム(HER=SYS)のデータを用いて分析を行った。V-SYSのワク チン接種実績記録からワクチン被接種者の仮總コホータを構成し、HER=SYSのワクチン 接種歴が記憶されたCOVID-19患者のデータを、1回目のワクチン接種日と地道府県に 元図いて突合した。
解析対象は、医療従事者への先行接種が開始された2021年2月17日から高齢者への接種 開始前の4月11日までの期間に、新型」コロナワクチン少なくとも1回接種した医療受持者 とした.主要評価項目は、報告されたCOVDID-19症例の診断日で、副次評価項目は報報告 時無症状例の診断日。 主な結果は以下の通り。
・観察期間中、医療従事者110万1,698人に対し1回目の新型コロナワクチン接種が実施され、このうち4月30日時点で2回目の接種終了者は104万2,998人(94.7%)だった。
・4月30日までにHER-SYSに登録され、少なくとも1回のワクチン接種歴が記録されているCOVID-19症例は282例だった。
・発症日がワクチン接種前だった1例を除く281例中、ワクチン接種後28日以内に診断された症例は256例(91.1%)だった。症例は、女性および20~40歳代が約7割を占めていた。
・2回目の接種後に診断された症例は全体の16.7%で、このうち報告時無症状例が占める割合は40.7%、1回目接種後に診断された症例に占める報告時無症状例の割合(20.0%)より高い傾向にあった。
・COVID-19報告率は、接種後0~13日が1.26/10万人日、14~20日が0.53/10万人日、21~27日が0.49 /10万人日、28日以降が0.18/10万人日だった。
・接種後0~13日の報告率と比較した報告率比は、14~20日が0.42倍(95%CI:0.30~0.59)、21~27日が0.39倍(95%CI:0.27~0.56)、28日以降が0.14倍(95%CI:0.09~0.21)だった。報告時有症状例に比べ、報告時無症状例の報告率は全期間において低かった。
食物アレルギー持ちの子の母乳育児はどうすべきか
食物アレルギーをもつ子どもを母乳で育てている母親は、自身の食生活を変えるべきか どうかについて、しばしば医師から相反するアドバイスを受けていることが明らかにされ た。米Scripps Health のアレルギー専門医であるHannah Wangberg氏らによるこの研 究の詳細は「Annals of Allergy、Asthma and Immunologyl に2月23日は発表された 。
Wangberg氏らは、即時型食物アレギー(IgE 依存型、アレルゲンとなる食品の接種後巣 時間以内に症状が現れる)を持つ子供を母乳で育てている母親に対して、インターネット上 で調査を実施、簿に有意くじについて医療従事者から受けたアドバイスや自身が実践して いることなどについて回答を得た。
調査を完了した母親は133人であった。このうち、43,4%は食事制限なしで母乳育 児を続けるように、17,3%は母乳育児中に子どもがアレルギー反応を示すし食物を避 けるようにアドバイスされた。そのー方で、28,6%は食事に関する指導をなにも受け なかった。また、19人い3人近く(30,3%)は、母乳育児中に摂取する食物について 、医療従事者から相反するアドバイスを受けていや、ただし、子どもの食物アレルギーを 事由に母乳育児を断念するように勧められた母親は1人もいなかった。
12%(16/133人)の母親は,子供が母乳に対してアレルギー反応を示したと回答し た。 しかし、その大半は(75%)は、アレルギ―専門医により、即時型アレルギーである可 能性は低いと評価されていた。
89.4%の母親は、子どもが食物アレルギーの診断を受けた後も母乳育児を続けてい た。 そのうち、46.6%の母親は子どもがアレルギー反応を示す食物を週に1回以上の頻度 で、25.4%の母親は週に1回未満の頻度で接収しながら、粉乳の仕方を変えることな く母乳育児を続けていた。
米国アレルギー・喘息および免疫学会(ACAA!)の Jay Lieberman氏は、「この 問題に関しては、利用可能な質の良いデータが少ないため、指導内容にも統一が取れてい ない。今回の調査で明らかにされたような混乱が生じる事由の一部も、このことによるも のだろう。とはいえ、子どもがアレルギー反応を示す食物を母親が食べたことよって、子 どもにアレルギー反応を示すエビデンスはほとんどない」と話す。そのうえで同氏は、「私は 母乳育児中の母親に、子どもに症物アレルギーガあってもても、好きなものを食べ続けな がら授乳するようにアドバイスしていら。しかし、子どものアレルゲンを避けることでは はおやが精神的に楽になるなら、そうすればよいと思う、いずれにしろ母乳育児はつずけ るべきだ」とつけくわえている。
対策が徹底された病院のCOVID-19感染リスクは高くないー国立国際医療センター
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が進められているが、集団免疫が得られるまでは、感染防御対策の継続が求められる。一方でパンデミック以来、医療機関での感染リスク回避のために患者の受診抑制が起きているルことが懸念されている。では、医療機関内は本当にCOVID-19感染リスクが高いのだろうか。
国内のCOVID-19発生初期から多数の患者を受け入れてきた国立国際研究ンタ ー(NCMG)の田中暁人副臨床検査技師長らが「Jourmal infection」に1月28日報告 したデータによると、必ずしも医療機関での感染リスクが高いといえないようだ。昨年7 月時点で、同センター(NCGM)の田中暁人副臨床検査技師長らが 「Journal of infectionに1月28日報告したデータによると、必ずしも医療機関での感染リスクが高いとはいえないようだ。昨年7月時点で、同センター職員の新型コロナウイルス抗体陽性率は、一般住民よりもむしろ低いレベルだったという。調査を統括した大曲貴夫国際感染症センター長は、『適切な院内感染対策により医療従事者の感染リスクを大幅に低減できることを支持するデータが得られた』と述べるとともに、同センターが佐寿帝し公開している院内感染対策マニュアルの利活用を医療機関に呼び掛けている。
この調査は、同センター職員のうち主としてCOVID-19関連従事者を対象に参加を募り 、同意が得られた1228人(参加率78%)を対象に行われた。平均年齢36+-11歳で 71%が女性であり看護師が49%、医師19%、その他の医療専門職14%、事務・管理 職10%。850人(69%)はCOVID-19に関する業務を行ったことがあり、その4割 (343人)は感染リスクの高い業務に従事していた。
調査では、アボット社とロシュ社の定性試薬を用いて血中IgG抗体を測定した。いずれ かの試薬げ陽性と判定されたのは2人のみであで、抗体陽性率は0,16%であった。こ の値はほぼ同じ時期【同年6月】に東京で行われた住民調査のデータを基に、同じ定義で 算出した0.41%よりも低かった。陽性者はいずれも業務上、COVID-19患者とのか かわりはなかつた。 国内の感染症治療の基幹病院として、同センターは患者の受け入りだけでなく、チャー タ機で中国・武漢から帰国した人の検診、ダイヤモンゴ・プリンセス号の医療支援。人用 保護具の適切な使用、頻回の手洗う、全員が常時マスクをする(ユニバーサルマスキング )、訪問者の制限や来院時の体温チエック、出金前の検温といった院内感染を防ぐ包括的 な対策を流行初期から導入してきた。
他方、国内患者数が最多である東京、その中で大規模な繁華街・歓楽街を擁する 新宿にある同センター病院の職員は、普段の生活においても感染に直面している。院内感 染管理室の杉本裕子副看護室長は、流行状凶に応じて日常生活上の予防行動の要点をまと め、ことわざ(例えば「千丈の堤も蟻の穴を以ってついゆ」「浅い川も深く渡れ」など を添えて毎週、職員に周知している。著者らは、こうした取り組みが職員の予防意識を高 め、行動変容を促し、感染を抑えている、 これらの経験をもとに同センターでは、「NCGMNにおいてCOVID-19院内感染対策マニ アル」を策定して、外部に発信している。内容は類似改訂されており、最新版は 3月10日改訂されており、最新版は3月10日改訂バージョン42.同院のサイトから自由に アクセス可能だ。
AZ製コロナワクチン、米国第111相試験の主要解析で安全性・有効性を確認
アストラゼネカ英国本社は3月25日発信のプレスリリースで、新型コロナウイルス感染 症(COVID-19)ワクチンAZD1222の米国における第|||相試験の主要解析に おいて、安全性と有効性が確認されたと発表した。事前に規定された統計解析計画では、 中間解析で少なくとも75例、主要解析では少なくとも150例の判定症例が必要であった が、両解析におけるワクチンの有効性は一致しており、結果に齟齬はなかった。
AZD1222をめぐっては、日本を含む各国で臨床試験が進行中。このうち米国第 III相試験(D8110C00001)は、健康な、もしくは医学的に安定した慢 性疾患を有し、SARS-COV-2やCOVID-19曝露のリスクが高い18歳以上の成人3万 2449例の被験者を対象に、米国、ペルー、チリの88の治験施設で実施。本主要解析 には、全被験者のうち190例の症候性COVID―T9症例が含まれており、中間解析から 49例増加していた。被検者はワクチン郡とプラセボ群に2:1で無作為に割り付けられ た。本試験の主要評価項目である症候性COVID-19発症予防に対するワクチンの有効性 は、4週間隔で2回接種後、15日以降において、76%(信頼股間 {CI}:68%~82%)だった。
また、すべての年齢集団における結果も同程度で、65歳以上におけるワクチンの 有効性は85%(CI:8%~95%9)だつた。副次評価項目である重症・致死性な疾患、 および入院予坊」に対する有効性は100%であった。本主要解析において、8例の COVID-19重症例化がみられたが、いずれもプラセボ群だった。ワクチンの忍容性は良 好で、安全性上の懸念は判定されなかった。 アストラゼネカは、本主要解析を基に、今後数週間のうちに米国食品医薬品局 (FDA)に対し、COVID-19ワクチンとしての緊急使用許可申請を行う。
新型コロナの家族内感染、20歳未満は感染しにくいが゙感染させやすい
新型コロナウイル感染の調査から、20歳未満の若年者は高齢者より感染しにくいが、中 国・武漢疾病予防管理センターFang Li氏らの後ろむき研究で示唆された また感染力は 、症状発現まえの感染者、症状発現後の感染者、無症状のままだった感染者の順で高かっ た。Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2021年1月19日号に掲載。
本研究は、2019年12月2日~2020年4月18日に検索もしくは臨床的に確認された COVDI-19症例と、検査で確認された無症状の感染者の家族内感染について、後ろ向きに 調査したコホート研究。本研究での家族内感染とは、家族および必ずしも同居していなか った近親者も含めたものとし、共通接点を共有する家庭は疫学的な関連があるとみなした 。統計学的伝達モデルを用いて家族内2次感染率を推定し、他者への感染力と感染感受性 に関連する危険因子を定量化した。さらに介入政策による家族内感染への影響も調べた。
主な結果は以下のとおり
・1次感染者2万7101例世帯と家族内接触者5万7,581人を特定した。
・平均潜伏期間を5日、最大潜伏期間を22日と仮定した場合、推定される2次発病りつ は15.6%(95%信頼区間「CI」:15.2~16.0)であった。
・60歳以上は他の年齢層よりも感染リスクが高かった。
・0~1歳では、2~5歳(オツズ比 {OR}:2.20、95%CI:1.40~3.44)および6~12歳 (0R:1.53、95%CI:1.01~2.34)に比べて感染リスクが高かった。
・曝露時観が同じ場合、20歳未満の若年者は60歳症状以上よりも多者に移すリスクが 高かった(OR:1.58、95%Cl:0.14~0.31)
・無症状のままだった感染者は症状のある感染者より他者にうつすリスクが低かった (R:OR:0.21,95%CI:0.14~0.31)。
・症状が発現した感染者では、症状発現前の方が発現後よりも他者にリスクがたかかった (OR:1.42、95%CI:1.28~1.95
・軽症患者の多く。移動制限・が自宅で隔離されていた2020年1月24日~2月10 日は、1月24日以前」とほぼ変わらなかった」。しかし、感染者の集団隔離
・家族内接 触者からの隔離・移動制限が実施された2月11日以降、家族内再生産数は1次感染では 0,25(95%Cl:0。24~0.26)から0.12(同:0.10~0.13) と52%減少し、2次感染では0.17(同:0.16~0.18)から0.063(同 :0.057~0.070)と63%減少した。
著者らは、〈子供が感染すると家族に感染させるリスクがあるため、学校再開を決定す る際〉は子共たちの高い感染力を慎重に検討する必要がある。また、乳児の感染しやすさ を考えると保護者へのワクチンの接種が優先されるべき」としている。
新型コロナ、5割以上が無症状感染者から感染/CDC推定
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に、どのくらい無症状の感染者 が関与しているのだろうか。米国疾病管理予防センター(CDC)の Michael A。Johansson氏らが、無症状の感染者からの感染割合について決定分析モデル を用いて検討した結果、全感染の半分以上を占めることが示唆された 。JANA NETWORK OPEN 誌2021年1月7日号に掲載。
CDCではこの決定分析モデルを用いて、症状が発現しないままの人からの感染割合と感 染期間を変化させた複数のシナリオについて、症状発現前の人、症状が発現しないままの 人、症状のある人からの感染の相対量を検討した。すべての推定において、潜伏期間はメ タ解析のデータより中央値を5日間として設定した。感染期間は10日間とし、感染のピー クは3~7日で変化させた(潜伏期間中央値のー2~+2日)。全体的なSARS―COV-2の の割合は、可能な割合で幅広く評価するために0~70%で変化させた。主要アウトカム は、症状発現前の人、症状が発現しないままの人、症状のある人からのSARS-COV-2の 感染とした。
このモデルのベースラインは、感染のピークが症状発現中央値で、感染者の30%が症 状を発現せず、その相対感染率は症状発現者の75%であると仮定した。これらのベース ラインの仮定を総合すると、症状が発現しないままの感染者による感染が全感染の約約 24%を占める可能性が示さる。この基本のケースでは、全感染のうち59%が無症状の 感染者からの感染で、35%が症状発現前の人からの感染、24%が症状が発減しないま まのひとからの感染だった」。これらの仮定において、それぞれ広い範囲で変化させて推 定すると、新規感染の50%以上が無症状の感染者への曝露によると推定された。
著者ら、「感染拡大を効果的に制御するには、症状のある感染者の特定と隔離に加えて 、塗症状の感染者からの特定と隔離に加えて、無症状の感染者からの感染リスクを減らす 必要である。この結果は、安全で効果的なワクチンが利用可能になり広く使用されるまで 、マスクの着用、手指衛生、ソーシヤルデスタンス、具合の悪い人以外への戦略的検査と いった対対策が、COVID-19の拡大を減らせるための基礎となることを示唆してい る」と考察している。
新型コロナ、トイレでの感染リスクは?
中国・江蘇省疾病予防センターの研究者らが新型コロナウイルス感染症(COVDI-19) 患者専用病院内のトイレとトイレ以外での新型コロナウイルス(SARS-COV-2)の検出状況 を調査するため、環境サンプリングを収集し、環境要因を分析した。
その結果 、SARS-COV-2陽性を示した4点のサンプルはすべて患者トイレに関連するもので、病棟 のドアハンドル、便座カバー、バスルームのドアハンドルから検出された 。Sciense of The Total Environment誌2021年1月20日号掲載の報告。
研究者らはCOVID―19データとして気流及びCO2濃度の測定を実施。表面サン プルを107点(隔離室のトイレ:37点、院内隔離室のトイレ以外:34点、院内隔離 室外のトイレ以外の表面:36点)、空気サンプルを46点、隔離室(1ヘア³3ベット)内 外の呼気凝縮液サンプルと呼気サンプル」を2点ずつ収集し分析した。
主な結果は以下のとおり。
・陽性を示したサンプル4点のうち、3点は弱い陽性で、便座、洗面台のタップレバー、バ スルームの天井排気ルーパ―から収取したものだった。
・空気サンプル46点のうち、廊下から収取された1点は世や胃陽性だった。
・呼気凝縮液サンプル2点と呼気サンプル2点はすべて陰性だった。
・患者が使用したトイレのエアロゾル(糞便由来)には院内で検出された SARS-COV-2のほとんどが含まれていた。
新型コロナ抗体陽性者、6カ月は再感染リスクが低下
抗スパイク抗体または抗ヌクレオカプシドIgG抗体の存在は、以後6カ月間の重症急性 呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-C0V-2)再感染のリスクを大幅に低下することが示さ れた。英国・オックスフオード大学病院のSheira F・Lumley氏らが、英国の医療従事者 を対象にSARS-CPV-2抗体の有無と感染発生率を調査した前向き縦断コーホート研究の結 果を報告した。これまで小規模な研究では、中和抗体が感染予防と関連する可能性が示唆 されていたが、SARS-COV-2抗体とその後の再感染リスクとの関連については不明であ つた。NEJM誌オンライン版2020年12月23日号掲載の報告。 英国の医療従事者約1万2,500例対象に、抗体の有無とその後の感染率を調査
研究グループは、英国のオックスフオドー大学病院における無症候性/症候性スタッフ検 査に参加し血清反応が陽性/陰性の医療従事者を対象に、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に より確定されたSARS-Cov-2感染の発生率を調査した。
被験者のベースラインでの抗体有無を、抗スパイク抗体(スパイク蛋白に対する抗体 )(主要解析)および抗ヌクレオカプシドIgG抗体(ヌクレオカプシド蛋白に対する抗体 )解析により確定し、最長31週間追跡した。また、PCR検査陽性と新規症候性感染の相 対発生率を、年齢・性別・発生率の経時変化で補正を行い、抗体の有無別に推定した。
合計1万2,541例の医療従事者が抗スパイクIg抗体の測定を受けた。抗体陰性者は 1万1364例、抗体陽性者は1265例(追跡調査中に抗体陽性が生じた88例を含む )であった。 抗体陽性者の抗体陰性者に対する補正後発生率比0.11 血清抗スパイク抗体陰性でPCR検査陽性となったのは223例(リスク期間内1万日当 たり1,09)で、スクリーニング中に無症状が100例、有症状が123例であった。 一方、血清抗スパイク抗体陽性でPCR検査陽性となったのは2例(リスク機関1万日当た り0.13)で、2例とも検査時は無症状であつた(補正後発生率比:0,11、95% 信頼区間{CI}:0.93~0.44、P=0.002)。
抗スパイク抗体陽性者において、症候性の感染は確認されなかった。
発生率比は、ベースラインの抗体有無を、抗ヌクレオカプシドIgG抗体検査単族で判 定した場合、または抗スパイクIgG抗体検査を併用した場合で変わらなかった。 なお、著者は、「主に65歳以下の健康な医療従事者が対象であり、調査機関が短期で 、一部の医療従事者は退職により追跡できなかった」ことなどを研究の限界として挙げた うえ、「小児。高齢者、免疫低下を含む併存疾患を有する患者など他の集団における感染 後の免疫を評価するには、さらに研究が必要である」とまとめている。
磁石製玩具の誤嚥による子供の負傷が増加
米国では、マグネットボールやアクセサリーキットなどの強力な磁石でできた玩具が原 因で、数多くの小児が受傷を負っていることが、米マサチユーセツツ総合病院小児科の Michaei Flaherty 氏らにより報告された。米国では、2016~2019年の 間にこうした症例が80%増加したことが全米データの分析から明らかになったという。 詳細は、「The Journal of the American Medical Association(JAMA) 」11月 24日号に発表された。
NBCニュースによると、こうした症例は米国の至る場所で報告されている。インデアナ 州では、4歳の男児が27個の小さなマグメットボールを飲み込み、緊急手術を受けた。 イリノイ州でも、ウイスコンシン週で、4歳の男児が13個のマグメットボールをのみ込 み、腸や虫垂の一部を切除する事態に陥った。最近では、ニユージヤージー週で、6歳の 男児が誕生日プレゼントにもらったおもちゃから磁石を飲み込み、結腸に8個所穴が開い た状態で病院を受診している。このとき2つの穿孔が燐接していたため、腸の一部を切除 しなくてはならなかっったという。 こうした磁石はネオジムと呼ばれるレアースの一種でできている、形状は円筒形、キユ ーブ状などさまざまで、サイズは3~6mm程度のものが多い。また、ネオジム磁石の磁力 は、従来のフェライト磁石と比べて5~10倍の強さでとFlaherty氏は説明している。
ネオジム磁石は電車やエレベーターといった大型製品からハードデスクや携帯電話など 小型製品まで幅広く利用法ほか、さまざまな娯楽製品にも使われているようになった。小 児がこうした磁石を2つのみこんだ場合、あるいは1つであっても別の金属性のものと一 緒に飲み込んだ場合」、「強い磁力で腸の壁がくっつき、ねじれた状態になる可能性があ り、重篤な腸の損傷や死亡に至ることも考えられる」とFlaherty氏は言う。
米国の消費者製品安全委員会(CPSC)は2012年、ネオジム磁石製品の自主回収と 妥全基準の規定による、販売制限のための措置を取り、2014年には販売禁止とした。 しかし2016年に連邦裁判所がCPSCの措置を越権行為と判断し、現在では、販売解禁 にいたっている Flaherty氏は今回、全米電子障害情報サーベイランスシステムのデータを用いて 、2009年1月~2019年12月の間に異物の誤飲が原因で救急外来を受診した 、17歳以下の小児患者6,701人のデータを調べた。その結果、磁石製品の誤飲また は誤嚥が原因で受診した小児患者は1,421人であり、このうち847人は5歳以下の 小児であることが明らかになった。
こうした玩具の販売が制限あるいは禁止されていた2013年から2016年の間、磁 石の誤飲で救急外来を受診した小児患者の割合は、10万人当たり3,58人から10万 人当たり2,83人まで有意に減少していた。しかし、販売が解禁された2016年から 2019年にかけて、その割合は10万当たり5.15人へと80%以上も増加していた 。
これらの結果を踏まえ、「小さなネオジム磁石の製品は、14歳未満の子どもがいる家 には置くべきでない」とFlaherty氏は主張する。また、CPSCの規制に伴い救急外来の受診 件数が有意に減少していたことから、連邦政府による対策や業界基準の再検討が必要であ るとの見解を示している。
緑茶摂取でインフルエンザ予防―日本人職域多施設研究
緑茶の摂取でインフルエンザ予防になるかもしれない。その可能性を示唆する データが報告された。福岡城址大学国際文理学部食・健康学科の南理明子氏らの研究によ るもので、緑茶の摂取量が多い人ほどインフルエンザ罹患リスクが低いという有意中㏍簾 が示された。詳細は「European Joumal of clinical Nutrition」に11月2日掲載され た。
南里氏らの研究は、血清ビタミンD値とインフルエンザの罹患リスクを検討する目的で 、関東・東海地方の企業4社の従業員を対象に行われたコホート研究のデータを用いて行 った、コホート内症例対照研究。なお、そのコホート研究の結果は、ワクチン接種を受け ていない群でのみビタミンDレベル高値が、インフルエンザ罹患リスクが低いことと有意 に関連するというものだった。
コホート研究対象者のうち、緑茶の摂取頻度などの生活っ頻度に関するアンケート調査 をにも回答していたのは3,327人(18~73歳)で、そのうち2011年11月 ~2012年4月にインフルエンザと診断されたのは182人だった。インフルエンザを 発症しなかった人の中から。」年齢、性別、勤務先をマッチングさせた上で、ランダムに 1対2の割合で抽出した364人を対照群とした。緑茶の摂取量は、1週間での摂取杯数を もとに、ほとんど飲まない(週1杯未満)、ときどき呑む(週1~4)、ほぼ毎日飲む( 週5杯以上)の3群に分けて解析した。
データ欠落などのため、最終的な解析対象は、発症群179人、対照群353人となっ た。この両群間で、年齢、性別(女性の割合)、BMI、喫煙者率、身体活動などの他、イ ンフルエンザ罹患リスクにえいきょうを与え得る、ワクチン接種率、通勤のための公共機 関の利用状況、血清ビタミンD値は、いずれも有意差なかった。ただし、学童としている 人の割合は、発症軍が46,9%、対照群が36,8%で、前者が有意に高かった (P=0,02)。
条件付きロジステイツク回帰分析により前期の背景因子で調整後、緑茶をほとんど度飲 まない群に比較して、ほぼ毎日飲む群」のインフルエンザ罹患リスクは、オッズ比 (OR)0,61(95%信頼区間0,39~0,95)であい、有意な関連が存在した (傾向性P=0,028).
インフルエンザ罹患を、診断キットを用いて診断されていた症例(65%、116人) に限定して解析した場合、緑茶はほぼ毎日飲む人のインフルエンザ罹患リスクは OR0,68(95%信頼区間0,39~~1,18)であった。また、ワクチン接種の有無別 に解析すると、非接種群では緑茶をほぼ毎日飲む人のOR0,48(同0,28~0,82) と有意に低下していたのに対し、接種群ではOR0,92(同0,39~2,20)であ り、ワクチン接種群では緑茶摂取によるリスク低下が認められなかった。
著者らは、本研究でもともと緑茶接種によるインフルエンザ罹患リスクへの影響をけん とうするためにデザインされたものではないことなど、結果を解釈知る際の限界点」をの べたうえで、「日本人労働者において、緑茶の頻繁な摂取はインフルエンザ罹患リスクの 低下と関連している」と結論している。今後は、ワクチン接種と緑茶摂取との交互作用の 検討を含めた追試が望まれる。
AZ社の新型コロナワクチン有効率最大90%、貯蔵はより容易か/解析
アストラゼネカ社は、COVID-19に他するウイルスベターワクチンAZD1222の第2/3相および第3相試験の中間分析の結果、最大90%の有効率が示されたことを11月23日に発表した。2つの異なる投与レジメンで有効性が示され、平均70%の有効性が示されている。条件付きまたは早期承認のためのデータを世界各国の規制当局に提承認氏取得次第、2021年に最大を30億文のワクチンを制動できるよう準備を進めているという。
AZD1222は、SARS-VoV-2ウイルススパイクタンパク質の遺伝物質を含む、複製欠損および弱毒化されたチンパンジー由来の風邪アデノウイルスを用いて作製される。ワクチン 接種後スパイクタンパク質が生成され、感染した場合に免疫系を刺激シ、SARS-VoV-2ウ イルスを攻撃する。 第2/3相COV002試験は英国の12,390人の参加者を対象に、第Ⅲ相のCOV003試験はブラジルの10,300人の参加者を対象に実施されている。ともに参加者は18歳 以上で健康あるいは医学的に安定した慢性疾患を有する患者。COV002では、半容量 (~2.5×10 /10乗ウイルス粒子)のAZD1222、対象群として髄膜炎菌ワクチン MenACWYを1回または2回筋肉内投与。COV003では、全容量のAZD1222または MenACWYが2回筋肉内投与。(対照群では1回目にMenACWY,2回目はプラセボとして 生理的食塩水を投与)。
中間分析では計131例のCOVID-19発症が確認された。今回発表された結果のうち、1 回目い半用量を投与後、少なくとも1か月間隔で全容量を投与した2,741人では、90%の 有効率を示した。少なくとも1か月間隔で全容量を2回投与した8,895人では、62%の有 効率を示している。両投与レジメンの11,636にについての複合解析では、平均 70%の有効率が示され、これらの結果はすべて統計的に有意であった (p<0,0001)。
独立セータモニタリング委員会は、2回投与を受けてから14日以上後に発生する COVID-19から保護を示す主要評価項目を満たしたと判断し。今回の結果が発表された。 された。AZD1222に関連する重大な安全イベントは確認されておらず、AZ1222投与投 与群ではCOVID-19による入院や重症例は報告されていない。 なお、AZD!1222の臨床試験は、米国、日本、ロしア、南アフリカ、ケニア、ラテンアメ リカでも実施されており、多のヨーロッパやアジアの国々でも試験がさえwテイル。また 、同社はAZD1222の貯蔵について、標準的な家庭用または医療用冷蔵庫の温度である 2~8度(36~46F)で少なくとも6カ月間保管、輸送、および取り扱いでき、既存の 医療環境で投与可能としている。
甘さの感知に子どもは大人の1.4倍砂糖が必要
子どもたちが甘い菓子やジユースを口にした時、「甘すぎる」と言うことはめったにな い。その理由の1つは子どもが大人よりも甘いものが好きだからと考えられるが、それだ けでなく、別の理由もあることが新たな研究で明らかになった。子どもは大人に比べて甘 味を感知する力が低いのだという。米イリノイ大学アーバナ・シアンぺーン校の Yanina Pepino氏らの研究によるもので、詳細は「Nutrients」に6月29日掲載された。
Pepino氏らは、10歳未満の小児、10歳代の若年者、および成人を対象に、異なる濃 度のスクロース(砂糖)水溶液を用いて、甘味に対する感受性、および甘味の強さの好み を検討した。各郡の対象者は、小児が108人(平均年齢8.6±0.8歳)、若年者172人 ((13.2±2。3歳)、成人205人((35∓9.4歳)。
まず、甘味に対する感受性の検討では、各砂糖1つ(4g)を8オンスのコップの水(約 230ml)で薄めていき、被験者が甘みを感じ取れる限界のコップの数を確認した。この試験 では、甘味を感知できたコップの数が多いほど、より感受性が高いことを意味する。
その結果、小児が甘さを感じとれる限界は、平均5杯のコップの水で薄めた時だった。 それに対して若年者は平均6杯の水で薄めた濃度まで感知でき、さらに成人は平均7杯ま で薄めても甘味を感知できた。その結果は、小児は成人に比較して、甘味を感知するのに 約40%多い砂糖が必要であることを表している。
次に行った甘味の好みの検討は、8オンスのコツプの水に各砂糖を1つずつ溶かして、 最も好ましいと感じる各砂糖の数を比較した。その結果、小児と若年写は平均12個、成人は平均8個が、好ましい個数だった。これは、小児や若年者は成人と比較して、甘味を好ましいと感じるのに約50%多い砂糖が必要であることを表している。なお、この試験で成人が好ましいと感じた糖濃度は、現在市販されている一般的なコーラとほぼ同じ濃 さだという。
本研究ではこれらの検討に加えて、甘味の感受性と好ましいと感じる糖濃度の関連を検 討した。しかし、両者に有意な関連は認められなかった。この結果についてPepino氏はイ リノイ大学発行のニユーリリースの中で、「味覚の発達は成長に伴う解剖学的変化によっ て二次的に生じる可能性があるが、甘味の好みは脳の報酬系の活動とその変化の影響を受 けて変動するのかもしれない!と考察している。
最後に著書らは、「甘味の感受性と好みは、小児期から成人期までに異なる発達の軌跡 をたどることが示唆される」と述べるとともに、子どもたちが甘い物を好む理由は、甘味 に対する感受性が低いことだけでは説明できない」と結論づけている。
10月からロタワクチン定期接種化、知っておくべきことは?
10月1日より、ロタウイルス胃腸炎のワクチンが定期接種となった。これに先立つて MSDが主催したプレスセミナーにおいて、日本大学の森岡一郎氏(小児科学系の小児科学 分野)が疾患の特性やワクチン接種の注意点について解説した。
ロタウィルス胃腸炎は冬の終わりから春にかけて流行する急性疾患で、下痢、嘔吐、発 熱などの症状を引き起こす。ロタウイルスワクチンが導入される前は、国内で毎年約80 万人が罹患し、7~8が入院し、数名が死亡していた。感染するのは5歳までの乳幼児が 中心だが、5歳までの入院を要する下痢症に占める割合は42~58%と推計され る。最近では5歳以上の幼児の感染が増加しており、10~20代の感染報告もある。糞口感染し、感染力が非常に強いことが特徴で、先進国においても乳幼児下痢症の主要原因 であり、院内感染や保育所での集団感染の報告例も多い。感染した場合、抗ウイルス薬な どの治療薬はなく、経口補液や点滴などの対症療法が中心となる。
ほとんどの乳幼児が2歳までに1度は感染するが、1回の感染では完全な予防免疫は得 られないため、ワクチンが有効な感染・重症化予防策となる。ロタウイルスワクチンは 2011年から導入されているが、これまでは任意接種だったため、計2~3万円の費用 が掛かっていた。今回の定期接種化の対象は2020年8月1日以降に生まれた子で、指定期間内に接種すれば全額が補助される。ロタウイルスワクチンには1価と5価の2種類 があり、1価は2回、5価は3回接種となるが、効果に差はない。
ロタウイルスワクチンの副反応として腸重積症の増加が懸念されてきたが、厚生科学審 議会がロタウイルスワクチン増入前後の国内における5歳未満の腸重積症入院例を調査し 、ワクチン導入後の腸重積症の増加のリスクよりもロタウイルス胃腸炎の予防のベネフイ ットが上回るとして、今回の定期接種化に踏み切った。定期接種化によって接種率の向上 が見込まれる。
母乳を介した新型コロナウイルス感染の可能性は低い
授乳中の母親から、母乳を介して新型コロナウイルスが乳児に感染する可能性は低いこと が、米カリフォルニア大学サンデイエゴ校(UCSD)小児科教授の Christina chambers 氏らによる新たな研究で報告された。研究結果の詳細は 、Joumal of the American Medical association(JAMA) 8月19日オンライン版 に掲載された。
新型コロナウイルスへの感染が世界中で拡大し続ける中、母乳育児中の母親の中には、 子どもへの感染を心配を心配する人も少なくないだろう。ウイルスを含んだ母乳を通して 乳幼児が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患したという事例は、今のとこ ろ報告されていないが、この形での感染リスクの可能性については疑問が残ったままであ る。
そこでChamber氏らは、2020年3月27日~5月6日の間にRT-PCR検査で新型ココ ロナウイルス陽性が判明した米国の女性から母乳検体を採取し、母乳による乳幼児の新型 コロナウイルス陽性が判明した米国のから母乳検体を採取し、母乳による乳幼児の新型型 ウイルスリスクについて調べる研究を実施した。研究対象となった女性は総計18人 ((77.7%がヒ非ヒスパニック系白人、平均年齢34.4歳)で、1人を除き全員に COVID-19の症状が現れていた。対象の子どもの月齢は、新生児から生後19か月 まで出会った。総計64点の母乳検体は、対象者が、新型コロナウイルス陽性が判明する前 後の様々なタイミングで提供した。それらの検体について、RT-PCR検査による母乳中 のvウイルス検出と、組織培養法による増殖性新型コロナウイルスの検出が行われた。
その結果、1点の母乳検体が新型コロナウイルスRNA陽性を示した。この検体は、症状が現れた日に採取しされたものだった。しかし、同じ対象者から採取された発症2日前の検体1点と、発症後12日目および41日目に採取された2点の検体からは、新型コ ロナウィルスは検出されされなかった。増殖可能な新型コロナウイルスは、この陽性が確 認された検体も含め、どの検体からも検出されず、母乳から乳児への感染する可能性はな いことが明らかになった。
こうした結果を受けて。Mommy’sMilku-Human Milku biorepositoryの代表も務める Chambers氏は、「新型コロナのRNAが検出されたからといって、ただちに感染が生じる わけでない。ウイルスが感染力を持つには増殖が必要であるが、今回調べた検体では、ウイルス増殖は認められなかった」摂名している。そして、「この知見から、母乳自体が乳 児へのかんせんげんとなる可能性は低いことが示唆される」と結論付けている。 現在、授乳中の感染予防として推奨、推奨されているのはマスクの着用と手洗いや、哺乳期の使用後の消毒などである。論文の共著者で、米カリフオルニア大学ロサンジェルス校 (UCLA)マテル小児病院感染症科長であるGrace Aldrovandi氏は、情報がない中、新型 コロナウイルスへの感染を受けて、母乳育児を諦めた母親もいることに触れ、「今回 の結果と今後の研究により、女性が安心し授乳できるようになることを願っている。母乳 は、母親にも乳児にも計り知れないベネフイツトをもたらすのだから」と述べている。
無症状の小児が新型コロナウイルスを拡散させる?
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染した小児は、無症状でも保有する ウイルス量は極めて多いことが、米マサチュ-セッツ総合病院(MGH)粘膜免疫学・生物 学研究センターのAlessi0 Fasano氏らの研究から明らかになった。Fasano氏らは、こう した小児たちのCOVID-19のサイレント・スプレッダー“(無症状のままウイルスをまき散 らす人)として感染を広げる可能性があると指摘し、学校再開の安全性について疑問をなげ かけている。詳細は、THE Journal of Pediatrics」8月19日オンライン版に発表された 。
この研究は、COVID-19の疑いでクリニックを受診したか、COVID-19の疑いがあ るかまたは確定診断された、あるいは小児の多系統炎症症候群(MIH―C)で入院中の 0~22歳の小児および若年成人192人(平均年齢12.2&7歳)を対象に実施された。こ のうち49人(26%)は検査で新型コロナウイルス陽性が判明したほか、18人(5%)には、COVID-19との関連が確認された。 対象者の鼻やのどから済州した倦怠や、血液検体を基にウイルス量を調べたところ、感 染が確認された対象者の気道から、極めて高いレベルのウイルスが検出された。その量は 、集中治療室(ICU)での治療を必要とする重症の成人患者から検出されたウイルス量を 上回っていた。
また、感染例の半数以上(51%)が低所得地域の小児および若年成人であり、高所得 地域の感染例はわずか2%であったことからも明らかになった。こうした地域には 、COVID-19に罹患した場合に重症化するリスクが高い、高齢の祖父母を含む多世代で構成される 家族が多い。
さらに、Mis―C患者の免疫反応を調べたところ、重症MIS-C患者では、新型コロナウイ ルスだけでなく、他のコロナウイルスやインフルェンザウイルスなどに対する抗体反応も 上昇していることが明らかになった。このことから研究チームは、このような非特異的な 抗体反応が自己抗体の出現を招き、MIS-C発症の引き金になっている可能性があると示唆 。
論文の筆頭著者で、MGHC嚢胞性繊維センターのLael Yonker氏は、「感染した小児や 若年成人から、これほど大量のウイルスが検出されるとは思いもしなかった。特に発症後 2日間のウイルス量が多かった。重症の成人患者に行われる際、病院ではさまざまな予防 策が講じられているが、成人入院患者のウイルス量の方が、外を歩き回っている小児のウ イルス量よりも、はるかに少なかった」と驚きを示す。
新型コロナウイルス感染症には6つのタイプがある?
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)には、特定の症状クラスターにより明確に区別できる、6つのタイプがあるとする研究結果」が、英キングス・カレツジ・ロンドン (KCL)のClaire Steves 氏らにより報告された。それぞれのタイプは、重症度や、入 院中の補助の必要度も異なることも明らかになったという。
この研究は、COVID-19に関連した症状を報告するためのアプリ(COVID-19の主 な症状として強調されているのは、持続する咳、発熱、および嗅覚障害である。しかし、 このアプリの使用者からは、これ以外にも、頭痛や筋肉痛、疲労感、下痢、錯乱、食欲不 振、息切れなど、多岐にわたる症状が報告されだけでなく、症状の進行と転帰も人により 大きく異なっていた。
Steves氏らは、同時に出現しやすい症状や、それが病状の進行に及ぼす影響を調べるた めに機械学習のアルゴグラムを用いて、COVID-19と診断され、3~4月に症状を報 告した英国及び米国のアプリ使用者1653人のデータセットを解析した。その結果、 「病状の進行過程のある特定の時点で生じている症状」により、COVID-19を6つのクラ スターに分類できることが分かった。次いで。このアルゴリズムを。5月に COVID-19の症状を報告した英国、米国、およびスエーデンのアプリ使用者 1047人のデータセットで検証したところ、その有効性が裏付けられた。
6つの症状クラスターを重症度の低い順から並べると、以下の通りとなる。
1) 発熱を伴わないインフルエンザ様症状:頭痛、嗅覚障害、筋肉痛、施ぃ、喉の痛み、 胸痛、発熱なし。
2) 発熱を伴なうインフルエンザ様症状:頭痛、嗅覚障害、咳、喉の痛み、嗄声、発熱、 食慾不振。
3) 消化器症状を伴う症状:頭痛、嗅覚障害、食慾不振、下痢、 のどの痛み、胸痛、咳 なし
4) 重症度1 (倦怠感);頭痛、嗅覚障害、咳 発熱、声がれ 胸痛、倦怠感。
5) 重症度2 (錯乱)、:頭痛、嗅覚障害、食慾不振、咳、発熱、声がれ、胸痛、倦怠感 。 錯乱、筋肉痛。
6) 重症度3(腹部・消火器症状):頭痛、嗅覚障害、食慾不振、咳、発熱、声がれ、喉の 痛み、胸痛、倦怠感、錯乱、筋肉痛、息切れ、下痢、腹痛。
次に、特定の症状クラスターが出現している患者での、呼吸の補助の必要性が検討された 。
その結果、換気または酸素供給による呼吸の補助を必殺とした患者の割合は、症状クラ スター1~6の順に、1.5%、3.7%、4.4%、8.6%、9.9%、19.8%で あったのに対し、クラスター6では45,5%に上ることも明らかになった。
Steves氏らはさらに、年齢や性別、BMI、,既存疾患といった情報と、COVID-19発症か ら5日間における症状を組み合わせた予測モデルを構築した。このモデルを用いて、患者 の転帰(どの症状クラスターに該当するか、入院や呼吸補助の可能性)を検討したところ 。年齢と性別、BMI<既存疾患など既存リストのみに基づいたモデルよりも正確にに予測で きることが分かった。
Steves氏は、「今回の研究結果が、COVID-19が最も重症化しやすい人のケアと モニタリングにおいて意味するところは非常に大きい」とし、「COVID-19の発症 5日目に、患者がどのクラスタ-に分類されるのかを予測できれば、サポートの提供、血中酸素濃度や血糖値の監視、適切な水分補給といった早期介入を行う時間をもっことがで きる。自宅でも実施可能なこのような簡単なケアが、患者の入院を防ぎ、命を救うことに つながる」と述べている。
母親の運動で母乳中の有益な成分が増加か
健康的なライフスタイルに運動は欠かせないが、運動には母乳中の3-シアリルラク t-ス(3SL)と呼ばれる有益な成分を増加させる効果もあることが、マウスとヒトを 対象に実施された研究で示唆された。シアリルラクトース母乳オリゴ糖の一種で、感染防 御効果があることが示唆されている。研究グループは「3SLが豊富な母乳をのんで育った 子どもは、成長後も肥満や2型糖尿病、心疾患といった慢性疾患に罹患しにくい状態を維 持できる可能性がある」としている。研究結果は「Nature Metabolism」6月29日オンラ イン版に発表された。
この研究で、マウスを対象にした研究パートを率いた米オハイオ州立大学ウエクスナー 医療センターのKristin Stanford氏は、「われわれが過去に実施した研究から、妊娠中や 綬に母親が運動することにより子どもの健康が増進することは明らかになっている。それ には、母乳が大きな役割を果たしているとするエビデンスもある、われわれの今回の研究 は、母乳中の何が子どもの健康に」良い影響を与えているのかを明かに症としたものだ」 と研究背景について説明している、。
マウスを用いた実験では、運動をしていた母親マウスから生まれ、運動をしていった別 の母親マウスのミルクで育てられた子どもは、脂肪量や体重が少なく、糖代謝が優れてい ることが明らかになった、また、運動をしていなかった母親から生まれた子どもに、運動 をしていた別の母親のミルクを与えて育てた場合でも、同様の効果が認められた。これは 、母乳を介して子どもの健康へのベネフイットがもたらされたことを意味する。その後、 これらの子どもに高脂肪食を与えたが、代謝や心機能、体組織は引き続き優れた状態に保 たれた。
一方、139人のヒトの母親を対象とした研究パートを率いたのは、米アーカンソー小児 栄養センターのAline Andres 氏である。対象の母親には、妊娠中に歩数を測定するため 活動量計を使用してもらうとともに、出産後に母乳を検体として提供してもらい、解析を 行った。その結果、BMIや運動強度にかかわりなく、歩数が多いほど母乳中の3SLの量が 増えることが分かった。
ヒトを対象とした研究でもマウスの実験と同様の結果が得られたことに、Stanford氏は 「胸が躍った」と振り返る。そして、「妊娠中に歩数を増やすというシンプルな心掛けに よつて、代謝障害などの問題が子どもに生じるのを防ぎ、子どもの発達にわずかでもよい 影響を与えるのであれば、公衆衛生の観点から極めて大きな意義があると考えられる」と 述べている。ただし、今回模研究では運動によって実際に母乳中の3SL量が増えることを 証明するには至っていない。
米セントルイスを拠点に栄養コンサルタントとして活躍するConnie Diekman氏は、今 回の報告を受けて「これまで長年にわたって母乳は子どもの健康にとって最善であると提 唱されてきたが、その妥当性を示した研究結果だといえる」と述べ、「母乳を与えられる 期間が、たとえ6週間、あるいは2カ月間であつたとしても、子どもは生涯にわたつて大 きな恩恵を受けることができる」と説明している。ただし何らかの事由で母乳育児ができ ない、あるいは母乳をを選べなかった場合には、「子どものためバランスの取れた健康的 な食事計画を立てると良い」と助言している。
新型コロナが流行しやすい気象条件とは?
世界的な危機をもたらしている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)につい、気候変動や季節性と感染拡大との潜在的な関連を調査することは、予防・監視戦略に役立つ可能性がある。米国・メリーランド・スクール・オブ・メデイスン大学のMohammad COVID―19の 集団段発生分布は、季節性の呼吸器系ウイルスの挙動と一致していたことを明かにした。研究 者らは、気象モデリングを私用すれば、COVID-19の拡大リスクが高い地域の推定ができ、 監視や封鎖のもと公衆衛生へ注力することが可能になるとしている 。JAMA NETWORK Open誌2020年6月11日号掲載の報告。
この研究ではCOVID-19の感染状況に関わらず、世界50都市の気候データを調査。感染拡大 のあった都市を10例以上の死亡者が報告された地域と定義し、COVID -19の拡大した都市には 、武漢(中国)、東京(日本)、第邸(韓国)、ゴム(イラン)、ミラノ(イタリア)、パリ(フラン ス)、シアトル(米国)、マドリード(スぺいン)の8都市が該当した。これらの都市と感染 拡大や影響がなかった42都市を比較した。データ集積は2020年1月~3月10日に行はれた。 気候データ(緯度、2か月の平均気温、平均比疾、および)平均相対湿度)は気象再解析デー タERAA5から取得した。
おもな結果は以下のとおり。
・2020年3月10日時点、感染が拡大していた8つの都市は、いずれも北緯 30~50>の狭い帯状範囲に位置していた。
・これらの都市では一貫して類似の天候パタ―ンを有し、平均気温は5~11℃、低比湿 (3~6g/kg)で、低絶対湿度(4~7g/m3)である点が一致していた 。
・ただし、近接した感染地域を予測するには実社会での証明が不足しいぇいた、たとえば、 中国・武漢(北緯30,8)では発症者数8万⑺⑤7例で3136人が死亡した。一方、ロシア・モ スクワ(北緯56)は発症者数10例で死亡者は0例、ベトナモ・ハノイ(北緯21.2)は症症 者数31例、死亡者は10例だった。
新型コロナPCR検査、偽陰性が多い期間は?
新型コロナウイルスのPCR検査、偽陰性が多い期間は?
新型コロナウイルスのPCR検査の感度や特異度は十分に特定されておらず、 擬陽性となる可能性が最も高い期間はよくわかっていない。
今回、米国ジヨンズ・ホプキ ンス大学のlauren M.kucirka氏らが7つの研究グループの解析を行ったところ、偽陰性率 は、発症後3日目(感染後8日目)に最も低くなることがわかった。著者らは、偽陰性の可 能性を最小限するために、検査は発症から3日間待って実施すべきとしている。また、臨 床的にCOVID-19が疑われる場合は、PCR陰性のみで除外診断すべきでなく、臨床的およ び疫学的状況を慎重に検討する必要があると述べている。Annals of internal Medicine誌 オンライン版2020年5月13日号に掲載。
本研究は、耳鼻咽頭または咽頭スワブを用いたPCR検査のデータを有する⑺っの研究の プール解析」(入院または外来患者計1330例)で、感染(曝露)後もしくは発症(症状発 現)後の偽陰性率について、階層ベイズモデリングを用いて算出した。
主な結果は以下のとおり。 ・偽陰性率は感染1日目がCL:100%(95%CI:100~100%))であり、4日目が 67%(95%CI:27~94%)であり、5日目(COVID-19の典型的な発症日)まで減少 した。 ・発症日(感染5日目)の偽陰性率は38%(95%CI:18~65%)であった。
父親や母親によるハグが乳児を落ち着かせる
赤ちやんにとって、ぎゅっと抱きしめる「ハグ」は、誰にされても同じわけではない ようだ。100組以上の0歳児とその親を対象としてとした研究で、生後4カ月以上の乳 児は、軽く縦抱きするよりも、しっかりとハグされたときの方が、心拍数が減少すること が明らかになった。この効果は、見知らぬ人にハグされるよりも、母親または父親にハグ されたときのほうが大きかったという。研究結果の詳細は「ⅰScience」4月6日オンライ ン版に掲載された。
研究論文の筆頭著者である東邦大学医学部解剖学講座の吉田さちね氏は、「たいていの 親と同様、われわれ自身も子どもをハグするのは大好きだし、子どもたちが親にハグされ ることが大好きなことも知っている。しかし、科学者として驚いたのは、ハグについて私 たちが知っていることがいかに少ないということだ」と述べている。
吉田氏らはまず、0歳児の心拍変動が発達に伴いどのよう変化するのかを調べ、生後4 カ月頃から副交感神経の活動が活発化することを突き止めた。そこで、乳児を生後4カ月 未満と4か月以上の⒉群に分けて、心拍間隔の増加率を指標に、「軽く縦抱きする」、「 ハグする」、「強く抱きしめる」の3種類の抱き方が乳児に及ぼす影響について検討した 。
その結果、生後4カ月~1歳までの乳児では、母親または父親にハグされているときは 、そのほかの2種類の抱き方をされている時に比べて、心拍間隔が長くなることが分かっ た。これは、心拍数が減って、副交感神経の活動が亢進した、リラッスした状態になって いることを意味する。また、心拍間隔の増加率は、抱かれる直前の乳児の頭部運動量によ って異なり、運動量ガ少なかつた乳児は多かった乳児に比べて、心拍間隔の増加率が有意 に上昇することも分かった。しかし、知らない女性ニハグされた場合は、親にハグされた ときよりも心拍間隔の増加率が低かった。
一方、生後4か月未満の乳児は、「軽く楯抱きする」方が、「ハグする」または「強く 抱きしめる」よりも、心拍間隔の増加率が上がることが分かった。そこで、乳児の背中を 支える母親の手が乳児にかける接触圧を調べたところ、接触圧が大きくなると、心拍間隔 の増加率が下がることが分かった。このことから、低月齢の乳児は、単に抱えられることとハグされることとの区別がまだあまりついていないと考えられると、研究グループは 述べている。
さらに、9割以上の父母が自分の子どもをハグすると安心すると答えていることが、 アンケート調査から明らかになった。実際、子供をハグしている親では、心拍数が減少しリラツクスしていた。 吉田氏は、「ハグによって、乳児と親の双方がリラックスできることが分かった。乳児 は話すことができないが、少なくとも生後4か月以降は、ハグを含めたさまざまな子育て メソッドを通じて自分の親を認識している」述べ、「ハグされているよきに乳児がどう感 じているかを知ることでで、まだ意志の疎通ができない乳児の世話をする際の身体的。心 理的負担を軽減できるものと期待している」と付け加えている。
新型コロナの、病棟の床や靴底、患者から4mの空気からも検出
病棟における新型コロナウイルス(SARS\-Cov-2)の分布について、中国・武漢のCOVID-19専門病院である火新山病院の空気と環境表面のサンプルを調査したとこ、SARS-COV-2は、床、コンピュタのマウス、ゴミ箱、ベットの手すり、靴底など広く分布し、患者から約4m離れた空気からも検出された。Academy of Military Medical Siences (北京)のZhen-Dong Guo 氏らが、Emerging Infectious Diseases誌オンライン版2020年4月10日号で報告した。
著者らは、2020年2月19日~3月2日、火神山医院の集中治療室(ICU)とCOVID-19一般病棟(WG)における環境表面と空気のサンプルを検査した。ICUは重症患者15例、GWは軽症患者24例を収容した。床、マウス、ごみ箱、ベットの手すり、患者用マスク、個人用防護具(PPE)、排気口のサンプルは湿らせた無菌スワブで採取し、空気のサンプルはSASS 2300 Watted WALL Cyclone Samupler を採取した。計425サンプルを採取した。計425サンプルをRTーPCRを用いて検査した。
主な結果は以下の取り。
・陽性の割合はGW(‘7.9%)よりIC(43.5%)で大幅に高かった。
・床のサンプルの陽性率は比較的高く(ICU:70%、GW:15.4%)患者がいない薬局の床のサンプルの陽性率が100%であった。さらにICUの医療スタフの靴底のサンプルの半数が陽性であった。
・陽性の割合は、医療スタフや患者が触る表面も比較的高く、最高はマウス(ICU:75%、GW:20%)次いでゴミ箱(ICU:60%、GW:0%)、:病床の手すり(ICU42.9%、GW)0%)ドアノブ(GW:8.3%)であった。
・医療スタッフの袖口と手袋のサンプルは、散発的な陽性結果が得られた。
・ICUおよびGWの隔離病棟での空気サンプルは35%、が陽性だった。サンプリング場所別の陽性率は、吹き出し口付近が35.7%、病室が44.4%、医師のオフィスエリアが12.5%であった。
・GW内のSARS-Cov-2エアロゾルの分布から、SARS=Cov-2の最大伝播距離は4mに達する可能性が示唆された。
・本調査から、SARS-C0V-2はICUとGWともに空気中および環境表面に広く分布し、医療スタフに潜在的に高い感染リスクがあり、また、環境汚染はGWよりもICUで多く、ICUの医療スタフについてはより厳しい対策が必要なことが示唆された。
著者らは、「3月30日時点で、病院のスタフはSARS-Covに感染しておらず、適切な予防策で効果的に感染を防ぐことが可能で、COVID-19疑い例の自宅で隔離は適切な管理戦略ではない可能性がある」と述べている。
新型コロナの嗅覚・味覚障害、主症状前に出現か
嗅覚障害及び味覚障害がウイルス感染と関連するのは周知のことである。2020年3 月、米国で新型コロナウイルス感染症における味覚・嗅覚障害の報告がなされた。その後 、この症状を訴える患者が日本でも確認され、症状出現に敏感になっている患者も多いの ではないだろうか。
今回、伊・ミラノの保健所ASST-FBF-SaccoのAndreaのAndea Siacomelliが伊・L.。Sacco病院で新型コロナウイルス(SARS-COV-2)と診断された患者 のー部に、嗅覚および味覚障害(OTDS:olfctory and taste disorder)が出現したことを明 かにした。また、研究者らは「OTDSはSARSはSARS-COV-2感染患者で頻繁に見られた こと、本格的な臨床症状(発熱。咳嗽など)の発症に先行する可能性がある。非特異的で はあるが、パンデミックの状況では病院に入院していない感染患者の臨床的スクリーニン グになる」としている。Clinical Infetious Disesses 誌オンライン版3月26日号形成 の報告。
研究者らはSars-Cov―2感染症患者のOTDsの有病率を調べたえるため、2020年3 月19日、SARS-COV-2陽性で入院していたすべての患者に対しOTDsの有無や欠如に ついて質問を含む簡単なアンケートを実施。発症した症状のタイプなどのインタビュー を行った。
主な結果は以下のとおり。
・入院患者88例中、59例から回答を得た(非回答の29例の内訳は、認知症:4例、原 語バリア:2例、非侵襲的換気実施:23例)
・20例(33.9%)は1つ以上の味覚障害または嗅覚障害、そのうち11例 (18.6%)は両方の症状を訴えた。
・12例(20.3%)は入院前に症状を示したのに対し、8例(13%)は入院中に症 状が出現した。
・女性(10/19例「52%」のほうががんせい(10/40「25%」)よりもOTDsすを強く訴えた(p=0.036)
・1つ以上OTDsを訴えた患者(中央値56歳、㈣分位範囲「IQR」:47~60)は、訴えなか った患者【同:66歳、IG:52~77】よりも若かった(p=0.035)
・すべての患者がOTDsの持続性を報告した。
新型コロナ感染後、発症前の2次感染が多い可能性
新型コロナウイルスの連鎖感染の連続症例の発症間隔について、北海道大学の西浦博氏らが28ペアの連続症例のデータから推計したところ、潜伏期間中央値(約5日)と同等 もしくはそれより短かつた。この結果は、感染から発症までの間に、多くの2次感染が起 こっている可能性を示唆している。International Journal of Infectious Diseases 誌 オンライン版2020年3月4日号に掲載。
流行初期に湖北省武漢市で報告されたデータを使用した 疫学研究 (LiQ,、et al。N Engl J Med。.2020 Jan 29.「Epub ahead of print 」 )では、連続症例」の発症の発症間隔は平均7.5日と推計されている。しかし、このデ ータ には連続症例の発症間隔は平均7.5日と推計されている。しかし、このデータには連 続症例が6ペアしかなく、サンプリングバイアスがもたらせている可能性がある。
著者らは、公表されている研究論文と症例調査報告から、1次症例’(infector)と2次症 例(infectee) の発症日を収集。データの信頼性を主観的にランク付けし、すべてのデータ (n=28)およびデータの確実性が高いペアのサンプルセット(n=18)部ついて分析し た。さらに流行がまだ拡大期にあるため、データの右側切り捨てを調整した。
右側切り捨てを考慮し分析した結果、すべてのペアのデターにおいて連続症例の発症間 隔の中央値は4.0日(95%信頼区間:3.1~4.9)、データの確実性が高いペア のデータに絞ると4.5日(同:3.5~4.0)、データの確実性が高いペアのデータに絞 ると4.6日(同:3.5~5.9)と推計された。
著者らは、「COVID-19の発症間隔は、重症急性呼吸器症候群(SARS)よりも短 く、SARSの発症間隔を用いた計算はバイアスをもたらす可能性がある」と指摘してい る。
乳児の突然死のリスクは日齢によって異なる?
乳幼児突然死症候群(SIDS)などの予期せぬ乳幼児突然死(SUID)を解明する上で 、SUIDが発生したときの乳児の年齢が手掛かりになる可能性があることが、米シアトル小 児研究所のTatiana Anderson氏らが実施した研究で示された。この研究では、SUIDで死 亡した児の2つのグループに分けられることが明らかになったという。詳細は {Pediatrics}12月9日オンライン版に発表された。
今回の研究は、Microsoft社と共同してコンピューターモデリングを用いて実施された。 コンピューターモデリングを用いて実施された。コンピュータモデルは、米疾病対策セン ター(CDC)の2003~2013年の出生コホートデータベース (Birth Cohort Linked Birth/Infant Death Data Set )を開発された。全体として4100万件以上の出性データ と3万⑺,624件のSUIDのデータがモデルに組み入れられた。なお、SUIDは、国際疾病分 類第10般(ICD-10)の3つの死因カテゴリー(SIDS、その他の診断名不明確及び原因不 明の死亡、ベット内での不慮の窒息及び絞首)のいずれかに該当する、1歳未満の乳幼児 に生じた突然死を指す。
その結果、早期新生児期(0~6日)に生じたSUIDとそれ以後(7~364日)の乳幼児期に生じ たSUIDでは、SUIDの要因が大きく異なることが明らかになった。まず、両者では、3つ のICD-10の各カテゴリーに該当する割合が有意に異なっており、「その他の診断名不確 実及び原因不明の死亡」「SIDS」に分類されたSUIDの割合は、0~&日に生まれたSUID ではそれぞれ67%、24%であったに対し、それ以後に生じたSUIDではそれぞれ 67%、24%であったのに対し、それ以後に生じたSUIDではそれどれ28%、55%で あった。また、通常、SUIDのリスク因子とされている、母親が若い、ははおやが未婚 、酒精順位、出性体重などは、出生後1週間以内に乳児が死亡した要因としては考えにく いことが示された。既知のSUIDのリスクの因子である母親の喫煙についても、生後48時 間以内に生じた突然死のリスク因子ではないことが示唆された。
だからと言って、妊娠中に喫煙しても問題ないというわけではない。Anderson死は、「 喫煙がSUIDの修正可能な最大のリスク因子であることに変わりない。過去の研究では 、DUIDによる死亡例の22が喫煙に起因していたと推計されている」と述べている。
今回の研究結果についてAnderson氏らは、「SUIDが起こる時期によって根本原因が異 なる可能性があることが分かった。今回得られた情報だけでは親に対するなんらかの推奨 を示すことはできないが、これまでの研究結果に基づけば、SUIDのリスクを低減させるた めには妊娠中に喫煙しないこと、乳児は仰向けに寝かせることが重要だ」と強調している この研究論文の付随論評を執筆した小児の突然死を厳門とする米ボストン小児病院の Richard Goldstein氏は、「過去に入手が難しかつたビックデータから真実が分かるよう になってきた」と説明。ただし、現時点では発生した日齢に応じてSUIDを2つのグループ に分類することについては慎重な姿勢をを示し、「原因が異なる2つのグループが存在す ると考えるのは時期尚早であり、さらなる研究で検証する必要があるがある」と指摘して いる。
新型コロナウイルス、感染患者の臨床的特徴とは?/Lancet
中国湖北省・武漢市で発生した新型コロナウイルスの感染が、急速に拡大している。中 国・金銀澤医院のChaolinn Huang氏らは、2020年1月2日までに新型コロナウイルスの感 染が確認された入院患者について、現段階で判明している疫学的特徴と臨床転機について まえむきに調査、分析した。Lancect誌オンライン版1月24日号掲載の報告。
調査対象は、新型コロナウイルス感染が疑われ、武漢市内の指定病院に入院した患者の うち、RT―PCR方および次世代シーケンシングによって同法と特定された41例で、国際 重症急性呼吸器・新興感染症協会(ISARIIC)のデータを基に分析を行った。
主な結果は以下のとおり
・41例中30例(73%)が男性であった。
・年齢の中央値は49.0歳(㈣分位範囲:41.0~58.0)
・13例(32%)何らかの基礎疾患を有していた(糖尿病:8例、高血圧:6例、心血管 疾疾患:6例。
・27例(66%)が海鮮市場(華南海鮮城)に何らかの直接的関係があった。
・最初に特定された症例の発症日は2019年12月1日で、当該例ではほかの家族に発 熱量や呼吸器症状は見られなかったが、その後1例の家族クラスターが判明している。
・発症時の一般的症状は、発熱(98%)、咳(76%)および筋肉痛または疲労 (44%)で、喀痰や頭痛、喀血および下痢などもわずかに見られた。
・全症例で肺炎があり、胸部CTで異常な所見が認められ、98%で両側性病変を有してい た。
・40例中22例(55%)で呼吸器困難がみられ、発症から呼吸困難までの期間の中央値 は8.0日(㈣分位範囲*5.0~13.0)。
・合併症として、急性呼吸促拍症候群(29%)、RNAaemia(15%)、急性心障害 (12%)、 2次感染(10%)名だが見られた。
・32%がICUに入り、15%が死亡した。
・著者らは、本研究以降も感染者および死亡者数が急速に増加していることを踏まえ。「 今回の新型コロナウイルスが効率的なヒトーヒト感染能力を獲得したのではないかと懸念 している」とし、「パンデミックの可能性があるため、今後の宿主適応、ウイルスの進化 、感染性、伝染性および病原性を注意深く監視しなければならない」と述べている。
寝不足が脳に与える影響は深刻
寝不足で頭が働かないと感じるのは、気のせいではないようだ。睡眠不足がもたらす脳 への影響は、これまで考えられていたよりもはるかに深刻であることが、米ミシガン州立 大学の睡眠・学習ラボ(Sleep and Learning Lab)代表を務めるKimberly Fenn氏ら の研究で示された。寝不足が認知機能に与える影響は注意力だけにとどまらず、予想以上 に大きな危険を伴うことが分かったという。研究の詳細は 「Experimental Psychology:GeneraL」11月21日オンライン版に掲載された。
Fenn氏らは今回、計138人の参加者のうち77人には一晩眠らずに起きていてもらい 、61人には自宅で不通通りの睡眠を取ってもらい、認知機能を比較する実験を行った。 すべての参加者には、実験当日の夕方と翌朝に2つの認知機能に関するテストを実施した 。一方では、光に反応してボタンを押すまでの時間を測定して注意力を評価。もう一方で は、途中で作業を中断されても、1つのタスクを完了させるために複数の手順を踏むこと を指す「ブレースキーピング」の能力を評価した。
その結果、睡眠不足のグループでは、作業が中断された後にブレースキーピングエラー を起こす確率は、実験当日の夕方には15%だったに対し、翌朝には30%にまで急上昇 したことが分かった、一方、自宅で普段通りに眠つたグループでは、実験当日の夕方と翌 朝でエラーを起こす確率に変化はみられなかった。
Fenn氏は「今回の件きぅうでは、睡眠不足みよって不注意によるミスが起こる確率は3 倍に上がったが、「プレースキーピンエラーが起こる確率も2倍になることが示された。 これは驚くべき結果」と説明。その上で、「睡眠不足の人は、何をするにも十分に注意を 払う必要があり、大きなミスなどはしないと思つてはいけない。とりわけ自動車を運転す る際には、そうしたミスが悲劇的な結果をもたらすことも少なくない」と同氏は警鐘を鳴 らしている。
なお、Fenn氏らは、この分野の中では最も規模が大きいもので、睡眠不足がプレース キーピングに与える影響を始めて検討したものだという。
共著者の一人で同大学のMichell Stepan氏は「私たちの研究結果は、睡眠不足が認知機 能に与える影響は注意力に限られるという一般的な見方を覆すものだ」と指摘。「睡眠不 足でも、例えば医であれば、患者のガイタルを取るといつた日常的な作業は問題なき行え るかもしれないしかし、いくつかの手順に従う必要がある医療行為では、睡眠不足の状態 だと予想以上のミスを犯す危険性が高い可能性がある」と説明している。Fenn氏も「睡眠 不足は、仕事や生活のあらゆる面に多大な損失をもたらすことを知っておくべきだ」と注 意を促している。
なぜ風邪とインフルエンザは同時にかかりにくいのか
すでに風邪を引いている場合、インフルエンザにはかかりにくく、逆に、インフル エンザに罹っているときはかぜをひきにくいことが、英グラスゴー大学英国医学研究会議 (MRC)ウイルス研究センターの研究グループが行った大規模研究で明らかにされた。「 研究結果は、風邪やインフルエンザの流行の予測および疾患の蔓延をコントロールする方 策の改善につながる可能性がある」と研究グループは述べている。詳細は、「Proceedings Of the National Academy of Sciences 」12月16日オンライン版に掲載された。
研究では、2005年1月から2013年12月の間に、ウイルス性呼吸器疾患の疑いで検査を受 けた患者のデータを利用して、3万6,157人の患者における4万4230例の急性呼吸器系のウ イルスのうち、どのウイルスに感染しているかを調べた。その結果、35%(1万5,302例 )が少なくとも1種類のウイルスに対して陽性を示した。このうち8%(1,247例)は複数の ウイルスに感染していた。
コンピユータモデルによる解析の結果、個人と集団のいずれにおいても、A型インフ
ルエンザウイルスと、最も一般的な風邪の原因であるライノウイルスとの間には、同時感染を抑制する相互作用が生じることが判明した。A型インフルエンザウイルスに感染している患者では、他のウイルスに感染している患者に比べ、ライノウイルスに感染する率が約70%低かった。
研究グループは結果ついて「風邪とインフルエンザのこうした関係性は過去の研究でも 認められていたが、これほど大規模な研究で強力なエビデンスが得られたのは今回が初め てである」と述べている。また、論文の筆頭著者であるSemaj Nickbakhsh氏は、「われ われの研究では、インフルエンザが流行する冬の間は、軽度のかぜを引き起こすライノウ イルスの感染例が減少するという傾向が非常に顕著に認められた」として、「サバンナで ライオンとブチハイエナが餌を奪い合うように、呼吸器系ウイルスも、気道内の資源をめ ぐって争つている可能性がある」と推測する。
ただし、今回の研究では相互作用が認められたに過ぎず、それがなぜ生じたかわ分かっ ていない。また、症状がない患者においてはウイルスの振る舞いが違ってくる可能性もある。
研究グループは、ウイルスが体内で感染する細胞を奪いあつているのか、あるいは、 あるウイルスに対する免疫応答が別の無関係のウイルスが感染するのを妨げているのか、 あるいは、あるウイルスに対する免疫応答が別の無関係のウイルスが感染するのを防げて いるのかなど、ウイルスの相互作用についてさまざまな可能性を検討している頃だとい う。
コーヒー摂取で腸内環境が改善?
コヒーを摂取すると、腸内細菌叢のバランスが改善する可能性があることが、米ベイラー医科大学消化器内科准教授ノLI Jiao氏らが行った研究で明らかになった。研究の詳細は、米国消化器病学会」(ACG 2019、10月25~30日、米サンアントニオ)で発表された。
近年では、カフェインを摂取すると2型糖尿病た一部のがん、パーキンソン病など の様々な疾患」の発症リスクが低減するとの研究結果が報告されている。一方で、カフェ イン摂取は腸内細菌叢の組成を変える可能性があり、疾患リスクや健康全体にえいきょう するというエビデンスが蓄積している。
そこで、Jiao氏らは、カフェイン摂取と腸内細菌叢の組成との関連を調べる研究を行っ た。 なお、これまでは便サンプルを用いた研究が多かったが、同氏らは今回、大腸内視鏡検査 中に、結腸のさまざまな部位から組織の一部を直接採取して、腸内細菌叢の組成を分析し た。また、食物摂取頻度調査票を用いて、カフェインの摂取量について尋ねた。
研究では、34人の参加者から採取した97か所の生検サンプルを分析。その結果、過去 1年間にコーヒを1日2杯以上飲んでいた人は、それ以下が全く飲まなかった人と比べて 腸内細菌層のバランスが優れていたことが分かった。また、コーヒーの摂取量が多い人の 腸内細菌は種類が豊富で、大腸全体により広く」、均一に分布していることが明らかにな った。さらに、このような人の腸内細菌叢は抗炎症的で、Erysipelatoclostridiumなどの代 謝異常や肥満と関連する細菌が存在するかのうせいは低かった。
Jiao氏は「コーヒが腸内細菌叢に良い影響を及ぼす理由は分かっていない」としながら も、「カフェインなどの一部の成分が細菌の代謝に影響を与え、その代謝の最終産物が体 と相互作用している可能性がある」と説明。「1日」1~2杯のコーヒーは安全」で、健康 に保護効果をもたらす可能性がある。コーヒーが好きなら、我慢せずに楽しんで欲しい」 と付け加えている。
腸内環境を整えることが健康維持に重要であるという説は、科学者に間で確信に変わり つつある。今回の研究には参加していない非営利団体「責任ある医療のため医師会 (PCRM)のHana Kahleova氏は「腸内細菌叢は、食事と慢性疾患の発症を結びつけ うる腱であるようだ」と指摘する。
例えば、脂肪と加工食品が多い西洋型の食事をとる人では、肥満ヤインスリン抵抗性、 心血管疾患などのとの関連が指摘される悪玉菌の有毒成分であるエンドトキシンが多い傾 向がみられる。一方で、コーヒーに含まれるポリフェノールや他の抗酸化物質、植物性食 品に自然に含まれている化合物」は、より健康的な腸内細菌叢と関連する可能性が高いこ とが示唆されているという。
しかし、腸内細菌叢のバランスを整えるために、無理にコーヒーを飲む必要はないよう だ。「コーヒー以外にも、あらゆる自然の植物には、」がんや糖尿病、心血管疾患の予防 につながる食物繊維やポリフェノール、抗酸化物質が豊富に含まれている」とKahleova氏 は助言する。また、人によつては、コーヒーは胃を刺激したり、不眠症が悪化した李、心 臓病の人には危険をもたらす可能性があるとしている。
インフルエンザ予防の新知見、養命酒の含有成分が有効か
クロモジエキスを配合した、あめの摂取によるインフルエンザ予防効果が示唆された。
養命酒製造株式会社(以下、養命酒)と愛媛大学医学部付属病院こう抗加齢・予防医療セン ターの共同研究グループは、2017/2018シーズンに実施した「クロモジエキス配合あめ」 のインフルエンザ予防効果の関する二重盲検試験を実施。風邪症状(発熱、喉・鼻症状) の有無や有症日数についても同時に解析を行った結果、クロモジエキス配合あめ摂取群が プラセボ摂取群と比較して、インフルエンザ感染患者の抑制ならびに風邪症状の有症期間 を有意に短縮した。対象者は同大学で勤務し、インフルエンザクチン接種済の看護師の男 女134名で、1日3回、12週にわたりクロモジエキス67mgを配合したあめ摂取群とプラ セボあめ群とに割り付けられていた。この報告はGlycative Stress Research オンラ イン版2019年9月30日号に掲載された。
また、今年9月20日には、養命酒と信州大学農学部の共同研究グループがクロモジエキ スのインフルエンザウイルス増殖抑制効果の長時間持続に関する可能性を示唆し、クロモ ジ熱水抽出物の持続的なインフルエンザウイルス増殖抑制効果」に関する論文を、薬理と 治療(JPT)誌2019年8月号で発表した。)
このような論文報告をうけ、2019年11月11日、養命酒がメヂアセミナー「国産ハーブ 「クロモジ」の機能性研究におけるインフルエンザ予防の新たな可能性」を開催。伊賀瀬 道也氏(愛媛大学医学部附属病院抗加齢・予防医療センター長)が「クロモジエキスのイ ンフルエンザ・風邪予防に関するヒト試験について」川原岳志氏(信州大学学実術研究院 農学系准教授)が「クロモジエキスの持続的な抗ウイルス活性~3回チャージで19時間キ ープ~」について講演し、」報告研究の詳細を語った。
クロモジとは・・・クロモジ(黒文字、漢方名):鳥樟「うしよう」は日本の産地に自 生するクスノキ科の落葉低木である。クロモジから得られる精油はリラックス作用が期待 されるリナロールを主成分とし、非常に香りがあることから、古くから楊枝や香木などに 称されてきた。また耐久性もあるため、桂離宮の垣根や天皇即位式後の大甞蔡でも使用さ れた。
これまではクロモジを其のまま利用することが多かったが、近年では加工摘出される精 油やアロマウオーターの活用が広がっている。今回の研究はクリモジを摘出して濃縮、乾 燥させて作られるエキス剤が用いられた。このように用途が広がるクロモジだが、近年」 では様々な機能性研究がされており、今回は抗ウイルス作用に着目した研究が行われた。
川崎病:患者数が過去最高記録
川崎病とは : 5歳未満の小児に好発し、全身の血管炎を本熊とする原因不明の疾患 。
主要症状は、①5日以上続く発熱、②両側眼球結膜の充血,③口唇の紅潮、イチゴ舌、 口腔咽頭粘膜のびまん性発赤 ④不定形発赤 ⑤手足の硬性浮腫、掌足裏指先端の紅斑( 急性期)、指先からの膜様落屑(回復期)⑥非化膿性頸部リンパ節腫脹(急性期)
罹患率も過去最高に 同調査では、小児科を標ぼうする100床以上の病院および 100未満の小児専門病院に郵送または電子メールで調査票を送付。2017年1月1日 ~18年12月31日に受診した川崎病初診患者について検討した。調査対象は 1,804施設で、1357施設から有効回答を得た(回答率75,2%)。検討の結果 、患者数は2017年が1万5,164(男性8,635人、女性6,529人 )、2018年が1万7,364人(同9964人、7400人)。過去24回の全国調査 で報告された2018末までの累積患者数は計39万5,238人(同22万8,107 人、16万7、131人になった。2017年と2018年の罹患率(0~4歳人口10 万対)はそれぞれ313.6人(男性348,9人、女性276.5人)359、1人( 同402,6人313,4人)と、2018年の罹患率は前回までの調査で最高だった 2015年の330,2人を上回るり、過去最高を記録した。報告によると、「2016 年と2917年は患者数の減少傾向が観察されたが、2018年は過去最高となった。少 子化が進行しているにもかかわらず、患者数、罹患率はともに増加しており、この傾向は 今後も続くと推察される」という。
男性で高い罹患率 2018年の患者数の男女比は1,35、罹患率の男女比は 、1,28と、いずれも男性の方が高く、これまでの調査結果と同様であった。月別の患 者数を見ると、全ての月で男性患者が多い傾向が観察された。 月別患者数の分布に変化 気節別に患者数の推移を見ると、2015年までは秋季 (9~10月)に少なく、春季から夏希にかけて増加がみられた。従来1月に患者数のピ ーク が見られ、2015年には過去最高を記録したが、2016年以降は1月のピークが目立 たなくなっている。2016年は夏季(6~7月)に少なく、秋季(10~11月)に増加が見 られた。報告では、今後も月別患者数の分布の変化、特に1月のピークが目立たなくなる 傾向が続くのかのどうかの観察を継続する必要があるとしている。
心後遺症発生率も上昇 川﨑病では、発症1か月以降も心障害(特に冠動脈)が残存 する後遺症が問題となる。今回の調査では心後遺症は全体で845人(2,6%)、男性 548人(2,9%)、女性297人(2,1%)に報告された。心後遺症の内訳は、冠動脈の 巨大瘤が36人(0.11%)。瘤が206人(0,63%)拡大が488人(1,50%)、狭 窄が6人(0,02%)心筋梗塞が1人(0,003%)弁膜病変が164人(0,59&) であった。心後遺症の発生率は、1997~98年の7.0&から経年的に漸減していたが、今 回は前回調査の2,3%よりも上昇している。これは冠動脈の評価方法としてz-screが 普及しつつあることが影響していると考えるため、同グループでは今後詳細な検討を行う 予定という。
インフルエンザのワクチン接種は早めに
米疾病対策センター(CDC)は、南半球の状況を鑑みると今シーズンは北半球でもイン フルエンザの流行が早まると考えられ、直ちに予防注射を受けるべきであるとする警告を 、CDC発行の「Morbidity and Mortallty Weekly Report」10月11日号において 発進した。
インフルエンザに関するこの最新情報を執筆したCDCのScott Epperson氏は、この般 年間に南半球でインフルエンザが大流行した主な原因は、流行の開始が早かったことと、 症例の報告率が向上したことによるものであると説明し、「米国でインフルエンザが広が りだす前のこの時期こそ、ワクチンを接種し、これからの流行に備えるのにふさわしい時 であることを改めて伝えたい」と述べている。
2019~2020シーズンのワクチンは、現在出現しているインフルエンザ株に合わ せて昨年のものから変更されており、A型H1N1およびH3N2を予防できるものにな ることが見込まれる。また、これまでに認められている2種類のB型株との適合性も高い ととみられている。
CDCは、インフルエンザの流行時期は予測不可能として、良好に備え、生後6か月以 上の全ての人がワクチンを接種することを推奨しており、流行が始まる直前の10月が、 ワクチン接種に最も適した時期としている。
Epperson氏の説明によると、インフルエンザウィルスは1年中存在しており、夏の間は あらゆる型が循環しているため」、流行にどの株が優勢になるかを正確に予測することは できないという。しかし。どの株がワクチン含まれているかにかかわらず、「今シーズン のインフルエンザワクチンの接種は身を守るための要となるだろう」と同氏は述べている 。特に5歳未満の幼児、65歳以上の高齢者、妊娠中の女性のほか、糖尿病、心疾患、喘 息等の慢性疾患がある人など、インフルエンザの合併症リスクが高い人にはワクチン接種 が重要である。
また、生後6カ月未満の乳児にワクチンを接種することはできないため、両親をはじめ とする周囲の人がワクチンをして乳児への」感染を防ぐ必要がある。「インフルエンザワ クチンの接種により得られるベネフイツトの1つは、自分自身だけでなく、周りの人を守 ることにもつながることだ」とEpperson氏は話す。
Eppersonしによると、米国では毎年数十万人がインフルエンゼで入院し、数千人が合併症で死 亡」している。死亡率が高いのは高齢者よ乳幼児だが、若者や中高年者が死亡することも ある。ワクチンを接種しておれば、入院の確率を低減することができるし。万一インフル エンザに罹ったとしても、症状が軽くて済む。また、インフルエンザに罹った際は、医師 の診察を受けて抗ウイルス薬を処方してもらえば、回復までの時間が短くなる
夜更かしする10代女子は太りやすい?
夜更かしするテイーンエイジヤーの女子は太りやすい可能性があることが、米マリチューセッツ総合病院小児科部長のEisie Taveras氏らの研究から明らかになった。特に平日と週末の就寝時間に差が生じる「社会的時差ボケ」があると、肥満や心疾患、糖尿病などの心血管代謝異常となるリスクが高まることも分かった。一方、このような関連は男子ではあられなかつたという。研究結果の詳細は「JAMA Pediatrics」9月16日オンライン版に 掲載された。
これまでの研究でもテイーンエイジヤーの睡眠不足と肥満や心血管代謝異常との関連は認められていたが、就寝時間や社会的時差ぼけの影響についてはあまり検討されていなかった。Taveras氏らは今回、マサチューセツツ州東部在住の妊婦から生まれた児の健康状態を20年間追跡した観察研究から、12~17歳のテイーンエイジヤー804人(平均年齢13.2歳、女子418人)を対象に分析した、同氏らは、特に参加者が「朝型」か「夜型」か、「社会的時差ぼけ」があるかどうかに注目した。
この研究は、就寝時間と体重増加の関係を証明するものではない。しかし、専門家の1人で米レノツクス・ヒル病院の睡眠医学センターのデイレクターを務めるSteven Feinsiilver 氏は、「嗣明不足が体重増加につながることは以前から分かっていた。これは、睡眠不足が食慾を制御する2種類のホルモンに影響することによるものと考えられる」と述べている。
また、Tveras氏らは「睡眠の質や量だけでなく、睡眠を取るタイミングも重要な要素の一つだ。なぜなら、個人の概日リズム(24時間の睡眠と覚醒周期)が日日の活動(のリズムと同期するかどうかを決定づけるためだ)と説明。「これは特に、夜型を好み、勉強のために睡眠が不規則になりやすい若者にとって重要だ」と話している。。 これらの結果を踏まえ、4誌緩い尾Taveras氏らは「「1週間を通して一貫した就寝時間を保つことで、社会的時差ぼけを減らすことができ、肥満や心血管代謝異常のリスクも最小限に抑えることができる」と述べている。一方。論文の筆頭著者である米カイザー・パーマネンテ北カリフォルニア研究部門Elizabesu Cespedes Felicanno氏は「親は子供に、うう方以降は電子メジアを使用させず、カフェイン摂取を控えさせるだけでなく、毎日、音字時間に就寝して起床するよう働きかける必要がある」と助言している。
また、Taveras氏は、家庭だけではなく学校側も、授業の開始時間を遅らせたり、日中に勉強時間を十分に確保したりすることで。夜遅くまで宿題をする必要がない。よう工夫できるはずだと付け加えている。
インフル発症リスクは喫煙者で5倍強
喫煙者は、非喫煙者と比較してインフルエンザの発症リスクが高い可能性が示唆された。
英国・ノッテインガム大学のlawrence Hannah氏らは、喫煙とインフルエンザ感染との関連をシステマテイックレビーで調査し、結果をThe Jounal of Infection誌 2,019年8月26日号に発表した。
研究グループは、MEDLIN、EMBASE、CINAHL、LIACS、LILACS、Web of Scienceのデータベースを、それぞれ創刊から2017年11月7日までの期間検索し、関連するランダム化比較試験、コホート研究および症例対象研究を特定した。臨床症状からインフルエンザを定義した研究6件と、検査でインフルエンザウイルスが確認された研究3件が対象とされた。
主な結果は以下のとおり。
・9つの研究、4万685例の患者についてレビユーを行った。
・インフルエンザ様症状を報告した6つの研究において、現在の喫煙者は非喫煙者よりも、発症リスクが34%高かった。(OR:1.34、95%CI:1.13~1.59)。
・検査で発症が確認された3つの研究において、現在の喫煙者は、インフルエンザ発症リスクが非喫煙者の5倍を超えていた(OR:5.69、95%信頼区間「CI」:2.79~11.60)。
内臓脂肪を減らす「スマート和食」、そのメカニズムとは
「和食(Washoku)が、日本の伝統的な食文化として」、ユネスコの無形文化遺産に登録されたのは2013年、その健康効果には世界的に注目が集まっているが、ヒトの内蔵脂肪蓄積に与える影響やメカニズムについては不明である。 今回、板根 真樹氏(京都医療センター臨床研究センター予防医学研究室長)、高瀬秀人氏(花王株式科学 生物化学研究所)らの研究グループは、日本の伝統に基づく食事が、内臓脂肪面積あるいはGIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)分筆に及ぼす効果を調査した。Nutrition Journal 誌2019年9月12日号に報告。
同グループは、これまでの研究で、1万1438人お内臓脂肪と食習慣、さらに579人も3日間の食事記録と食習慣を調査した。それらのデータを詳細に解析した結果、「タンパク質/脂肪比0.054」「食物繊維/炭水化物比0,063」「ω―3脂肪酸/脂肪比>0,054」これら3つの条件が、内臓脂肪蓄積の予防と関連することが明らかにになった。
板根氏らは、この3つの比を取り入れた日本食を「スマート和食」と呼び、スマート和食と現代食が内臓脂肪蓄積に与える影響について、クロスオーバ試験で調査した。
主な結果は以下のとおり。
・対象は、21人の過体重あるいは肥満の男性(平均年齢41.0±9,0歳、平均BMI:25.2+2.9kg/M2
・単回の食事負荷試験で、食後0、30、120、180、240分におけるGIPの曲線下面積(AUC)を算出した。スマート和食では、現代食と比べ、食後」GIP濃度が有意に低かった(AUC:700.0±208.Opmo!/L・4h VS 1117.0±351.4 Pmol/L・4h、p<0.05)一方、同時に測定した血糖、中性脂肪。インスリン、GLP-1,peptide YY,グレリンでは、両群間で差を認めなかった
・2週間にわたるスマート和食の介入では、内贈脂肪だけでなく、LDL-コレステロール、中性脂肪、HBALC値が有意に減少した
・これらの結果から、スマート和食は、おそらくGIP分泌の抑制を介して、過体重/肥満男性の内蔵脂肪面積を低下させ、代謝パラメーターを改善する可能性が示された。
・板根氏はコメントで、「今回の結果より、GIPが和食の内奥脂肪低減効果のメカニズムに関与していることが示唆された。ポッコリお腹を何とかしたいという患者さんはたくさんいる。食事では、脂肪を減らしてタンパク質を増やす。糖質を摂る前に野菜・キノコ・海藻類などの食物繊維をたっぷり摂る、脂質を摂るならw-3型脂肪酸を摂る。という3つのポイントが大事」内臓脂肪を減らすための食事指導者を勧めている。
インフルエンザ増加傾向、例年比較で「かなり多い
国立感染症研究所が8月30日付でまとめた感染症週報(8月12日~18日)によると、全国の指定された医療機関(定点)約5,000カ所から報告されたインフルエンザの報告数が3週連続で増加しており、過去5年の同時期(前週、当該週、後習慣)と比較して「かなり多い」数値Snyder誌だった。
全国総数では定点当たり0.23(報告数:1,075)となり、都道府県別に見ると、沖縄で突出して多く(定点当たり12,26)次いで愛媛県(同:0.39)、福島県(導:0.28)となっている。
そのほか、今夏各地で流行した手足口病やRSウイルスなどの主な小児科定点報告疾患については、軒並み減少傾向。一方で、マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数月2週連続で増加している。戸津府県別では、北海道(定点当たり:0.65)、大阪府(同:0.50)、栃木県(0.43)で報告数が多かった。
日本の小中学生におけるインフル予防接種の有効性
インフルエンザワクチンの接種は、インフルエンザの発症予防や発症後の重症化の予防に一定の効果があるとされている。今回、東北大学の國吉保孝氏らが、地域の小中学生における気節性不活化インフルエンザワクチン接種は(IIV)の有効性について2シーズンで評価した結果が報告された。Human Vaccines & Immunotherapeutics誌オンライン版オンライン版2019年19日号に掲載。
本研究は、公立小中学校の生徒における2012/13年および2014/15年シーズンのデータでの横断調査。調査地域における対象学年の全員にアンケートを配布し、得られた7,945人の回答を分析した。予防接種状況とインフルエンザ発症は、両親または保護者による自己申告式アンケートにより判断した。一般化線形混合モデルを用いて、学校および個人の共変量におけるクラスタリングを調整し、予防接種状況とインフルエンザ発症との関連についてオッズ比および95%信頼区面(CT)を計算した。
主な結果は以下のとおり。
・予防接種率はシーズンで同程度であったが、2015年のインフルエンザ発症率は2013年の調査よりも高かった」(25%vs17%)。
・未摂取群に対する、1回もしくわ2回の予防接種を受け群におけるオッズ比は、20」3年では0,77(95%CI:0.65~0.92)、2915年では0.88(95%CI:0.74~1.00)であった。
・必要な回数の接種を完了した群におけるオッズ比は、2013年では0.75(95%CI:0.62~0.89)、2015年では0.86(95%CI:お。74~1.00)であった。
これらの結果から、地域社会のリアルワールドにおいて、気節性HVが日本の小中学生のインフルエンザを予防したことが示された。なお、2シーズン間の臨床の差については、「おそらく流行株とワクチン株の抗原性のミスマッチが原因」と著者らは考察している。
脳年齢はパソコンやゲームで維持できる?
年齢を重ねても、パソコン操作やゲーム、社会参加などを通じて脳を活性化させていれば、記憶力の低下を回避できるかもしれない。そんな研究結家が、米メイヨー・クリニックの精神科医であるYonas Geda氏らにより示された。加齢に伴う記憶力の低下は、アルツハイマー病などの認知症の前段階にみられる軽度認知障害(MCI)の兆候の一つだ、しかし、Geda氏らによると、脳を働かせ続けることで明確な状態を保つことができる上に、年齢に関係なく効果が得られるという。詳細は「Neurology」7月10日オンライン版に発表された。
Geda氏らは、研究開始時にMCIがなかった70歳以上(平均年齢78歳)の男女2,000人を対象に、中央値で5年間追跡、研究参加者は50~65歳時(中年期)および65歳以降(高齢期)に行っていた脳を刺激する活動(読書、パソコン操作、ゲーム、クラフト活動)に関する質問に回答したほか、5年間にわたって15カ月ごとに思考力と記憶力の検査を受けた。この期間に532人がMCIを発症した。
これらのデータをGeda氏らが解析した結果、中年期にパソコンを使用していた人では使用していなかった人の比べ、MCIを発症するリスクが48%低かった。同様に、66歳以降にパソコンを使用していた人ではMCIリスクが30%低く、中年期および高齢期にパソコンを使用していた人ではMCIリスクが37%低いことも示された。
また、友人と交流したり、映画を観に行ったりするなど社会活動の機会がある人や、ゲームを楽しむ機会がある人では、MCIを発症するリスクは低下することも示された。例えば、頭を使う活動の機会が全くない場合と比べて、2種類の活動で28%、3種類の活動で45、4種類の活動で56%、5種類の活動で43%のリスク低下が認められた。 なで、頭を使っておれば認知機能が低下しにくくなるのか、現時点でその理由は不明だが。Geda氏は「頭は使えば使うほど脳がポジチブに反応するようだ」と話す。また、「脳を使う活動の機会が多い人は、運動習慣や健康的な食習慣など他の行動面でも優れている可能性がある。こうした習慣は脳の健康に良い影響を与える」と説明している。 一方、論文の筆頭著者である同クリニックのJanina Krell―Roesch氏は、コに研究について「観察研究であるため、頭を使う活動とMCIリスクに関連が認められたにすぎない」と説明、こうした活動でMCIを予防できることが証明された分けではない」として。慎重な説明を求めている。
ただし、Geda氏は「70歳以上になっても頭を使う活動に取り組むことは有益だ、今回の研究では何歳になっても「こうした活動を始めるのに遅すぎることはないことが示された」と付け加えている。
今回の報告を受け、この研究には関与していない専門家の1人で米アルツハイマー病協会のHeather Snyder氏は「加齢に伴い衰える脳の健康を維持し認知機能がイェイカスルリスクを低減する方法はあることを示すエビデンスは増えつつ圧。今回の研究研究結果も、それらのエビデンスに一致するものだ」 とコメントトコメント。また、「可能であれば野の健康は死ぬまで維持したいものだ征敏的にも社会的にも刺激に富んだ多様な活動に、生涯取り組んでいくことが重要だ」と話している。
意外な食品が腹部膨満感の原因に?
食後の腹部膨満感は、繊維質の多い食事ではなく、“意外な食品”が原因かもしれないー、 米ジヨンズ・ホプキンズ大学生ブルームバーグ公衆衛生大学院のNoel Mueller氏らの研究から、塩分を取り過ぎた時に、腸が過剰に反応して副膨満感を引き起こしている可能性が示された。同氏は「減塩は、腸内のガスの発生を防ぎ、腹部膨満感の症状軽減に効果的なだけでなく、健康的で食物繊維が豊富な食事を続けるのにも役だつ可能性がある」と述べている。研究の詳細は「American Journal of Gastroenterology」 7月号に掲載された。
この研究は、1998~1999年に実施された大規模試験、DASH―Sodium試験のデータを用いたもの、この試験では、健康な成人を対象に、高血圧の予防や改善を目的とした食事群または食物繊維が少なく、脂肪が多い平均的な食事を取る群にランダムに割り付け、塩分摂取や他の因子が高血圧に与える影響を調べた。今回は計412人(平均年齢48歳、女性57%)を対象に解析を行った。
ベースライン時に、参加者の36.7%が腹部膨満感を訴えており、その症状は女性に比べて男性で強かった。また、食事内容にかかわらず、塩分の接収量が多い人では腹部膨満感を生じる確率が27%高いことが分かった。一方で、塩分摂取量を減らすと腹部膨満感の症状が軽減することが示された。
塩分が腹部膨満感を引き起こす機序は明らかになっていないが、Mueller氏は、「塩分の摂取量が多いほど体内に水分が」貯留され、消化効率が低下して腸内でガスが発生し、腹部膨満感が引き起こされる可能性がある」と説明する。また、同氏によれば、マウスを用いた実験で、食事に含まれる塩分は腸内細菌の組成を変化させる可能性が示唆されており、そのことが腸内ガスの発生につながっているとも考えられるという。
これらの結果を踏まえ、Mueller氏は「加工食品を避け、食事からの塩分摂取量」を減らすことが腹部膨満感の症状軽減に役立つかもしれない」と述べている。米国では成人の3人に1人が腹部膨満感を抱えており、過敏性腸症候群の患者ではその割合は90%以上に上るとみられている。
専門家の1人で、米ニユーヨーク大学‘(NYU))ランゴン・ヘルスのSamantha Heller氏によると、腹部膨満感の原因には、乳糖不耐症やセリアック病、小腸内細菌異常増殖症。感染症菜緒が挙げられる。症状が長引く場合には医師の診察を受ける必要があるが、症状自体は珍しいものではないという。なお、過剰な腸内ガスの発生を抑えるため、同氏は、以下の方法を勧めている。
・定期的に運動する。
・ファーストフードや 冷凍食品、ジヤンクフード、揚げ物などのか加工食品をさける。
・十分な水分を摂取する。炭酸飲料は避ける。
・野菜やマメ類、全粒穀物など食物繊維が豊富な食品」を食べる。ただ、少しずつゆっくり食べ、こまめに水分を取る。
・全体的に食事量を控え目にする。
持続する疲労感は成長ホルモンのせい?
ノモノルテイスクフアーマ株式会社は、都内で成長ホルモン分泌不全症に関するプレスセミナーを開催した。 セミナーでは「成人成長ホルモン分泌不全(AGHD)とは」をテーマに、亀田旦氏(山形大学医学部付属病院第3内科 糖尿病・代謝・内分泌内科)を講師に迎え、なかなか診療まで結びつかない本症に関し、症状、診断と治療、患者へのフオローなどが紹介された。
成長ホルモンは体全体に作用する
成長ホルモン(以下「GH」と略す)は下垂体で作られ、20歳くらいまで多く分泌され、それ以降は低下する。そして、下垂体でつくられたGHは、静脈血に乗つて、さまざまな標的器官に運ばれ、次のように作用する。
脳:思考力、意欲、記憶力を高める作用
軟骨・骨:正常な軟骨・骨の成長と強固な骨構造、骨量を維持する作用
心・骨格筋:心筋の強度・機能を高め、心臓の駆出機能を維持する作用
免疫系:免疫機能を亢進する作用
脂肪組織:脂肪代謝を促す作用
肝臓:糖新生作用の促進、IGF=1産生を促す作用
腎臓:水、電解質の調節作用
生殖器系:精巣・卵巣の正常な成長・発達を促進し、生殖機能を維持する作用 GHが不足するとAGHDを来し、亢進すると先端巨人症などの疾患をきたすためにGHはバランスよく分泌される必要がある。
疲労感、集中力の低下などの日常の症状から疑う
AGHDの主な症状として(詳細は「成人成長ホルモンの分泌不全症の診断と治療の手引き(平成24年度改定)を参考」、疲労感、集中力の低下、うつ状態、皮膚の乾燥、体型の変化、骨量の低下、サルコペニア、脳腫瘍の合併などがある(小児発症では成長障害を来す)。 そして、AGHDの原因としては、脳の腫瘍や頭部外傷、中枢神経の感染症がかんがえられ、腫瘍によるものが多いという。
診断では、先述の臨床所見のほか、インスリン、アルギニン、L-DOPAなどの負荷によるGH分泌刺激試験の結果と合わせて診断するほか、同時に重症度も判定される。 治療ではソマトロピン(商品名:ノルデイトロインほか)などのGH補充療法が行われている。我が国では、1975年から成長ホルモン分泌不全性低身長症の治療にGH補充療法が開始され、1998年にコンセンサスガイドラインができたことで世界的な治療へと拡大した。1998年にコンセンサスガドラインができたことで世界的な治療へと拡大した。ADHDには2006年から適応となり、現在も様々なGH関連疾患への適応が続いている。
ダイエットと飲料は摂取カロリーの削減にはつながらない
子どもは高カロリーな加糖飲料よりも、低カロリーな人口甘味料入り飲料を多く摂取しても、摂取カロリーの削減につらがらない可能性があることが、米ジョージ・ワシントン大学ミルケン公衆衛生大学院のAllison Sylvetsky氏らの研究で示された。同氏らは、この研究結果は、子どもの肥満対策には、加糖飲料や人口甘味料入りではなく、水を飲むべきだとする米国心臓協会(AHA)などの推奨を裏付けるもだとしている。研究の詳細は「Pediatoric Obesity」5月2日オンライン版に掲載された。
この研究は、SYLVETSKY氏らが2011~2916年の米国民健康栄養調査(NHANES)のデータを分析したもの。7026人の子どもや10歳代の若者から24時間思い出し法で得られた栄養調査の結果に基づき、低カロリ―飲料または加藤飲料を多く飲む群、あるいは両方を飲む群と水を飲む群の総エネルギーおよび主要栄養素の摂取量を比較検討した。
なお、「水を飲む群」は1日に120ml以上の水を摂取し、砂糖や人工甘味料入り飲料を殆ど摂取しない場合とし、『低カロリー飲料群』と「加藤飲料群」はいずれか一方を1日に約120ml以上飲む場合、「両方を飲む群」はいずれも同量を飲む場合と定義した。また、「低カロリー飲料」には、「無糖」「ダイエット」「ライト(カロリ―控えめ)」「低カロリー」「ゼロカロリー」と表示された全ての飲料が含まれていた。
その結果、1日の総カロリー接収量と食品に添加された砂糖を含むすべての砂糖の接収量は、水を含む群で最も少なかった。一方、1日の総カロリー接収量(平均)は、水を飲む群に比べて低カロリー飲料を飲む群では196cal多く、加藤飲料を飲む群では312cal、両方飲む群では450kalそれぞれ多いことが分かた。(いずれもP<0.05)
また、低カロリ―飲料を飲む群と加藤飲料を飲む群では、1日の総カロリー摂取量には差はみられなかった。一方、低カロリー飲料を飲む群では、加藤飲料を飲む群に比べて1日に摂取する全ての砂糖摂取量は少なかった。
これらの結果を受け、Syvetsky氏は「水分補給には水を飲むのが最善の選択肢だ。たとえ低カロリ―であっても人口甘味料いり飲料を避け、水を飲むべきだ」と結論づけている。しかし、子どもに甘い飲み物よりも水を選択させるのは難しいようだ。先週、米ペンシルバニア州立大学の研究グループが発表いた調査によれば、米国では、子どもの5人に1人はほぼ毎日、水は殆ど飲んでいないことが報告されているという。
この研究に関与していない」米国栄養士会(Akademy of Nutrition and Dietetics)のスポークスパーソンで、管理栄養会(Akademy of Nutrition and Dietetics)のスポークスパーソンで、管理栄養士のJulie Stefanski氏は飲料は食べ物の好みに影響する場合があり、「成人を対象とした複数の研究で、人工甘味料を摂取する甘い食べ物への欲求が高まることが報告されている。水を飲めば、こうした甘い食べ物への欲求が抑えられるかもしれない」と述べている。
乳児の就寝中の窒息死を防ぐ方法は?
乳児の死亡事故は痛ましいものだが、案電対策をしっかり行えば防止できる事例も多い。疫学者で米DB Consulting Group社Alexa Erck Lambert氏らによる研究で、乳児の就寝中の窒息死の多くは、「仰向けでなくうつ伏せや横向きに寝かせている」「大人用のベットで寝かせている」ことが原因であることが明らかになった。同氏は「窒息死は乳児の突然死のごく一部ではあるが、きちんと対策することでその多くはおおくは防げることを知ってほしいてほしい」と呼び掛けをしている。研究の詳細は「Pediatoricus}5月1日号に形成された。
就寝中の乳児の窒塞や首締まりによる死亡事故は、全体では発生率は低いものの、米国では増加傾向にある。Erck Lamberut氏らによると、こうした死亡事例の報告は「1199年の6件に対し、22015年には23件へと増加した。このような増加は、死亡原因の定義が明確化されたことによると考えられるが、発生件数は、実際にはもっと多い可能性がある」と同氏らは指摘している。
この研究は、米国の乳幼児突然死症候群(SUID)のデエータベースを用いて、2011~2014年に発生した1,800件以上の乳児死亡例について分析したもの、SUID全体の14%(250人)が窒息死であった。
分析の結果、突然死の原因は「柔らかい寝具」(69%)が最も多かった。柔らかい寝具のうえで窒息死した事例のほとんど(92%)で、乳児は仰向けではなく、横向きかうつぶせに寝ており、ほぼ半数は大人用のベットで寝ていた。窒息の原因となった寝具には枕や毛布、クッシヨンが挙げられた。
さらに、窒息死の原因は、「添い寝をした人の身体の一部で圧迫される」(19%)、「マットレスと壁などにはそまれる」12%が続いた。添い寝に伴う窒息死の多くは親によるものであったが、兄弟の事例も22%見られた。マットレスと何かの間に染まれた事例では、半数は壁との間に、約4分の1はベットフレーム(このうち4の3が大人用のベツト)との間に挟まれ死亡していた。
この研究には関与していない米ノーザン・ウエストチェスター病院小児科部長のMaryann Buetti-Sgouros氏は「この研究結果には驚かなかった」としながらも、「これまで起こった乳児の窒息死は、ほとんど防止できるものだった」と強調している。
Buetti-Souros氏によると、親の中には、子どもを世話するのに添い寝がよいと考えていたり、寝返りが寝返りばできるょうになったため、うつぶせに寝かせても大丈夫だと考えたりする人もいる。しかし、窒息死した乳児がうつ伏せで寝ていた割合は、生後0~4カ月では90%弱、生後5~11か月では70%弱に上っていた。このことからも、同氏は「添い寝やうっぶせ寝にはリスクにみあうだけの価値はない」と話している。
そこで、Buetti Sgouros氏は、乳児を仰向けに寝かせることを推奨する米国小児科学会(AAP)のガイドライインを守るように助言している。同ガイドラインでは、生後12か月までは親と同居人(ただし別のベット)で寝かせることを進めている、また、 米疾病対策センター(CDC)は、乳児は硬い寝具の上に寝かせ、寝ている乳児の周りには枕やベットガード、毛布,ぬいぐるみ」などの玩具を置かないことを推奨している。
4歳児の寝室にテレビを置くべきでない理由
幼児期より寝室にテッレビがあった子どもは、思春期には過体重や肥満になりやすく、精神面や社交界に問題を抱えるリスクが高まることが、モントリオール大学(カナダ)教授のLinda Pagani氏らの研究で示唆された。この研究は、国際心理学会議(ICPS 2019、3月7日~9日、フランス・パリ)で発表され、論文はPediatric Reseach」2018年12月26日オンライン版に掲載された。
この研究では、カナダのケベック州で1997~1998年に生まれた子どもは、1859人8うち男児952人)を対象に分析した。子どもが12~13歳になった時点で健康状態を評価し、4歳だっときの寝室のテレビの有無との相関を調べた。
その結果、4歳だったときに寝室にテレビがあった子どもは、12さいの時点で肥満度(BMI)が高く、13歳の時点で不健康な食生活になりやすく、社交性が低く、精神的苦痛や抑うつレベルがたかかったほか、被害者意識が強く、他人に対して攻撃的になりやすい傾向が見られることが分かった。これらの関連は、こうした症状や問題の原因となりうる子ども自身や家族の要因とは無関係であった。
これらの結果から、Pagani氏らは、この研究結果は明白で、「どのようなものであってもスクリーン(画面)を見て過ごす時間が長すぎるとリスクを伴うことを明確に示している」と述べている。
また、Pagani氏は「子どもの発達において幼少期は非常に重要だ」と語る。「親はホ能的に、こどもの余暇の過ごし方が、その後のウエルビーイング(心身が健康で幸福な状態)に長期にわたって影響をあたえることを知っているはずだ」とした上で、「スクリーンを眺めて何時間も過ごすことが、子供の成長と発達に悪影響をおよぼすことは明らかだ。」とりわけ、寝室のような場所にテレビが置いててあれば、その影響はさらに大きくなる」と付け加えている。
Pagani氏よると、問題はテレビのおき場所だという。同氏は「未就学児が自分の寝室で自由にテレビを見ることができる環境は、肥満につながったり、精神面や社交性に長期にわたり悪影響を及ぼすと考えられる」と述べている。
さらに、同氏は「この研究が始まった当時は、画面といえばテレビだったが、今日では様々なデジタル機器が場所を問わず使われている」と指摘する。その上で、「こうした現状を踏まえれば、米国小児科学会(AAP)のガイドラインにおいて、家の中にスクリーンを使わないで過ごすスペースを設けることが推奨されているのは妥当だといえる。今回の研究結果は、このガイドラインを強く支持するものだ」と説明している。
アトピー性皮膚炎、睡眠の質に影響
睡眠の時間と質は全年代の健康に関するトピックの1つである。しかし、アトピー性皮膚炎(AD)の特徴であるそう痒は、睡眠を阻害すると考えられているものの詳細は知られていない。米国・カリフォルニア大学のFaustine D・Ramirez氏らは、英国の出性コホートを用いた横断研究のおいて、ADと睡眠の質の低下が小児期から関連していることを明らかにした。この結果を踏まえて著者は、「睡眠はすべての小児AD,とくに喘息またはアレルギー性鼻炎を併存している症例や重症例については、睡眠の質を考慮すべきであり、それを改善するための介入が必要である」とまとめている。JAMA Pediatorics誌 オンライン版2019年3月4日号掲載の報告。
研究グループは、活動性のADを有する小児において、睡眠持読時間と睡眠の質が妨害されているかどうか、また、重症度が興奮アウトカムに影響を及ぼすかどうかを明らかにする目的で、英国・エイポン州の出 研究グループは、活動性のADを有する小児において、睡眠持読時間と睡眠の質が妨害されているかどうか、また、重症度が興奮アウトカムに影響を及ぼすかどうかを明らかにする目的で、英国・エイポン州の出生コホート研究として{Avon Longitudinal Study of Parents and Chidren}に登録しているデータータを用いて解析した。
1歳児1万3,988例を対象とし、ADと睡眠についての自己申告による評価を16歳まで繰り返した、本研究では、1990~2008 1歳児1万3,988例を対象とし、ADと睡眠についての自己申告による評価を16歳まで繰り返した、本研究では、1990~201年に収集されたデータを基に、2017年9月~2018年9月に解析を行った。主要評価項目は、睡眠時間と睡眠の質(夜間中途覚醒、早朝早期覚醒、熟眠困難、悪夢など)の複合で、2~16歳の間に繰り返し測定された。
主な結果は以下のとおり。
・追跡期間中央値は、11年(㈣分位範囲{IQR}:5~4年)であった。
・1万3099例(男児7,229例(51.9%)のうち4938例(35.3%)が2~16歳の間にADの定義を満たした。
・活動性の小児の患者とAD患者とADのない小児の睡眠時間は、すべての年齢層において同様だった。また、小児期の差の平均は、小児AD患者でー2分/日と臨床的に無視できるものだった。(95%信頼区間「CI」-4~0分)
・対照的に、活動性の小児AD患者の睡眠の質は、すべての評価時点において不良との報告が多く、睡眠の妨害を経験する確実が約50%高かった(補正後オツズ比『aok』:1,48、95%CI95%CI:1,33~1.66)
・睡眠の質は 重症AD(きわめて悪い/非常に悪い(aOR;1,68.95%CI:1.42~1.98)、喘息またはアレルギ性鼻炎の併発あり(aOR;1.79、95%CI;1,54~2、09)㋨症例で、より悪かった。
・しかしながらADの重症度が軽症AD(OR1,40、95%CI:1.27~1.54)。 または比活動性AD(OR:1,41、95%CI:1.27~1.55)であっても、睡眠の質はを損なう可能性が」統計学的に優位に高かった。
幼児期のペットはアレルギーにどう影響
ここ数年、わが国では猫ブームが続いている。2月22日は、「猫の日」として認知され、全国で猫に関するイベント、グッズの販売などが行われている。こうしたペットは、私たちの健康にどのような効果をもたらしてくれるだろうか。
スウエーデン・イエーテポリ大学のBill Hesselmar氏らは、幼児期からペツト飼育がその後のアレルギーリスクを軽減するか、また、ペット数とどう関係するか検討を行った。PLOS ONE誌2018年12月19日号の報告。
研究では2つのコホートとして、MoindalおよびKirunaの7~8歳の子ども(1029例)への横断的アンケートベース研究と、小児科医から喘息についてアレルギーの臨床的評価がされたVastra Gotalan県の8~9歳までの子供(249例)の出生コホートについて、喘息とアレルギーに関する検証済の質問により調査された。
主な結果は以下のとおり。
・生後1年の間に家庭内で猫や犬の飼育数が増えるにつれ、アレルギー症状(喘息、アレルギー性鼻炎、湿疹のいずれか)がより少なくなる。相関関係がみられた。
・横断的コホートでは、ペットがいない子供の49%(前年32%、(P=0,0061)にアレルギーがあるのに対し、5匹以上ペットがいる子供のアレルギー発症は0だった(P=0.038)
・同じパターンが出生コホートでみられ、花粉だけでなく動物への感作も、家庭内での動物数の増加」とともに減少していた。
著者らは「7~9歳の小児におけるアレルギー性疾患の罹患率は、生後1年の間に同居するペットの数が多いほど減少し、猫と犬によってアレルギーの発生から保護される(ミニー農場。)効果が示唆される」と述べている。
脳梗塞
脳梗塞は、一般に「脳卒中」と呼ばれる病気の一つです。「脳卒中」は「脳梗塞」「脳出血」 「くも膜下出血」に分類されますが、なかでも近年、増加が著しいのが脳梗塞です。
脳梗塞とは? 脳梗塞には、動脈硬化のために脳の血管が詰まる「脳血栓症」と、心臓や頸動脈などにできた血栓がはがれ、血流に乗って脳動脈に達し血管を詰まらせる「脳塞栓症」があります。いずれも脳の血管が詰まり、その先の細胞が死んでしまうことによって、身体の麻痺や言語障害などの後遺症が残るケースが少なくありません。 脳梗塞の前触れ発作(TIA)とは? 脳梗塞には、TIA(―過性脳虚血発作)と呼ばれる前触れ発作が起こしたことがあります。多くの場合、症状は数分~30分以内に治まりますが、いったんTIAを起こすと、1週間~1カ月以内に本格的な発作を起こす危険性が高くなります。以下のような症状に気付いたたら、すぐに専門医を受診するようにしましょう。
運動機能に関する症状:左右どちらかの手足に「力が入らない」「動かせない」などの麻痺症状が起こる。知らない間に持ったものを落す、など
感覚機能に関する症状:体の片側だけがしびれる、感覚がなくなる、など
平衡感覚に関する症状:天井がぐるぐる回るようなめまいが起き、立っていられない、など
視覚に関する症状:視野の半分が欠ける、片方の目が見えなくなる、など
言葉に関する症状:言葉が出なくなる、ろれつが回らない、など
疑わしわしき症状があれば、早急に専門医の診断を受けるようにしましょう。
脳梗塞は治療が遅れると、身体に重度の麻痺が残ったり、死に至る場合もあります。 脳梗脳梗塞の予防は?脳梗塞の予防には生活習慣病の管理が大切です。高血圧や脂質異常症、糖尿病などは脳梗塞のリスクを高めます。必要であれば薬物治療を行い、高カロリー高脂肪の食事を控える、運動不足の解消など、生活習慣病をきちんとコントロールするようにしましよう。また体内の水分が減ると血液が濃いくなり、血栓ができやすくなります。しっかり水分補給をするように心がけましょう。ほかにも、暖かい部屋から寒いところへ出ると、血管が収縮して脳梗塞が起こりやすくなります。冬場にトイレなどに行く場合は、十分に気を付けましょう。
脳梗塞の前触れ:片方の目が見えない。言葉が出ない。手足に力が入らない・麻痺して動かせない、視野の半分が欠ける、突然のめまい、体の片側だけがしびれる・感覚がない
市販の風邪薬で心血管疾患リスクが上昇する恐れ
今シーズン、米国ではこれまでに600万人がインフルエンザ入力罹患し,風邪も蔓延している。これらの感染症にかかったら、病院に行く前に、先ずは薬局で市販薬を求める人も多いだろう。しかし、米国の専門家らは、市販の風邪薬の中には心血管に悪影響を及ぼすものもあることを理解し、使用する際には慎重に判断するようにと注意喚起している。
その一人で、米国心臓協会(AHA)と米国心臓病学会(ACC)が2017年に共同で発表した、成人における高血圧ガイドラインの共著者の1人である米ピツツバーク大学医療センター(UPMC)ピナクルヘルス心血管研究所のSondora DePalma氏は「コントロール不良な高血圧や心疾患を有する人は、経口の充血除去薬(鼻炎薬)の使用は避けるべきだ」とし、一般の人や心血管リスクが低い人でも主治医の指示に従って使用するよう勤めている。
鼻炎薬と非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は多くの風邪薬に含まれますが、同ガイドイドラインでは、いずれも血圧を上昇させる可能性がある薬剤としてリストに掲載している。 鼻炎薬に含まれるプソイドエフェドリンやフェニレフリンといった成分には血管収縮作用があり、鼻粘膜の腫れを抑えて鼻詰まりの症状を緩和する。しかし、米ジヨンズ・ホプキンスシカロン心臓病予防センターのErin Michos氏によれば、高血圧や心疾患を有する人は、これらの作用で血管が収縮すると病状が悪化する可能性があるという。同氏は「心筋梗塞や脳卒中、心不全、コントロール―不良な高血圧の既往がある人では最も注意が必要だ」と強調している、
一方、NSAIDについては、健康な人でもリスクがある可能性が報告されている。また、「Journal of Infectious Diseases」に2017年に掲載されたある研究論文では、心筋梗塞で入院した約1万人の呼吸器感染症患者を対象に調査を実施した。参加者は、心筋梗塞を起こした時点で平均年齢が72歳で、糖尿病や高血圧などの心血管リスク因子を有していた。解析の結果、NSAIDを使用した人は、使用しなかった約1年前と比べて、1週間以内に心筋梗塞を発症する可能性が約3倍であったことが分かったという。
DePalma氏は「単に風邪やインフルエンザに罹るだけでも、心血管系に負担がかかるが、細菌やウイルスに身体が抵抗することで心拍が上がり、炎症が起こる。一方、NSAIDを使用するすると尿中へのナトリウム移出が減り、体液貯留が増加して血圧が上昇するなどの問題が生じる可能性がある。なお、NSAIDの添付文書には、心筋梗塞や脳卒中リスクの上昇に関する警告表示がされている」と説明している、 DePalma氏は「鼻炎薬とNSAID以外にもリスクが少なく、最初に試すべき効果的な治療法はある。もし市販薬が必要な場合は、慎重に使用すること、そして、高血圧や動機がみられた際には、医療機関を受診するようにしてほしい」と述べている。一方、Michos氏は、症状が軽度の場合は、安静にして水分をたぅぷり取り脱水を予防するほか、寒い気節やインフルエンザの流行シーズンには特に、頻繁に手洗いし、睡眠を十分に取って感染症予防に努めるよう助言している。
母乳育児に良い「初めての沐浴」のタイミングは?
母乳育児をスムーズに始めるためには、新生児の初めての沐浴を生後すぐではなく、生まれてから12時間以降に遅らせる方がよい可能性があることが、米クリーブランド・クリニック・ヒルクレスト病院のHeather DiCioccio氏らの研究で明らかになった。生まれてから沐浴までの時間を12時間以上空けると、入院期間中に母乳育児のみを行う確率が高かったという。研究の詳細は「Journal of Obstetric o、Gynecologic、and Neonatal Nursing」1月21日オンライン版に掲載された。
この研究は、996組の同病院で出産した母親と新生児を対象としたもの。新生児のうち448人は生後2時間以内(中央値で1.9時間)に沐浴をさせ、残りの548人には生後12時間以上(同17.9時間)経過してから沐浴をさせる介入を行って比較検討した。
その結果、入院中に完全母乳だった割合は、生後すぐに沐浴させた群では59.8%だったのに対し、沐浴のタイミングを遅らせた群では68.2%と上回っていたことが分った。 また、沐浴のタイミングを遅らせた群では、退院後の授乳計画として、完全母乳あるいは混合母乳の割合が高かった。
DiCioccio氏によれば、沐浴のタイミングが母乳育児の実施率に影響した理由として、「沐浴を遅らせたことで、母子が肌を触れ合う時間が増えたことや、羊水と乳房のにおいが似ているため、新生児が乳首に吸い付きやすくなった可能性が考えられる」と説明している。
また、この研究では、沐浴のタイミングを遅らせた新生児は、初めて沐浴した後に体温が正常範囲に安定している割合が高かったことも明らかになった。この点について、DiCioccio氏によれば、沐浴のタイミングが母乳育児の実施率に影響した理由として、「沐浴を遅らせたことで、母子が肌を触れ合う時間が増えたことや、羊水と乳房のにおいが似ているため、新生児が乳首に吸い付きやすくなった可能性が考えられる」と説明している。
また、DiCioccio氏は「生後すぐに沐浴させるよりも、タイミングを遅らせたことで、沐浴後に身体が冷えて、疲れて哺乳できないことが少なかったからではないか」と考察している。
DiCioccio氏は「われわれの方針では、今では母親が拒否しない限り、沐浴のタイミングを生まれてから12時間以上空けるようにしている。もちろん母親の同意が得られない場合には、生れてから2時間後に沐浴をすることとしている」と述べている。
クリーブランド・クリニックはグループ内の全ての病院で、新生児に沐浴させるタイミングを遅らせる取り組みを始めている。DiCioccio氏は「さらなる研究で、こうした取り組みが全国的に広まつて行くことを期待している」と述べている。なお、米国小児科学会(AAP)は、生後6カ月までは母乳育児で育て、生後12カ月になるまでに離乳食を始めながら、母乳育児を続けることを推奨している。
加糖飲料の摂取量雅多いほど慢性腎臓病リスク増
加藤飲料の摂取量が多いほど慢性腎臓病(CKD)の発症リスクが上昇することが可能性があることが、米ジヨンス・ホプキンズ大学ブルームバーグ公衆衛生大学院のCasey Rebholz氏らの研究で明らかになった。詳細は「Clinical Journal of the American Society of Nephrology 2018年12月27日 オンライン版に発表された。 この研究は、Jackson Heart Studyに参加した米ニシシツピ州在住の黒人男女3,003人(平均年齢54歳、女性64%)を対象としたもの。試験開始時(2000~2004年)に、食物摂取頻度調査票を用いて実施した調査から飲料の摂取量を評価し、2009-2913年まで前向きに追跡した。
中央値で8年間の追跡期間中に、185人(6%)がCKDを発症した。解析の結果、炭酸燃料や糖分を添加した果汁飲料、水の接収量が最も多いい群では、これらの摂取量が最も少ない群と比べて、CKDリスクが61%高かった。水の摂収量がCKDリスク上昇と関連した結果について、Rebholz氏らは「フレーバーや糖分を添加した水が含まれていた可能性がある」と指摘している。
しかし、今回の研究では、加糖飲料の摂取量とCKD発症との間に関連が示されたに過ぎない、Robholz氏は「幅広い種類の飲料の選択肢が健康に及ぼす影響に関する包括的な情報が欠けている。特に、CKDリスクと関連する飲料の種類や摂取方法に関する情報については限られている」と述べている」と述べている。
同誌の付随論評で、米オヨラ大学のHolly Kramer氏とDavid Shoham氏は「今回の結果は公衆衛生に影響を与えるものだ」と評している。米国の一部の都市では、加糖飲料への課税対策により、これらの飲料の消費量が減少したが、こうした取り組みに批判的な声も聞こえた。この点について、同氏は「こうした批判は、1960年代に米公衆衛生局長官が喫煙の危険性に関する最初の報告を発表した後に巻き起こった抵抗運動と比較できる。当時、喫煙は医学上や公衆衛生に関わる問題とは受け止められていなかった」と指摘している。
さらに、別の不随論評では、CKD患者であるDuane Sunwold氏が、腎不全を改善するために食事や飲酒の摂取習慣を是正した」と述懐している。シェフである同氏は、加糖飲料の摂取量を減らしたいと思っている腎不全患者に対し、アドバイスを行っているという。
そのおしっこの症状 過活動膀胱かも!
過活動膀胱とは
おしっこに関する機能には、排尿(尿を出す)と蓄尿(尿を貯める)があります。その際に起こる様々な症状を「下部尿路症状」と呼びますが、その一つとして「過活動膀胱」があります。主な症状は、急におしっこがしたくなり、洩れそうで我慢できない(尿意切迫感)、トイレに行く回数が多い(頻尿)や夜中寝ている時におしっこで何度も起きる(夜間頻尿)、急におしっこがしたくなるだけでなく、トイレまで我慢できずに漏れてしまう、いわゆる尿洩れ(切迫性尿失禁)です。
日本排尿機能学会「過活動膀胱診療ガイドライン」によると40歳以上の日本人男女で過活動膀胱がある人は14.1%、患者数は1000万人以上と推計されています。
生活習慣病や高齢者のQOLにも関係:症状の発生には、肥満・高血圧・脂質異常・耐糖能異常などのメタボリック症候群が直接、あるいは間接的に関わっていることがわかってきました。生活習慣病の中でも高血圧を持つ女性に過活動膀胱の重症例が多くなっています。また、過活動膀胱は高齢者の生活の質(QOL)を損なうことが知られており、高齢社会を迎えている日本では、その治療に取り組むことは高齢者の健康寿命の観点からも重要です。
恥ずかしがらずに相談を 治療については、男性では前立線肥大症が原因の場合もあり、患者さんの症状に合わせて薬が使われます。体重を減らすと尿もれが改善するという研究結果も報告去れています。尿トラブルの症状を軽くするため、膀胱や骨盤底筋を鍛える方法も併用します。女性の方は恥ずかしさから泌尿器科を受診するハードルが高く、多くの患者さんは、高血圧のように他の病気で受信されている、かかりつけ医の先生に排尿に関する症状を診てもらいたいとの希望を持っているようです。 上のような症状に心当たりがあるときは、かかりつけ医に相談し、必要があれば専門機関を紹介してもらいましょう。
退職後も働く日本人、脳卒中・糖尿病の発症が遅い
60歳以上の日本人男性の追跡調査の結果、現在の退職年齢を過ぎて働くことが健康にプラスの影響を与えることが示唆された。慶応義塾大学の岡本翔平氏らが報告した。Bulletin of the World Health Organization誌2018年12月号に掲載。
著者らは、わが国の全国高齢者調査の公開されたデータから、69歳以上の男性」1,288人を抽出し、死亡・認知機能低下・脳卒中・糖尿病の4っの健康アウトカムの発症について最大15年間追跡調査した。傾向スコア法を用いて、経済的、社会的および健康のデータを独立変数の形で組み込み、健康労働者効果を調整した。就労している人としていないの健康アウトカムの時間差を計算し、退職年齢を過ぎて働くことによる健康について平均処置効果(ATE)を推定した。
主な結果は以下の通り、
・就労している人はしていない人と比べて、寿命が1.91年(95%信頼区間:0.70~3.11)長かった。さらに認知機能低下までの期間が2.22年(同:0.27~4.17)
・就労している人はしていない人と比べて、寿命が1.91年(95%信頼区間:0.70~3.11)長かった。糖尿病発症までの期間が6.05(同4.44~7.65)、脳卒中発症までの期間が3.35年(同:1.42~5.28)長かった。
・自営業者と従業員の比較では、寿命は自営業者の方が長かった。糖尿病や脳卒中の発症年齢については、従業員でのみ有意なベネフィットが認目られたが、自営業者では見られなかった。
シヤワーヘッドは病原菌の温床の恐れ
シャワーを浴びれば埃や病原菌を洗い流せると信じている人は多いだろう。ところが、シヤワーヘッドには病原菌が潜んでおり、それを身体に浴びることで肺の感染症を発症してしまう可能性があることが、米コロラド大学のMatthew Gebert氏らが実施した研究で示された。この研究結果は「mBIO」10月30日オンライン版に発表された.
Gebert氏らは今回、米国や欧州における656家庭で使用されているシャワーヘッドを調べた。その結果、各家庭のシヤワーヘッドには大量の細菌が見つかったが、その種類は地域や水質、水源によって異なっていた。また、塩素系消毒剤で消毒した水を使用する家庭では、特定の細菌の濃度が高いこととも分かったという。
さらに、シヤワーヘツドに抗酸菌「マイコバクテリウム属」という細菌が大量に見つかった米国や欧州の一部地域では、抗酸菌が肺に感染して起こる肺非結核性抗酸菌症患者が多いことが明らかになった。なお、米国では南カリフオルニやフロリダ、ニユーヨークがそのような地域に含まれていた。
これらの結果から、Geber氏は「私たちが生活している環境は菌にまみれているが、中でもシャワーヘッドに存在する細菌には地理的な特徴がみられた。また、シャワーヘットに細菌が存在するかどうかには水源や水質も関わっていることが分かった」と述べている。
細菌はシャワーヘットや配水システムの中で繁殖する。そのほとんどはヒトに無毒だが、一部の細菌は肺感染症の原因になる場合があるという。ただし、Gebert氏は「自分の家のシヤワーヘッドに抗酸菌が存在していても、病気になったり肺感染症を発症しやすいわけではない」と強調し、シャワーヘッドを毎日掃除したり、シヤワー習慣を変えたりする必要はないと話している。また、抗酸菌の感染原を明らかにすることは重要だが、「研究者の間でも、肺感染症の感染経路がシャワーなのか否かわ断定できていない」としている。
専門家の一人で米ニユーヨーク大学(NYU)ランゴン医療センター内科教授のMarc Siege氏によると、細菌はシヤワーヘッドのような湿った環境で繁殖しやすいという。同氏はは「この報告によれば、シヤワーヘっドを掃除する必要があるが、実際には、極端に免疫力が低下している人や慢性疾患の患者などを除けば、抗酸菌に暴露しても病気になることはほとんどない」と説明している。 Siegel氏は、シヤワーヘッドを掃除する際には、アンモニアを含有する消毒剤を用いて12週間に1回程度行うことを勧めている。また、細菌はシヤワーヘッドだけでなく菌ブラシやシンクなど湿った場所であればどこでも存在する可能性があるとしている。
子供の言語発達遅延に身近な化学物質が関連か
母親が妊娠初期にフタル酸エステルと呼ばれる身近な化学物質に暴露すると、子どもが3歳になった時点で言語発達遅延が見られる可能性が高いことが、米マントサイナイ・アイカーン医科大学教授のShanna Swan氏らによる新たな研究で示された。研究の詳細は「JAMA Pediatrics」10月29日オンライン版に掲載された。
この研究は、スエエーデンと米国で実施された長期の観察研究のいずれかに参加した妊婦とその子どもを対象とし、それぞれ963組と370組の母子を対象に分析を行った、母親に子どもが理解している単語の数について尋ね、生後30~37か月の時点で理解できる単語の数が50個以下の場合を言語発達遅延と判定した。
その結果、子ども全体の10%に言語発達遅延がみられ、その割合は女児より男児の方が高かった。また、妊娠10週の時点で母親から採取した尿検体から評価したフタル酸エステルの暴露量と子どもの言語発達遅延の間に関連が認められた。
フタル酸エステルは、マニキュアやヘアスプレー、食品包装材やビニール製の床材など幅広く使われているプラスチック製品だけでなく、化粧品にも含有されている、この研究では、妊婦がフタル酸エステルの中でもフタル酸ジプチル(DBP)およびフタル酸ブチルベンジル(BBP)の2種類の化学物室に暴露すると、子どもが3歳前後の時点で言語発達遅延となるリスクが30%上昇することも明らかになった。
Swan氏は「フタル酸エステルはホルモンに作用し、内分泌系に影響をおよぼすことがしられている」と指摘する。DSPとBBPはいずれも妊娠初期の妊婦の血中テストステロン値を低下させることが知られており、この作用により、これらの化学物質がこどもの知脳発達に影響を及ぼすメカニズムが説明できるとしている。なお、フタル酸エステルはこれまでにも発達遅延や知能指数(IG)の低下、男性器の発達不全ろの関連が認められている。
この研究を率いたカールスタート大学(スエーデン)教授のCarl―Borunehag氏は「DBPとBBPは極めてありふれた物質であり、誰もが常に暴露している」と指摘する。DBPとBBPを含むフタル酸エステルの6物質は、日米欧でおおくの製品での使用が制限されているが、例えばビニール酸の床材は20~39年にわたり使用されることがあり、多くの人がこれらの物質に長期間暴露され続けることになる。またフタル酸エステルは室内の空気の空気中やほこり、食品や飲料水からも日常的に検出されているという。
Swan氏によれば、フタル酸エステルへの暴露を避けるには製品のラベル表示を注意深く確認するしか手段がないが、ラベル表示事態にも問題があるため、完全に避けるのはむつかしいのが現状だという、さらに、フタル酸エステルの代替えに使用される化学物室にも同様があると、同氏は付け加えている。
専門家の一人で米神経毒性学神経障害研究所(INND)のSteven Gibert氏は本当の問題は、日常的に使用される家庭用品に含有される化学物質の使用が規制されていないことだと話す。このような化学物質は、何年も使用された後に問題が生じてから初めて禁止措置が取られることが多いという。
風のある寒い日は心筋梗塞に要注意?
秋の冷たい風や冬の低温で心筋梗塞を発症するリスクが高まる可能性があることが、ルンド大学(スウエーデン)心臓病学のDavid Erlinge氏らによる新たな研究で示された。低温や冷たい強風、日照時間の短さ、気圧の低さなどの条件により心筋梗塞の発症が上昇することが明らかになったという。研究の詳細は「JAMA Cardiology」10月24日オンライン版に掲載された。
今回の研究では。1998~2013年に心筋梗塞を発症した27万4,029人のスウエーデン人を対象に、発症日の天候を調べ、心筋梗塞リスクの上昇と関連する特定の気候条件について検討した。解析対象とした参加者の平均年齢は71.7歳だった。
その結果、心筋梗塞のリスクは気候が最もきな影響をもたらしており、気温が摂氏0Cを下回ると心筋梗塞のリスクが上昇することが分かった。一方、気温だけでなく日照時間の短さや冷たい風、気圧の低さも心筋梗塞リスクの上昇と関連していることも明らかになった。
しかし、専門家の一人で米マントサイナイ・アイカーン医科大学心臓病学のUsman Baber氏は「今回の研究では、最低気温が摂氏7.4℃上昇するごとに心筋梗塞リスクは2.8%低減することも示された。この数値を見る限り、気温の低下による心筋梗塞リスク全体への影響はさほど大きくはないのではないか」と述べている。
Erlinge氏は「寒さやつめたい風にさらされると、身体は体温とエネルギーを保っために皮膚の血管を収縮させる。すると、心臓が血液を押し出す際の抵抗力が高まり、心臓に負荷がかかって心筋梗塞の引き金となるとか考えられる」と説明している。しかし、この研究はその因果関係を証明するものではなく、Baber氏は「これらの関連はより複雑で、生理的な要因は重要な因子ではあるが、天候によって変化する人間の行動も重要だと考えられる」と指摘する。同氏は、天候によって人間がとる行動は変わるが、それによつストレスが増大し、心筋梗塞につながるのではとの見方を示している。
これらの要因以外にも、運動量の減少や食生活の変化、抑うつ状態などの行動因子が気節制の心筋梗塞リスクに影響する可能性が考えられると、Erlinge氏らは付け和えている。寒冷時には呼吸器感染症やインフルエンザなどにも罹りやすく。そうしたことも心筋梗塞のリスク因子となることが知られている。例えば、呼吸器感染症があると心筋梗塞リスクは6倍になることが示されている。
これらを踏まえ、Erlinge氏は「心臓に不安がある人は、風が冷たい日には1枚多く着たり、気温が急激に下がったら十分に厚着をするなど工夫をするとよい」と勧めている。また、心筋梗塞リスクが高い人は、寒い日には外出を避けるがよいと、同氏は助言している。
鼻をほじってはいけないもう一つの理由
子どもの頃、鼻をほじるのはやめなさい、と母親に叱られた経験がある人は少なくないだろう。しかし、実際に鼻をほじると自分自身だけでなく周囲の人の健康にも悪影響があることが、英リバプール熱帯医学研究所のVictoria Connor氏らが「European Respiratory Journal」10月10日オンライン版に発表した研究で報告された。成人の男女40人を対象としたこの研究では、鼻をほじったり、こすったりすると肺炎球菌が拡散する可能性が示された。鼻と手が接触するだけでも肺炎細菌が簡単に広がることを初めて報告したものだという。
肺炎球菌は、咳やくしゃみなどで飛び散る飛沫(しぶき)を介して感染することが知られている。しかし、肺炎球菌の感染がどのように広がるのかについては、現時点では明らかになっていない。そこで、Connor氏は地域における肺炎球菌の感染経路を明らかにするために今回の研究を実施した。
研究では、18~45歳の健康男女40人を(1)肺炎球菌を加えた水で濡らした手を鼻に近づけて吸い込む〝Wet sniff群”、(2)肺炎球菌を乾いた状態で手の甲に付着させ鼻で吸い込む〝dry sniff群”、(3)肺炎球菌を加えた水で濡らした指で鼻をほじる”Wet poke群“、(4)肺炎球菌を乾いた状態で指に付着させて鼻をほじる〝dry poke群”の4群に分けた。
その結果、すべての群で、肺炎球菌は手から鼻へとたやすく感染することが明らかになった。また、最も感染しやすいのは肺炎球菌を加えた水で濡らした手に鼻を近づけて吸い込むWet Sniff群と、同様の水で濡らした指で鼻をほじるwet poke群であることもわかった。 この結果について、Connor氏らは乾燥した環境では細菌が死滅しやすいことが要因ではとの見方を示している。
この研究結果が示す健康への影響は見過ごせない、とConnor氏らは指摘する。「肺炎球菌は世界の死亡の主な要因となっており、年間で130万人もの5歳未満の小児がこの細菌によって命を落としている」と同氏は説明する。また、高齢者や免疫力が低下した慢性疾患を有する患者なども肺炎球菌の感染リスクが高いという。
この研究からは、手指の衛生に加えて子どものおもちや清潔に保つことは、幼い子どもたちを肺炎球菌の感染から守り、学校などでの集団感染や高齢の家族への拡散を防げる可能性があることが示された。ただ、Connor氏は細菌の存在によつて子どもの観戦系が増強され、その後の感染リスクが低下する場合もあるため、「鼻をほじることは悪いことだけではないかもしれない」とも話している。
短時間の軽い運動でも記憶力は向上する?
軽い運動をするだけでも記憶力は向上する可能性があることが、筑波大学体育系教授の征矢秀昭氏らの研究から示された。健康で若い成人男女を対象としたこの研究では、安静に過ごした場合に比べて、エアロバイクをゆつくりと漕ぐ運動を10分間行っただけでも、運動直後に実施した記憶テストの成績が向上したという。詳細は「Puroceedings of the National Academy of Science(PNAS)」9月24日 オンライン版に掲載された。
今回の研究では、健康で若い成人男女36名を対象に、軽い運動を行った場合と安静に過ごした場合の2回の実験をランダムに実施した。軽い運動時にはエアロバイクをゆっ くりと10分間した後に、5分以内に記憶テストを行った。もう一方は、座った姿勢で安静に過ごしてもらった後、同じく5分以内に記憶テストを行った。
記憶テストでは日用品の画像を複数見せて、一般に家の中で使用するものか、外で使用す るものかを回答してもらった。次に、日常生活でよく目にする物体の写真を見せ、以前に提示したものと比べて「まったく同じ」であるか、「似ている」「まつたく違うもの」であるかどうかを評価してもらった。参加者中16人には、記憶テスト中の海馬とその周辺の活動を高解像度の機能的MRIにより評価した。
その結果、軽い運動を10分間行った直後には、安静に過ごした場合に比べて記憶力テストの成績が向上したことが分かった。また、機能的MRIを用いた検討から、運動直後には 学習や記憶に重要な役割を担う海馬の活動が活発化していることが明らかになった。さらに、海馬歯状回と周辺皮質との情報伝達が活発化した人ほど記憶テストの聖跡が向上していたことから、軽い運動は海馬歯状回と大脳皮脂の間の機能的結合が増大することで記憶力が向上している可能性が示唆されたという。
征矢氏は「この結果は、高齢者などの体力のない人や運動をあまりしたくない人にとって良いニュースになるだろう」と話している。また、今回の研究は若い健康な成人男女を対象としたものだが、これまでの研究で軽い運動は高齢者にも幅広い効果をもたらすことが示唆されていることから、同氏は、軽い運動が認知機能にもたらす効果は若い男女に限ったものではないのではとの見解を示している。さらに、現時点では運動による効果が持続する時間は明らかでないが、「10分間の運動後に少なくとも115分は効果が持続するといえる」と同氏は述べている。
専門家の一人で米アルツハイマー協会のHeather Snyder氏は「軽い運動でも脳機能に良好な影響を与えるということは広く知られているが、具体的にどのような有益性があるのか。また運動が脳に良いとする生物的なメカニズムについてはまだ分かっていない」と話している。その上で、同氏は「征矢氏らの研究結果は興味深いもので、今後、高齢者でも同様の結果が得られるかどうかを確認することが、次のステップとして重要になるだろう」と指摘している。
ノーベル賞受賞、がん治療を激変させたPD-1とCTLA
2018年のノーベル医学・生理学賞を、京都大学高等研究院特別教授 本庶 佑氏とMDアンダーソンがんセンター教綬のJames P. Allison氏が共同受賞することが決まった。両氏はともにがんに対する免疫応答の制御に関連するタンパク質を発見し、がん免疫療法の近年の急速な進歩に寄与したことが受賞理由となっている。本稿では、ノーベル財団のプレスリリースから、2人の研究の足跡を紹介する。
ほぼ同時期に、2つの発見
1992年、本庶氏ら京都大学の研究者が、T細胞の細胞死誘導時に発現が増強される遺伝子としてPD-I(Programmed cell death1)を発見、その機能が明らかになるまでには時間を要したが、1996年、マウスによる実験でPD-1がT細胞のブレーキとして機能し、その働きを制御していることが明らかとなった。その後に続く同氏らおよび他の研究グループによる動物実験の結果、PD-1に結合してT細胞の活性化を抑制するPD-L1やPD-L2との結合をブロックする抗PD-1抗体が、がんとの闘いにおいて有望な戦略であることが示された。
2012年には、非小細胞肺がん(NSCLC)、悪性黒色腫、腎細胞がん(RCC)といった複数のがん腫における抗PD-1抗体ニポルマブの臨床試験結果が発表され、その結果は、全生存期間および奏功率の双方で臨床的に大きく改善するものであった。
一方、カリフォルニア大学バークレー校の研究所では、Allison氏が同じくT細胞のブレーキとして機能する細胞障害性Tリンパ球抗原-4(CTLA-4)を研究していた。彼は、CTLA-4の阻害がT細胞ブレーキを解除し、免疫細胞の抑制を解くことで、がん細胞を攻撃できる可能性があるのではないかと考えていた。
そして1994年の年末、マウスをつかった最初の実験を行い、抗CTLA-4抗体による治療で、腫瘍を持つマウスが治癒することが確認された。当初、製薬業界の関心が向けられることがほとんどなかったが、間もなくして、いくつかの研究グループから有望な結果がもたらされるようになった。2010年には重要な臨床試験結果が発表され、悪性黒色腫の患者に対し、抗CTLA-4抗体イピリムマブが顕著な効果を示した。
PD-1とCTLA-4は同様にT細胞のブレーキとして機能するが、その作用機構は異なる。
がん治療を根本的に変えた
現在、多くのがん腫において多数の臨床試験が進行中であり、ニポルマブとイピリマブ以外の新たな免疫チツクポイント阻害薬による医療法の開発も進んでいる。また、抗CTLA-4抗体と抗PD-1抗体の併用療法がさらに効果的である可能性も、悪性黒色腫に対する臨床試験によって示されている。
100年以上もの間、多くの研究者ががんとの闘いに免疫システムを結び付けようとしてきたものの、その臨床的進歩はほとんど見られなかった。しかし、2人の受賞者による発見の後、治療法の解発とその成果は劇的だった。しかし、2人の受賞者による発見の後、治療法開発とその効果は劇的なものだった。免疫チエックポイント阻害薬による治療はがん治療に革命をもたらし、がんの管理方法を根本的に変えるものであった。
乳製品摂取増加が死亡・心血管リスク低下と関連/Lancet
低・中所得国21カ国を対象とした多様な多国籍コホート研究において、乳製品の摂取が、死亡および主要心血管疾患イベントの低下と関連することが明らかになった。カナダ・マックマスター大学のMahshid Dehghan氏らが、Lancet誌オンライン版2018年9月11日号で発表した。心血管疾患や死亡を増大すると思われているが、この懸念に関するエビデンスは弱く、また、これまで低所得国および中所得国の健康への乳製品消費の影響に関するデータは殆ど入手できていなかったという。
21カ国13万6,384例について関連を評価
研究グループは、乳製品全体および特定の乳製品と、死亡および重大心血管疾患との関連を調べる「Prosprctive Urban Rural Epidermiology(PURE)試験」を行った。試験は5大陸・21カ国(アルゼンチン・パングラデシュ・ブラジル・カナダ・チリ・中国・コロンビア。インド、イラン、マレーシア、パレスチア自治国、パクスタン、フィリピン、ポーランド、南アフリカ共和国、サウジアラビア、スウエーデン、タンダニア、トルコ、アラブ首長国連邦、ジンパブエ)から35~70歳の13万6,384例が参加した大規模多国籍コホート試験であった。
参加者の乳製品摂取量を、検証済みの国別の食事摂取頻度調査票を用いて記録した。乳製品は、牛乳、ヨーグルト、チーズとし、これらを全脂肪と乳脂肪の乳製品に分類した。
主要評価項目は、死亡または主要心血管疾患イベントの複合(心血管系が原因の死亡、非致死的心筋梗塞、脳卒中または心不全と定義)とした。参加者の中央クラスター形成を説明するためにランダム切片・多変量Cox frailtyモデルを用いて、ハザード比(HR)を算出して評価した。
摂取総量が多いほど複合イベント発生リスクは低い
2003年1月1日~2018年7月14日のフオローアップ9.1年間で、1万567件の複合イベントが記録された(死亡6796件、主要心血管疾患5,855件)。
乳製品摂取量が多いほど複合イベントの発生リスクは低かった(非摂取を参照とした場合の>2サービング「SV」/日のHR:0.84、95%信頼区間[CI]:0.75~0.94、傾向のp=0.00004)。
イベント別に見ると、総死亡(0.83、0.72~0.96、傾向のp=0.00052)、非心血管死(0.86、0.72~1.02、傾向のp=0.046)、心血管死(0.77、0.58~1.01、傾向のp=0.029)、主要心血管疾患(0.78、0.67~0.90、傾向のp=0.0001)、脳卒中(0.66、0.53~0.82、傾向のp=0.0003)についてはリスクの低下がみられたが、心筋梗塞についてはリスクの低下がみられたが、心筋梗塞については有意な低下が観察されなかった(0.89,0.71~1.11、傾向のP=0.163)。
肥満でなくても総コレステロール高値に注意-50歳以上の日本人男女を分析
50歳以上の日本人男女では、39年前に比べて総コレステロール(TC)高値に対する肥満の影響が弱まっている可能性のあることが、滋賀医科大学社会医学講座公衆衛生学部門教授の三浦克之氏が研究代表を務めるNIPPON DATA研究グループの調査であきらかになった。論文の筆頭著者で浜松医科大学健康社会医学講座の柴田陽介氏によると、30年前は肥満の人ほどTC高値になりやすく、痩せている人ほどなりにくかったが、近年では適正体重であっても、また女性では痩せている人でもTC高値になりになる人が増えていることが分かったという。詳細はJournal of Epidermilogy 7月21日オンライン版に掲載された。
研究グループは今回、厚生労働省が1900年、2000年、および2010年に実施した国民健康・栄養調査と旧循環器疾患基礎調査に参加した全国の50歳以上の男女(それぞれ5014人、4673人、5959人、および2106人)を対象に、肥満度とTC高値との関連を調べる研究を実施した。なお、調査は全国300地区の一般住民を対象に行われた。研究ではTC高値は220mg/dl上とし、肥満、瘦せ。適性体重はそれぞれMBIが25.0kg/m2以上、18.5kg/m2未満、18.5kg/m2以上25.0kg/m2未満と定義した。
その結果、30年間で肥満の人の割合は男性では16.3%、21.6%、28.2%、34.1%と上昇したが、女性ではほぼ横ばいで推移していた(26.2%、29.0%、27.1%、27%)、また、痩せている人の割合は男女とも低下傾向にあった。TC高値の人の割合は男性(14.2%、26.4%、24.7%、27.4%)、女性(28.9%、47.2%、44.2%、42.3%)ともに1990年まで増加し、その後はぼ横ばいであった。
また肥満や瘦せの人が適性体重の人に比べTC高値にどのくらいなりやすいのかを、年齢や喫煙、飲酒、運動習慣の有無などで調整して解析した結果、男性では1980年には肥満の人は2.4倍だったが、2010年には0.9倍へと低下していた、痩せている人は0.3倍から0.4倍になった。さらに、女性は肥満の人は1980年の1.4倍から2010年に0.9倍まで低下し、痩せている人は0.4倍から1.0倍へと増加した。
以上の結果を踏まえて、三浦氏は、「日本人を対象とした大規模調査で、50歳以上の男女ではこの30年の間に肥満とTC高値との関連が弱まっていることが分かった。近年では、体系にかかわらず脂肪(特に飽和脂肪、食事性コレステロール)が多い食事をとる人が増えており、このことで肥満や瘦せとTC高値との関連が弱くなった可能性が考えられる。脂質異常を予防するには肥満対策だけでなく、肥満度にかかわらず食事中の脂肪分を減らすなどの対策も必要だ」と話している。
入浴中の熱中症が溺水を引き起こす?
わが国では入浴に関連する突然の心停止がしばしば起こる。今回、慶応義塾大学/東京歯科大学市川総合病院の鈴木 昌氏らの前向き横断観察研究から、非致死的イベントを含む事故が頻繁に発生していること、また体温上昇に伴う、機能障害による意識障害と昏睡が、キーとなる症状であることがわかった。本研究の結果から、お湯に浸水中の熱中症が溺水を引き起こすことが示唆されるという。Internal Medicine誌オンライン版に掲載。
著者らは、東京都、佐賀県、山形県において、2012年10月~2013年3月に前向き横断観察研究を実施した。緊急医療システムの起動が入浴関連であると救急隊員が認識した場合にイベントを本研究に登録し、救急隊員および担当医から交付されたサーベイランスカードを収集した。
主な結果は以下の通り。
本研究で計4583イベントが登録された(心停止1528例、救助が必要な生存者935例、急性疾患1553例、外傷577例)
・救助が必要および急性疾患の生存者の主症状として、器質的疾患のない意識障害および昏睡が認められた。
・急性冠症候群および脳卒中の診断はまれであった。
・生存者の30%は体温が38℃を超えていた。
・意識レベルは体温と有意に相関していた。
・救急隊員の報告では、顔が浴槽の湯に浸蹟していた例は、突然の心停止で79%、生存者で18%であった。
親のスマホ依存、親子関係への影響は?
子育てに行き詰まっても、スマホやパソコンなどの電子機器を逃げ場にするのは、親にも子供にも良くないようだ。米ミシガン大学医学部小児科学のJenny Radesky氏らが行った研究で、子どもに手を焼く親ほど電子機器をよく使い、子供と向きあう時間が減って親子関係の悪化につながる可能性のあることが示された。同氏は「子どもは、親の注意が電子機器ばかりに向けられていると不満を持ち、もっと親の気を引こうと行動するようになる」と話している。詳細は「Pediatric Research」6月13日オンライン版に掲載された。
今回の研究では、5歳以下の子どもを持つ183組の両親を対象に、6カ月にわたりオンライン調査を4回実施した。調査では、両親にテレビやスマホ、タブレット、パソコンなどの電子機器を子どもと一緒にいる間に使用する頻度やストレスの程度、落ち着きのなさやかんしゃくといった子どもの問題行動について尋ねた。
その結果、ほとんどの親が、子供と過ごしている間に少なくとも1日に1回は電子機器を使用していた。親は子どもが問題行動を起こすと強いストレスを感じ、そのストレスが大きいほど電子機器をよく使用していることが分かった。また、親が電子機器を使用するほど子どもと向き合う時間が減り、時間の経過に伴って子どもの問題行動は悪化することも明らかになった。
スマホやタブレットは、現代人の生活に欠かせないアイテムだが、過度な使用は日常生活に悪影響を及ぼし、精神的にもさまざまな障害を引き起こす可能性がある、米国などではこうした状態は「テクノフェレンス(technoference)という造語で呼ばれているという。
しかし、専門家の一人で米ニューヨーク大学(NYU)ランゴンヘルスのYamalis Diaz氏は、必ずしもスマホやタブレットが問題の原因ではないと指摘する。親が子どもの問題行動にうまく対処できないことが原因の場合もあれば、スマホ以外にもテレビや本に夢中になる親もいる。ただ、テレビや本などに比べて電子機器は場所や時間を問わず使えるため。親子関係への影響度はより大きいとしている。
これらを踏まえ、Dadesuky氏は「「電子機器を手に取らず、子ども向き合とだけ向き合う時間を持つことが大切だ」と強調する、Diaz氏もこの考えに同意し、「子どもと密度の濃い、質の高い時間を過ごすことで良好な親子関係を築けるだろう」とコメントしている。また、Radesky氏は、仕事のメールやソーシャルメヂアの中でも自分にとってストレスとなり、子どもに怒りっぽくなる原因になるものを見つけ出し、子供と一緒にいるときはこれらの閲覧は避けるように助言している。
夏バテ予防
・夏バテの原因は
暑い夏は、身体に無理が生じ、体調を崩しやすい季節です。生活のリズムを守り、食性活二気をつけ、暑い夏を元気に乗り切りましょう。
夏バテは、夏の暑さに対応症として、身体の生理的調節機能が破綻して。その結果。いろいろな不快症状が現れます。汗は体温を一定に保つのに必要ですが、汗とともにナトリウウ、カリウムなど、体に必要なミネラルも一緒に排泄されてしまいます。その結果。体内のミネラルバランスが崩れ、疲労感が生じる原因になります。
最近では、冷房の効いた室内と暑い屋外の行き来による温度差に身体の体温調節機能が適応できず、体調を崩すというケースも多くみられます。
暑くなると、消化酵素の働きが低下します。また冷たい飲み物を多くとることで、胃腸が冷えて消化不良を起こします。その結果、食慾が落ちてあっさりしたものを好んで食べるようになり、タンパク質やビタミン、ミネラルなどの栄養素が不足しがちになります。
・夏バテを防ぐには
自然なリズムの生活のもとに、栄養バランスの取れた規則正しい食生活を実行することが重要です。
・規則正しい生活を
1日3回、規則正しく、よく噛んで食べる、夜遅くまで飲食しない、充分な睡眠をとる、適度な運動をする、などの注意が必要です。
・うなぎや豚肉など、ビタミンB1を撮る
夏場は、さっぱりした食べ物を好み、甘い清涼飲料水をよく飲むので、脂肪が少なく糖質の多い食生活になりがちです。脂肪や糖質をエネルギーに変えるには、ビタミンB1が必要です。ビタミンB1が不足すると、疲労感や脱力感が生じ、また胃腸の消化・吸収能力が低下し食欲が落ちるなど、夏バテ症状を悪化させてしまう原因になります。 ビタミンB1は、うなぎや豚肉、レバーなどに多く含まれています。昔から夏バテ防止に土用のウナギを食べる習慣がありますが、理にかなった知恵と言えるでしょう。
・緑黄野菜を撮る
夏の緑黄色野菜は、カロチン、ビタミンB1、B2,、Cや鉄、カルシウム、 カリウムなどのミネラル多くふくまれています。ビタミンの必要が増大する夏場には、たっぷりとりたい食品です。カロチンは油に溶けて体内に吸収されるので、野菜炒めや揚げ物などと油を使った調理法がお勧めです。
・水分、ミネラル不足に注意
汗をかいたら、みそ汁、牛乳、お茶、スポーツドリンクなどで水分、ミネラルを補給しましょう。胃腸を冷やす冷たい飲み物ばかりでなく、緑茶など温かい飲み物にするのもよいでしょう。
熱中症
命にもかかわる熱中症 炎天下の活動時には、十分注意しましょう
熱中症とは? 高温多湿な環境で長くいることで、体温の調節機能が乱れ、水分と塩分のバランスが崩れることなどにより起こります。特に乳幼児や高齢者に多くみられ、死亡率も高くなっています。炎天下での作業やスポーツ中に多く発生します。発熱、二日酔い、下痢、疲労などで体調を崩している状態の人は、体温の調節機能が低下し、普段よりも熱中症を起こしやすくなるので、注意が必要です。
熱中症の症状は? めまいや疲労感、頭痛などから、失神、血圧の低下、頻脈、意識障害、全身の臓器の機能不全に至るまで、症状の程度は幅広くあります。多くの場合、いくつかの症状が重なりあって起こります。軽い症状でも、そのままにしておくと重症へと進行し、死に至る場合もあります。必ず医療機関を受診しましょう。
熱中症の予防は? 炎天下では直射日光を避けるため」帽子をかぶり、体の熱を効率 良く外へ逃がすために風通しの良い服装にします。炎天下で活動する際には、定期的な休息 を取ることや、スポーツドリンクなどでこまめに水分と塩分を補給することが重要です。また、室内においても熱中症になることがあるので、エアコンの利用などで室内温度の調整を行いましょう。
熱中症になったら? 意識がはっきりしている時は冷房の効いた場所や、日陰で風通しの良い涼しい場所へ運び、同時にスポーツドリンクなど水分と塩分の補給を行います。言動がおかしかったり、意識がぼんやりしている時には、水をふりかけたり、うちわで扇ぐなどして身体を冷却し、同時に至急、救急車を呼びます。首の両方の横、両わきの下、股の間にタオルや保冷剤を当て、冷やすのも効果的です。
熱中症は、重症になれば命を落とすこともある怖い病気です。倒れたのち、症状が治まったように見えても、急に容態が変わることもあります。どのような場合であっても必ず医療機関へ行くようにしましょう。
ヒトの脳は「脂質+糖質」を好むようにできている
ヒトの脳は、本能的に脂質と糖質の組合せを好むようにできている可能性のあることが、、米イエール大学精神科のDana Small氏らによる研究で示唆された。この研究では、資質と投資と糖質のいずれかを多く含む食品よりも、ファーストフォードや加工食品などの両方を多く含んだ食品の方が、脳内の報酬系のシグナル伝達を増強することが明らかになったという.詳細は「Cell Metabolism」6月14日オンライン版に掲載された。
これまでの研究で、食欲を司る脳領域に空腹感や満腹感を伝えるシグナルは、主に腸管から伝達されることが分かっていた。一方、最近の研究では、脂質を摂取したときと糖質を摂取した時では、異なるシグナル伝達経路が使われることも示されている。こうした結果を踏まえ、Small氏らは、脂質と糖質の両方を含む食品を摂取すると、カロリーは同じだが一方だけを含む食品を摂取するよりも、相乗作用によってシグナル伝達系への影響が強まる可能性があると考え、今回の研究を実施した。
研究では、健康なボランティアを対象に、(1)キャンデイなどの糖質を多く含む食品、(2)ミートポールやチーズなどの脂質を多く含む食品、(3)クッキーやケーキなどの糖質と資質の両方を多く含む食品、のいずれかの写真を見てもらい、MRIによる脳画像検査を実施した。なお、対象者には、オークションで競り落とせば自分の好きなものを食べることができると説明した。
その結果、脂質+糖質を多く含む食品に対し最も高額な値がつけられた。また、脳画像検査の結果、脂質+糖質を多く含む食品の写真を見せられた際に、自分の好きな食べ物や、より甘い食品やより高カロリーな食品、量が多い食品の写真を見せられた時よりも、報酬系を司る脳領域の神経回路が活性化していた。
この結果について、Small氏は「脳内の報酬系は単純にカロリー量の増加に応じて活性化するわけではないことが分かり、驚いた」と話す。また、今回の研究では、脂質が多い食品のカロリーを推測できる人は多いが、糖質が食品のカロリーを推測できる人は少ないことも明らかになった。このことから、同氏は「多くの人は、脂質と糖質の両方を含む食品から正確にカロリーを推測することは難しいと思われる」と述べている。
Small氏は脂質と糖質を多く含む食品は、ヒトの食慾を司るシグナルをハイジャックすると表現する。「現在人が食べる殆どの食品は脂質と糖質の両方を多く含んでいるが、こうした食品は母乳をのぞけば自然界には存在しない」と説明し、「現在的なこれらの食品が脳内の報酬系のシグナル伝達をより増強するのであれば、肥満や糖尿病が蔓延していることの 説明がつく可能性がある」との見方を示している。
映像の再生速度でサッカー審判の判定がかわる?
6月14日に開幕したサッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会が連日盛り上がりを見せている。サッカーの試合では主審の判定は絶対とされているが、最近では得点やレッドカード(退場処分)などの誤審を減らすためビデオ判定システムの導入が初まっている、今回、ルーブェン・カトリック大学(ベルギー)のJochim
Spitz氏らが行った研究で、ビデオ判定映像の再生速度によって審判のファウルの判定が変わる可能性が示された。映像をスロー再生すると通常速度で再生した場合に比べて、審判はより厳しくファウルをとるようになるという。詳細は「Cognitive Research:Principles and Implication」6月11日オンライン版に掲載された。
今回の研究では、5カ国のベテラン審判88人を対象に、国際試合でファウルと判定された60場面の映像を見てもらい、再判定してもらった。その際、審判には通常の速度で再生した映像とスロー再生した映像を見せて、再生速度が判定に及ぼす影響を調べた。 その結果、審判はスロー再生映像で選手のファウルを判定すると、より厳しいペナルティを貸す傾向がみられることが分かった。ファウルかどうかの判定では、その制度は通常速度の再生(61%)とスロー再生(63%)の間で優位な差はみられなかった。しかし、ファウルが意図的なものであったかどうかの判定では、通常速度の再生よりもスロー再生の映像を見た方がレッドカードとする確実が高かったという。
Spitz氏は「ファウルの意図性の判定はスロー再生映像の方が厳しくなる確実が高かった。再生速度によって、反則が不用意だったのか(カードなし)。イエローカード(無謀なファウル)、レッドカード(過剰な力で犯したファウル)だったのかの判定に差が生じると思われる」と話している。
最近では、サッカーリーグでビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)と呼ばれるビデオ判定システムの導入が進んでいる。これは試合の映像で明らかに主審の判定が誤りと判断されれば、利蔵副審が誤審だと申告できる仕組みで、主審は自分で映像を見直すこともできる。誤審の減少が期待される一方で、試合の進行を妨げるとの批判もあり、VARの導入には賛否両輪の声がある。
Spitz氏は「映像の再生速度で審判の判定が変わるとする今回の研究結果は、VARガイドラインを作成する際に考慮すべき重要なポイントになる」と強調。開催中のW杯でもVARはしばしば議論を呼んでいることから、タイムリーな研究だとしている。
また、Spitz氏らによると、スロー再生映像は、たれが反則したのか、実際に接触があったのか、ファウルはベナルテイエリア内だったのかどうかを明確に判定するには有用な可能性がある、しかし選手が意図的に反則したのかどうかなど、人間の感情を判定するとなると話は違ってくるという。「例えば、法廷ではスロー再生の映像は意図的であるとの印象を強めてしまうため、こうした映像は証拠として使われない」と説明している。
感染力が強い「水いぼ」
「水いぼ」は、6月~7月にかけて主に子どもによく見られるウイルス性能の感染症です。かゆみや痛みはありませんが、ひっかいたりつぶしたりすると全身に広がったり、ほかの子どもにうつしてしまうこともあります。早めに医師に相談するようにしましょう。
「水いぼ」つてどんな病気? 子どもによくみられるウイルス感染症で、1~1.5ミリ程度の丸くて柔らかい光沢のあるいぼができますが、ほとんどの場合、かゆみや痛みはありません。何かの拍子にひかいたりつぶしたりすると、中のウイルスが飛び出して、全身に広がる場合もあります。また、皮膚が触れ合うことで、ほかの子どもにうつすこともあります。
どんな治療をしますか? 水いぼは、ピンセットでつまんでつまみ取る治療法が一般的です。少し痛みを伴う治療ですが、最近では痛み止めを使うなどして痛みがない方法で治療することが多くなっています。
プールに入れますか? プールの水を介して感染することはないと考えられていますので、皮膚が化膿していたり悪化していなければ、プールに入ることを許可されることもあります。ただし、肌と肌が触れ合うと感染することが多いので、狭い浴槽やビニールプールなどを使用するときは患児と肌が合わないよう工夫したリ、タオルやそのほかの衣類を介して感染しないように注意する必要があります。また、水泳や水遊びなどの後は、全身をよく洗うようにしましょう。
放っておいても1,2年で治りますが、伝染力が強くべつの部位に広まつたり、ほかの人にうつしてしまいやすいので、なるべく初期に処置について医師に相談するのがよいでしょう。
ミルクチョコレート VS ダークチョコレート、視力に良いのは?
ダークチョコレートは、短期間の血流改善や、気分および認知機能を改善するが、視機能に対する影響は殆ど知られていない。
米国・University of the Incarnat Word Rosenberg School of OptometryのJeff C. RABIN氏らは、無作為化クロスオーバ単盲試験の結果、ダークチョコレートはミルクチョコレートと比較し、摂取2時間後のコントラスト感度と視力を有意に改善したことを報告した。著者は「これらの効果の持続期間や日常臨床での影響については、さらなる検討がまたれる」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2018年4月26日号掲載の報告。
研究グループは、視力並びに大きい文字と小さい文字のコンストラスト感度に対する短期効果をダークチョコレートとミルクチョコレートの摂取で比較する目的で、2017年6月25日~8月15日にRosenberg School of Optometryにて無作為化クロスオーバ単盲検試験をおこなった。
病理学的な眼疾患のない30例(男性9例、女性21例、年齢「平均±SD」26±5歳)に、ダークチョコレートとミルクチョコレートを別個に食べてもらい、1.75時間後に視力および大きい文字と小さい文字のコントラスト感度をそれぞれ測定し、比較した。
主な結果は以下のとおり。
・小さい文字のコントラスト感度(平均±SE,logCS)はダークチョコレート摂取後1.45±0.04、ミルクチョコレート摂取後1.30±0.05で、ダークチヨコレート摂取後のほうが優位に高かった(平均差:0.15、96%信頼区間[CI]:0.08~0.22、P<0.001)。
・大きい文字のコントラスト感度(同上)は、ダークチョコレート摂取後2.05±0.02、ミルクチョコレート摂取後2.00±0.02で、ダークチョコレート摂取後の方がわずかに高かった(平均差:0.05、95%CI:0.00~0.10、P=0.07)。
・視力(平均±SE,logMAR)も、ダークチョコレート摂取後-0.22±0.01(約20/12)、ミルクチョコーレート摂取後-0.18±0.01(約20/15)で、ダークチョコレート摂取後わずかに改善した(平均差:0.04、95%CI:0.02~0.06、P=0.05)。
すべての検査結果を合わせた複合スコア(logU)は、ダークチョコレート摂取後の方が、ミルクチョコレ―ト摂取後より有意な改善を示した。(平均差0.20、95%CI:0.10~0.30、P<0.001)。
2018年6月7日、アツヴィ合同会社は、RSウイルス(RSV)感染症メデイアセミナーを都内で開催した。RSV感染症は、2歳までにほぼ100%が初感染を経験するといわれており、乳幼児における呼吸器疾患の主な原因(肺炎の50%、細気管支炎の50~90%)として報告されている。
セミナーでは、「乳幼児の保護者はなにを知らなければいけないか?変動するRSウイルスの流行期と其の課題と対策」をテーマに講演が行われた。セミナーの後半には、愛児がRSV感染症に罹患した経験を持つ福田靄氏(タレント)が、トークセッシヨンに参加した。
RSV感染症の死亡リスクは麻疹の次に高い
はじめに木村博一氏(群馬バース大学院保健科学研究科教授)が、「RSウイルス感染症の流行に関する最新の知見」について紹介を行った、英国・ユニバーシテイ・カレッジ・ロンドンのRobin A Weiss氏らの研究結果によると、RSV感染症の死亡リスクは麻疹の次に高く、インフルエンザよりも上に位置するという。RSV感染症は、乳幼児・高齢者には気管支炎や肺炎を起こすが、青年期→成人期には鼻風邪程度の症状が多いため、知らぬ間に高齢者施設などにウイルスを運びこみ、集団感染につながる恐れがある、「高齢者の命の灯を消す病気」ともいわれ、乳幼児だけでなく、高齢者のリスクも考える必要がある。また、RSV感染症の動向について、数年前から流行時期が早まっており、夏~秋にかけて患者数が増加する傾向がみられるが、地域によってはかなり異なるという。以前の調査で、平均気温が26~28℃、湿度が79%以上でRSV感染患者が増加するという結果がえられたこともあり、今後の研究によって、流行の早期探知や予測が可能になるかもしれない。
ハイリスク群には抗RSV抗体が保険適用になる
次に、山岸 敬幸氏(慶応義塾大学医学部小児科教授)が、「RSウイルス流行期変動による実臨床での影響」について、同社が行った結果を交えて説明した。2歳未満の子供をもつ親1,800名に対するアンケートで、RSV感染症を「知っている」と答えた割合は50%にも満たなかった、また、RSV感染症を「知っている」「名前は聞いたことがある」と回答した親(1,158名)のうち近年流行期が早まっていること、流行のタイミングには地域差があることに関して「知っている」と答えた親は、約30%にとどまった。
早産、先天性心疾患、ダウン症候群など、RSV感染症ハイリスク群に指定されている場合、抗RSV抗体であるパリビスマブ(商品名シナシス)が保険適用となり、RSV流行期を通して月1回の筋肉内注射をうつことで、感染を予防することができる。流行期が早まっているRSV感染の対応について、山岸氏は「RSV感染症に対する意識・認知度の向上と、感染予防策の徹底、そしてパリビスマブによる予防が重要である」と語った。
睡眠不足は子供の肥満リスクを高める可能性があることが、新たな英国の研究で示された。こうしたリスクは乳児期から思春期の全ての子供で共通して見られたという。詳細は「SLEEP」4月号に掲載された。
英ウオーリック大学の研究チームは、18歳以下の小児を対象に、ベースライン時の睡眠時間の長さと過体重や肥満になるリスク(あるいはBMIまたはスコアの変化)の関連を調べた観察研究の論文を調査し、前向きで追跡期間が1年以上などの登録基準を満たした14件の研究を対象にメタ解析を実施した。これらの研究では、計7万5000人強の小児が約3年間追跡されていた。 対象とした小児を乳児期、幼児期、学堂期、思春期の4つの年齢層で分けて解析したところ、いずれの年齢層でも、睡眠時間が推奨よりも短い群では、適切な睡眠時間を取る群と比べて過体重や肥満になるリスクが約1.3~2.2倍であることが分かった。また、睡眠時間はBMIやBMIzスコアの変化とも有意に関連していた。
論文の筆頭著者である同大学のMichelle Miller氏は「太り過ぎは、成人だけでなく子供の間でも増加傾向が問題視されている心血管疾患や2型糖尿病につながりうる。今回の結果は、睡眠が生活習慣病につながる肥満の重要かつ修正可能なリスク因子であることを示している」と説明している。 また、今回、睡眠不足が体重増加と関連するという結果はどの年齢層でも一貫して見られたことから、同氏は「乳児期にあっても思春期にあっても、睡眠不足は子どもの肥満リスクを高めることを意味している」と指摘。今回の研究は因果関係を証明したものではないことを断った上で、「肥満のリスク因子の中でも睡眠不足は強力な要因であることを強調するものだ」と付け加えている。
米国睡眠財団(Nationai Sleep Foundation;NSF)によると、生後4~11カ月の乳児は夜間に12~15時間、1~2歳児は11~14時間、3~5歳児の未就学児は10~13時間、6~13歳の学童は9~11時間、14~17歳の思春期には8~10時間の睡眠を取ることが推奨されている。
ファイザー株式会社は、2017年12月13~18日、ワクチン接種に対する実施調査アンケートを行い、その結果を示した。調査結果、保護者が母子健康健康手帳をいつも携帯し、医師との適切なコミユニケーシヨン(母子手帳を見せるなど)をとることで、小児のワクチン接種に適切な状況がもたらせる可能性が示唆された。母子手帳の活用により、小児の感染症予防につながることが期待される。主な結果は以下の通り。
・Q1 小児の診察時に母子手帳を見せていますか?
対象:1~5歳の小児を持つ母親1万726人 いつもみせている:44.1%(4733人) 予防接種の時のみ見せている:47.7%(5118人)
「いつもみせている」の回答者数は、小児が1歳では60.2%(1248/2074人)だが、成長するにつれて減る傾向があり、5歳では37.0%(815/2,202人)まで下がった。
・Q2 なぜ診察時に母子手帳を毎回見せないのですか?(複数回答)
対象:Q1で「いつもみせている」と回答した以外の母親5993人 見せてほしいといわれないから:91.9%(5,509人) その他の回答:10%以下
・Q3 肺炎球菌ワクチンの追加摂取を実施しましたか?(Yes回答を集計 )
対象:ワクチン接種スケジュールを順守できた2~5歳の小児の母親8467人 母子健康手帳を病院で提示している群(8,119人)のYes回答:94.0% 母子手帳を病院で提示していない群(348人)のYes回答:86.0%
医療機関で母子健康手帳を見せていないとワクチンの追加接種率が低い傾向にある。
輸入麻疹の国内流行が後を絶たない。沖縄県では感染者が1ヵ月で65人に達し、県外でも患者が確認された。麻疹ウイルスの持ち込みを絶つことが難しい以上、ワクチン接種率を高めて国内の流行拡大を防ぐしか道はない。
観光で沖縄県を訪れていた台湾来住の30歳代男性が麻疹と診断されたのは3月20日、このときの疫学調査で、3月14日に発熱があったことが確認された。患者は3月17日に、国際線で沖縄県へ移動、モノレールを利用し那覇市内を観光後、市内のホテルに宿泊。翌18日と19日も各地を観光。19日のうちに発疹が出現し、夜間に自ら中部保健所管内の医療機関を受診、入院となった。3月20日入院した医療機関が中部保健所に、麻疹及び風疹の疑い患者として報告。保健所から衛生環境研究所へ検査を依頼し、麻疹遺伝子陽性と判明した(風疹は陰性)。3月22日。衛星環境研究所が実施した遺伝子解析の結果、遺伝子型D8と判定された。翌23日、県は麻疹患者が4年ぶりに確認されたことを発表。行動範囲が広く、不特定多数との接触があったことから、感染が広がる懸念があると注意喚起をおこなった。麻疹と確定してから9日後の3月29日に、初発例と接触歴があった2人の患者が発生。3月31日には新たに5人が確認された。その後も患者は増え続け、初発例が診断された3月20日から1ヵ月間で、患者数は65人に達した。年齢は0歳から50歳代と幅広くワクチン接種歴が「なし」あるいは「不明」が40例以上と大半を占めていた。地域的にも那覇市、宣野湾市、名護市など県全域に拡大した。そんな中、4月11日には名古屋市来住の10歳台男性が麻疹と確定。疫学調査で、3月28日から4月2日まで沖縄に旅行していたことが明らかになった。今回の沖縄県内の麻疹流行に関連し、県外で患者が確認されたのは、これが初めだった。もはや、全国で麻疹患者が発生してもおかしくない状況にある。「当面、沖縄へ旅行後の発熱例には、麻疹を鑑別に入れるべき」と強調されている。
海外渡航歴のある人や訪日した外国人の麻疹患者を起点に国内で流行が拡大した集団感染は毎年のように発生している。2016年には関西国際空港を舞台に33例の集団感染があった、翌2017年には、山形県、三重県、広島県でも集団感染が報告された。
寝る前に子どもに本を読み聞かせることは、子どもの言語や脳の発達を促すだけでなく、親と子どもの双方の社会的なスキルや行動スキルにも良い影響を与えることが、香港大学社会福祉・社会行政学のQian-Wen Xie 氏らによる研究から明らかになった。この研究結果はPediatrics 3月27日オンライン版に掲載された。
これまでの研究で、親が子どもに本を読み聞かせることで子どもの言語や読み書きの能力が向上するなど、さまざまな効果が期待できることが明らかにされている。また、幼児期に本を読み聞かせると子どもの脳の発達が促され、学童期の成績も向上することが最近の研究で示されている。
Xie氏は今回、本の読み聞かせが親子の精神面や感情面、行動面や社会性といった心理社会的な能力にどのように影響するかについて検討するため、合計で約3,300組の親子(子供の年齢は0~3歳または3~6歳)を対象とした19件のランダム化比較試験(RCT)のメタ解析を実施した。
これらのRCTの試験デラインは同一ではなかったが、いずれのRCTも介入群では対象者の親に読み聞かせのトレーニングを実施したり、読み聞かせの補助ツールを提供したりするなどの支援を行った一方で、対照群ではこうした支援を行っていなかった。また、心理社会的な能力については、社会的感情の調整や行動面での問題、QOL(生活の質)、読書への関心、ストレスや抑うつ、育児の能力parenting competence)、親子関係などの検査に基づき評価した。Xie氏によると、心理社会的な能力とは自分自身をケアする能力や、自己肯定感を持ち、他者と有意義な関係を持つことで喜びを感じることのできる能力が含まれるいう。
解析の結果、親が子どもに本を読み聞かせることで、親子双方においてこうした心理社会的な能力が向上することが明らかになった。この結果を踏まえ、Xie氏は「自信をもつて本の読み聞かせが社会的スキルや行動スキルにも良いと勧める事ができる。子どもに本を読み聞かせることで子どもが賢くなるだけではなく、子供を幸せな気持にさせ、親子関係も良好になる」と話している。
なお、専門家の一人で米クリスチアーナ・ケア・ヘルス・システム小児科のDavid Paul氏は、今回の研究について「本の読み聞かせが子どもの言語の発達を向上させることは既によく知られているが、それ以外にも効果があることが明らかになった」とコメントしている。また、同氏は「本の読み聞かせがスポーツ、あるいはゲームやテレビ番組を親子で一緒に楽しむよりも良いことなのかは不明だが、その効果には大きな可能性が秘められていると感じている」と話している。
コーヒーは健康にさまざまなベネフィットもたらすことが知られている。これまで考えられていた以上に代謝に影響を及ぼす可能性のあることが小規模な研究で示された。研究の詳細は「Journal of Internal Medicine」3月15日オンライン版に掲載された。
これまで多くの研究で、コーヒーを接収するとパーキンソン病や糖尿病、多発性硬化症、一部のがんなど多くの疾患の発症リスクが低減する可能性が示されている。今回の研究を主導した米ノースウェスタン大学フアインバーク医学部予防医学助教授のMarilyn Cornelis氏らは「その多くは参加者が自己申告したコーヒーの摂取量とリスクとの関連を見ているだけだ」と指摘。今回の研究はこれらの関連性のメカニズムの解明に努めたものだとしている。Cornelis氏らの研究は、コーヒーを飲む習慣のあるフインランドの成人男女47人を対象に行った臨床試験に基づくもの、参加者にはまず、コーヒーを摂取しないで1ヵ月間過ごしてもらった後に、1ヵ月間は1日4杯コーヒーを摂取してもらい、血液検査を毎月行ってメタボローム・プロファイリングにより733種の代謝物質の血中濃度を観察した。
その結果、コーヒーを1日4~8杯摂すると115種の代謝物質の血中濃度が有意に変化することが分かった。Cornelis氏らによるとこうした変化のほとんどは予想通りのものだったが、一部には想定外の変化がもたらせていたという。例えば、コーヒーの摂取は、脳内マリファナに類似した物質と知られる内因性カンナビノイドシステムに関連する代謝産物の血中濃度を低下させることが分かった。また、コーヒーの接収は性ホルモンなどのステロイドホルモンや脂肪代謝に関連する代謝産物の血中濃度に変化をもたらしていた。
内因性カンナビノイドシステムは、人の食物やエネルギーの算出と消費、血圧、睡眠などの基本的な身体機能のコントロールに重要な役割を担っている。これまでの研究でコーヒーの摂取は体重管理に良い影響を及ぼすことが報告されているが、Cornelis氏は「コーヒーの摂取は内因性カンナビノイドシステムの活性を押さえるように働くため、いわゆる脳内マリアナによる食慾増進とは反対の働きを示す。コーヒー摂取による肥満予防効果には、このシステムの役割が大きい可能性もある」と指摘している。
Cornelis氏らは「こうした代謝産物の血中濃度の変化が何を意味するのか分かっていない」とコメントしているが、「今後、コーヒー摂取との内因性カンナビノイドが関連するメカニズムが解明されれば、コーヒーを摂取する人で一部の疾患リスクが低い理由を説明で着るようになるだろう」と展望している。
米国栄養士会(Academy of Nutrition and Dietetics)のスポークスパーソンを務めるAngela Lemond 氏は、この研究は小規模なもので、コーヒーの摂取量もゼロから1日4杯、1日8杯とされており、一般的なコーヒー摂取の習慣を必ずしも反映していない点を指摘、また、米国では成人のカフェイン摂取量は食事に関するガイドラインで1日400mgまでが安全域とされており、コーヒーを1日8杯も摂取するとカフェイン含有量が800mgと上限を超えてしまい、睡眠や精神面への悪影響が懸念されること強調している。
慢性あるいは反復性の扁桃炎がみられる小児患者に対し、扁桃摘出術が行われることは珍しくない。しかし、3歳未満の小児では特に注意が必要かもしれない。米ボストン小児病院のClaire Lawlor氏らが扁桃摘出術を受けた小児患者約1800人のデータを分析した結果、3歳未満の患者では術後の合併症リスクが高い可能性が示されたという。この研究結果は「JAMA Otolaryngology-Head & Neck Surgery」3月15日オンライン版に掲載された。
Lawlor氏らは今回、米オクスナー・クリニック財団の医療施設6か所で扁桃摘出術をうけた6歳以下の小児患者1,817人のデータを分析した。対象患者の手術時の平均年齢は3歳10か月(範囲1~6歳)で、平均体重は17kg(同9~43kg)だった。
その結果、術後の呼吸困難や脱水症、出血といった合併症の発生率は、全体で5.2%だったが、このうち3歳以上6歳以下の小児では4.6%であったのに対し、3歳未満の小児では7.0%とより高いことがわかった。一方、体重は術後の合併症リスクには影響しないことも明らかになった。このことから、同氏らは「体重は合併症の予測因子としてゆうようでなかった」とした上で、「低年齢児に対する扁桃摘出術の安全性について判断する際には体重よりも年齢の方が需要な指標になると考えられる」との見解を示している。
専門家の一人で、今回の研究には関与していない米ハンチントン病院のMichael Grosso氏は「この研究結果は既に知られていることを裏付けるものだ。扁桃摘出術は、反復する扁桃炎や気道の閉塞が見られる場合など一部の小児に対しては適した治療といえるが、リスクが全くないわけではない」と指摘。小児患者の親に対し、「まず、本当にこの手術が必要なのかどうか十分に検討し、もし少しでも疑問があればセカンドオピニオンをもとめるべきだ」助言している。
なお、今回の研究では術後に1泊入院しても、入院しなかった場合と比べて合併症リスクが低下するわけでないことも明らかになった。Grosso氏はこの点に言及し、「多くの病院では術後の入院を必須としており、それによって小児の安全性をある程度守ることができていると考えられる。ただ、術後1週間以上が経過してから合併症が起こる場合もあるため、それらは入院で防ぐことはできない」と話している。
一方、米コーエン小児医療センターのLee Smith氏は「3歳未満の小児患者を入院させることで、合併症が起こった場合も患者を守れる可能性はある」と強調。「われわれの施設でも、過去8年以上にわたって(術後の入院を必要とする)方針を適用してきたが、それによって低年齢の患小児患者を入院させることで、合併症が起こった場合も患者を守れる可能性はある」と強調。それによって低年齢の患者に安全な環境を提供することができている。どんな手術にもリスクはあるが、医療従事者はそのリスクを抑え、小児患者にできるだけ安全な環境を用意するための指針を定めておく必要がある」と話している。
塩分のとり過ぎによる害、他の栄養は、野菜や果物をたくさん食べるなど他の面で健康的な食事を心掛けても帳消しにはできないことが、英インペリアル・カレッジ・ロンドンのQueenie Chan氏らによる研究から明らかになった。この研究結果は「Hypertension」3月5日オンライン版に掲載された。
塩分の取り過ぎは心疾患や脳卒中の主な原因である高血圧のリスクを高めることが知られている。米国心臓協会(AHA)は、1日に摂取する塩分の基準値としてナトリウム換算で2,300㎎(食塩でテイスプーン約1杯分に相当)未満におさえることを推奨している。しかし、AHAによると、実際には食塩を其のまま摂取することは少なく、米国民が口にする塩分の4分の3は缶詰やパン、ハム類やチーズ、スナック類などの加工食品や総采、レストランの食事に含まれたものだという。 これまで、塩分が高血圧のリスクを高めることを示した数多くの研究結果が報告されていたが、塩分以外の栄養素の摂取状況が塩分と高血圧リスクとの関連に影響するのかどうかは不明であった。そこでChan氏らは今回、INTERMAP研究と呼ばれるコホート研究に参加した米国や英国、日本、中国の40~59歳の男女4,680人を対象に、塩分や脂質、タンパク質およびアミノ酸、ビタミン、ミネラルなど80種類の栄養素と血圧のデータを分析した。データには尿中のナトリウムと、血圧を低下させる作用があるカリウムの排泄量も含まれていた。
その結果、尿中のナトリウム排泄量およびナトリウム接種量に対するカリウム排泄量の比が高まると血圧の上昇が認められたが、コのような関連に他の栄養素はほとんど影響しないことが分かった。この結果を踏まえ、Chan氏らは「高血圧前症や高血圧の蔓延を阻止し、制御するためには、食品の食塩含有量を大幅に減らす取り組身が必要だ」と強調している。取り過ぎた塩分は水をたくさん飲めば薄まると考える人もいるが、今回の研究には関与していない米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン医療センターの栄養士であるSamantha Heller氏は「水を余分に飲んでも身体が処理する塩分量に変化はない」と指摘する。その一方で、同氏が塩分の摂取量を減らす対策として勧めているのが、「食品の栄養表示を必ず確認すること」と「自宅で調理したものを食べること」だ。「(料理には)慈善のちょつとした準備や計画は必要だが、最終的には節約にもつながる」と同氏は話す。さらに同氏は、カリウムが豊富に含まれるDASH食などを血圧の低下を促す食事療法として推奨している。
(地域住民約4万人を対象に横断研究)
神奈川県立保健福祉大学大学院保健福祉学研究科の柴田みち氏と同科教授の中島敬氏らは、地域住民約4万人を対象とした横断疫学研究を行い、かぜ罹患と日常生活習慣との関連について調べた。中でも食事摂取習慣との関連性が明らかとなったと報告した。
風邪をひきやすい人は睡眠5時間以下、運動習慣なし
対象は、2007年に健康診断を受けた埼玉県在住の健康な成人3万人9524人(年齢40~79歳)。健診受診時の自覚症状を含む問診票の回答および身体計測値、検査値を集計し、自己申告による」かぜの罹患しやすさ(Self-reported Predisposition to Common Cold:SPCC)と日常生活習慣並びに各種パラメータとの関連性を検討した。頭痛、胃痛、下痢、なおの32の症状から過去1カ月間に当てはまる自覚症状を選択させ、自覚症状の中で「風邪をよく引く」を選択した場合に「かぜをひきやすい(SPCC)」、選択しなかった場合に「かぜをひきにくい(非SPCC)」と判断した。検討の結果、SPCC群は846人(2.1%)で、SPCC群は非SPCC群に比べて白血球数、血清ALTが有意に高く、血清HDL-Cが優位に低く、睡眠時間が有意に短かった。BMIのカテゴリー(18.9以下、19.0~20.9、23.0~24.9、25.0~26.9、27.0以上)別に見ると、かぜをひきやすい人の生活習慣と各項目との関連について年齢、BMI、生活習慣、治療歴、関連する交絡因子などを調整してロジスティック回帰分析を行った。その結果、SPCCの割合はBMI23以上25未満に対して他のBMIカテゴリーは(BMI27.0以上を除く)優位に高かった。睡眠時間では7時間に対して5時間以下(オッズ比(OR)1.46,95%CI 1.16~1.83、P<0.01)、飲酒習慣では「飲まない」に対して」「時々飲む(月1~3回)」(同1.45、1.13~1.84、P<0.01)、運動習慣では「月1~2回」に対して「ほとんどしない」(同1.29、1.01~1.65、P<0.05)でSPCCの割合が有意に高かった。食事摂取習慣別に見ると、「バランス良い食事を摂取している」」にくらべて「変色」の方がSPCCの割合が高かった、食事回数では「1日3回規則正しく食べる」に比べて「欠食あり」、「不規則」で高かった。食事バランスと食事回数の両者を組み合わせると「不規則」かつ「偏食」の場合にSPCCの割合が高かった。 今回の結果から、「風邪をよく引く」と自覚している人は、全体の2.1%で、白血球数、血清ALTが高く、血清HDL-Cが低く、「睡眠時間」が短かった。またBMI23以上25未満の人では他のBMIに比べて風邪をひきにくく、生活習慣に関しては、短時間睡眠5時間以下)、時に飲酒(月1~3回)、運動習慣なしで、食事摂取習慣・回数が「欠食あり」、「不規則」、「不規則かつ偏食あり」では風邪をひきやすいことが明らかになった。
健康的低脂肪(HLF)ダイエットと健康的低炭水化物(HLC)ダイエットについて、12カ月後の体重減効果は同等であることが、米国・スタンフォード大学のChrisutopher D.ardner氏らが、609例を対象に行った無作為化比較試験で示された。また遺伝子型やダイエット開始前のインスリン分泌能は、いずれの食事療法n体重減効果とも関連が見られなかったという。効果を踏まえて著者は、「疾病の要因と仮定される遺伝子型およびインスリン分秘能は、HLFとHLCのどちらかが至適な食事療法かを識別するのには役立たないようだ」とまとめている。JAMA誌2018年2月20日掲載の報告。
非糖尿病18~50歳を対象に無作為試験、1年後の体重減を比較。
研究グループは2013年1月29~2015年4月14日にかけて、BMI値28~40、非糖尿病の18~50歳、509例を対象に、無作為化試験{DIETFITS}(The Diet Intervention Examining The Factors Interacting with Treatment Success)を開始し、2016年5月16日まで追跡した。
被検者を2郡に分け、1方にはHLFダイエットを、もう1方にはHLCダイエットをそれぞれ12カ月間行った。具体的には健康教育者が、ダイエットに特異的な少人数セッション(12か月間で22回)を通じて、行動変容を促す介入を行った。 試験では、3つの代表的な=塩基多型(SNP)反応パターンまたはインスリン分泌能(糖負荷後30分の血中インスリン濃度(INS-30)と体重減との関連についても検証した。
体重減は同程度、遺伝子型やインスリン分泌能との関連は認められず被検者609例の平均年齢は40歳(SD 7)、女性は57%、平均BMI値は33(SD 3)、低脂肪遺子型は244例(40%)、低炭水化物遺伝子型は180例(30%)、INS-30平均値は93uiu/mlだった。12か月間の多量栄養素の平均分布値は、炭水化物はHLF群48%、HLC群30%、脂肪はそれぞれ29%、45%、蛋白質は21%、23%であった。12か月の体重変化の平均値は、NLF群-5.3kg、HLC群-6.0kgだった。(郡間差平均:0.7kg、95%信頼区間「CI:-0.2~1.6kg」12か月の体重減については、ダイエットの種類と遺伝子型に相互関連はみられず(P=0.20)、ダイエットの種類とインスリン分泌能(INS-30)にも相互関連は認められなかった(P=0.47)なお、18件の有害事例が認められたが、発生の割合は両群で同程度だった。
小児外傷には典型的な臨床像や受傷機転が存在する。受傷した際の状況について詳しい情報を収得することにより、正確な診断につながる。いかに、受傷機転に特徴的な臨床像を挙げる。
・シートベルトを装着していた小児では腸管損傷や腰椎損傷が多い。
・意識障害が前面にある乳児の病歴が、それにそぐわないものにあった場合、虐待による頭部外傷を常に考慮する必要がある。 ・自動車にはねられた学童は、下腿損傷、腹腔内損傷、胸郭胸壁損傷と頭部外傷を合併する
・思春期ではロードバイク・自転車などの事故により肝損傷、脾損傷ガ増加する。
・比較的軽傷と考えられるような頭部打撲であっても頭蓋内血腫を形成することがある。
・自転車のハンドルによる腹部打撲で十二指腸損傷や膵臓断裂などの損傷がある。
「子どもは社会の宝である。少子化を迎えた我が国の社会において1人の小児の命も外傷によって失われてはならない。
1日1本の喫煙による冠動脈疾患・脳卒中リスクは予想以上に大きく、1日20本の喫煙によって増加するリスクの約半分に及び、心血管疾患において安全なレベルの喫煙は存在しないことが示された。141件のコホート研究のメタ解析結果を、英・University College LondonのAllan Hachshaw氏がBWJ(2018:360J5855)に報告した。
1日1本の喫煙の過剰相対リスクを約5%と予想:喫煙は冠動脈疾患や脳卒中のリスクを増加させるが、多くの喫煙者は喫煙本数を減らせば、その分だけリスクが大幅に低下すると信じている。しかし、5件の研究のメタ解析により、1日5本以下の喫煙でも予想以上に冠動脈リスクは高まることが報告されている。Hackshow氏らは、1946~2015年にMedlineに掲載された少なくとも50の冠動脈疾患イベントを含む研究のシステマチックレビューを行い、喫煙と冠動脈疾患・脳卒中の関連を検討した55の研究報告における141件のコホート研究を抽出し、メタ解析を行った。主要な解析項目として1日1本の喫煙による冠動脈疾患・脳卒中リスクの変化率(過剰相対リスク)を「1日20本の喫煙によって増加するリスクにたいする1日1本の喫煙によつて増加するルスクの割合」として算出。喫煙量とリスクが線形関係にあると仮定し、1日1本の喫煙によゆ過剰相対リスクは5%になると予測した。
予測をはるかに上回る高リスク:解析の結果、喫煙未経験者に対する冠動脈疾患の相対リスク(RR)は、男性では1日1本の喫煙で1.48(95%CI1.30~1.69)、1日20本の喫煙で2.04(同1.86~2.24)、複数の交絡因子を調整後それぞれ1.74、2.27であった。女性では1日1本の喫煙で1.57(同1.29~1.91)、1日20本の喫煙で2.84(同2.21~3.64)、交絡因子調整後はそれぞれ2.18、3.95であった。1日20本の喫煙に対する1日1本の喫煙の喫煙における冠動脈の過剰相対リスクは男性では46%(交絡因子調整後53%)女性では31%(同38%)だった。また、喫煙未経験者に対する脳卒中のRRは、男性では1日1本の喫煙で1.25(95%CI1.13~1.38),1日20本の喫煙で1.64(同1.48~1.82)、複数の交絡因子調整後はそれぞれ1.30、1.56であった。女性では34%(同38%)だった。 また、喫煙未経験者に対する脳卒中のRRは男性では1日1本の喫煙で1.25(95%CI1.13~1.38)、1日20本の喫煙で1.64~1.82、複数の交絡因子調整後それぞれ1.39、1.56であった。女性では1日1本の喫煙で1.31(同1.13~1.52)、1日20本の喫煙で2.16(同1.69~2.75)交絡因子調整後はそれぞれ1.46、2.42であった。1日20本の喫煙に対する1日1本の喫煙における脳卒中の過剰相対リスクは男性では41%(交絡因子調整後64%)女性では34%(同36%)だった。このように1日1本の喫煙による冠動脈疾患あるいは脳卒中に対する過剰相対リスクは30~60%に上がり、予測の5%をはるかに超えていた。
喫煙本数を減らすのではなく完全な喫煙を。
呼吸器感染症とくにインフルエンザと急性心筋梗塞には、有意な関連が認められることが明らかにされた。インフルエンザの感染が検査で確認された後の1週間以内に、急性心筋梗塞で入院するリスクは、B型で約10倍、A型で約5倍に増大する。また、RSウイルスについても、同リスクは約4倍に上昇することが示された。カナダ・トロント大学のJeffrey C.Kwong氏らが、自己対象ケースシリーズ試験を行い明らかにしたもので、NEJM誌2018年1月25日号で発表した。これまでにも、インフルエンザ感染と急性心筋梗塞との関連を示唆した試験結果はあったが、インフルエンザ感染の確認に非特異的な検査方法を用いる、バイアスを受けやすい試験デザインを採用するなど欠点があったという。
感染後1週間と感染前後1年を比較: 研究グループは2009年5月~2014年5月に、呼吸器ウイルス感染検査を行った35歳以上の成人を対象に、検査で確認されたインフルエンザ感染と、急性心筋梗塞による入院の関連を、自己対象ケースシリーズ試験で検証した。具体的には、種々の特異度の高い検査方法を用いて、呼吸器検体のインフルエンザ感染を確認し、急性心筋梗塞による入院は行政データで確認した。試験では、呼吸器検体の採取後7日後を「リスク期間」、リスク期間の前後1年間を「対象期間」とそれぞれ定義し、両期間に急性心筋梗塞の発生について比較した。
B群約10倍、A群約5倍、その他RSウイルスなどでも約3~4倍:インフルエンザ陽性判定の前後1年以内に発生した急性心筋梗塞による入院は、364件だった。このうち、リスク期間内の発生は20件(20, 0件/週)だったのに対し、対象期間内の発症は344件(3.3件/週)だった。急性心筋梗塞による入院について、リスク機関の対象機関に対する発生率比は、6.05(95%信頼区間:3.86~9.50)だった。8日目以降については、同発生率の上昇は認められなかった。ウイルスのサブタイプ別にみると、インフルエンザB型の発生率比は10.11(95%CI:4.37~23.38)A型は5.17(95%CI:3.02~8.84)、また、インフルエンザ以外のウイルスでは、RSウイルスが3.51(95%CI:1.11~11.12)、インフルエンザやRSウイルス以外でも2.77(995%CI:1.23~6.24)だった。
インフルエンザの主な感染経路は感染者のくしゃみや咳で飛び散ったウイルスを含むしぶきを吸い込むことで感染する「飛沫感染」か、ウイルスが付着したものを触ることで感染する「接触感染」のいずれかだと考えられていた。しかし、感染者が呼吸するだけでウイルスが周りに拡散し、同じ部屋にいる人に感染する「空気感染」も予想以上に起こりやすいことが新たな研究で示唆された。詳細は「Proceedings of the National Academy of Scinces(PNAS)」1月18日オンライン版に掲載された。
この研究を実施したのは米メリーランド大学環境衛生学教授のDonald Marton氏ら。同氏らは、今回インフルエンザ患者142人に協力してもらい、発症から1~3日目に(1)いつも通り呼吸しているとき(2)話しているとき(3)呼吸したとき(4)くしやみしたときーの呼吸サンプル(計21サンプル)を集め、分析した。
リアルタイムPCR法による遺伝子検査の結果、咳が出ていない状態で摂取されたサンプル(23サンプル)の48%(11サプル)でインフルエンザウイルスが検出れた。また。犬腎臓由来細胞を用いて培養し、感染力を有するインフルエンザウイルスの量を測定したところ、これら11サンプルのうち8サンプルで感染力のあるウイルスが確認された。このことから、咳が出なくともインフルエンザウイルスの含まれるエアロゾル(空気中に浮遊する粒子)は発生しうることが示唆された。さらに、くしやみが数回出た場合も呼気サンプル中のウイルス量に変化はなかったことから、くしゃみによる影響もこれまで考えていたほど大きくはないことが示された。
Milton氏は、今回の研究に関する同大学のプレスリリースで「咳やくしやみをしなくても、インフルエンザ患者が呼吸するだけで周囲の空気にウイルスが放出されることが分かった。従ってインフルエンザに感染した人が職場に現れた場合には、周囲への感染を防ぐため職場にとどまらず、すぐに帰宅してもらうべきだ」と強調、また、同氏らは「この研究結果を企業や学校、地下鉄車内の喚起システムの改善などを通じたインフルエンザ予防策の向上に生かしてほしい」としている。
この研究に関与して米サンノゼ州立大学Sheryl Ehrman氏は「部屋を隅々まで清潔にし、頻繁に手洗いをし、咳をしていう人に近づかないょうにするといった対策は、インフルエンザの感染リスクを低下させる上で一定の効果がある」としたうえで、「患者が呼吸するだけでインフルエンザウイルスが飛び散ってしまうのであれば、これらの対策だけでは完全に感染から身を守ることはできない」と話している。
NIPPON DATA80のデータ(14年間追跡)では、日本人女性において、卵の摂取量が年齢調整後の血清総コレステロ-ル(aTCH)および全死亡と関連し、男性では関連しなかったことが報告されている。今回、これらの関連について、別の日本人女性のコホート(NIPPON DATA90)で再評価した結果、卵の摂取量とがん死亡・全死亡との関連が示された。この結果から、卵の摂取量を減らすことが、少なくとも日本人女性にとっていくつかの明確な健康ベネフイットとなる可能性が示唆された。European Journal of clinical nutrition誌オンライン版2017年12月29日号に掲載。
NIPPON DATA90研究グループでは、卵の摂取量とaTCH、原因別及び全死亡との関連を、NIPPON DATA90データを用いて分析した。栄養調査は1990年のベースライン時に食物摂取頻度調査および秤量法食事記録を用いて実施された。脳卒中・心筋梗塞の既往のない30歳以上の女性4,686人(平均年齢52.8歳)を15年間追跡した。主な結果以下のとおり。
*参加者を卵の摂取量で5群(週1個未満、週1~2個、2日に1個、1日1個、1日2個以上)に分け、それぞれ203人、1,462人、1,594人、1,387人、40人であった。
*卵の摂取量はaTCHに関連していなかった(p=0.886)。
*追跡期間中、心血管疾患死亡183例、がん死亡210例、全死亡599例が報告された。
*背景因子を調整したCox分析で、卵の摂取量は全死亡とがん死亡に直接関連していた。
(1日1個群に対する1日2個以上群のハザード比:全死亡では2.25「95%CI:1.20~3.52」)
*週1~2個群のがん死亡は1日1個群よりも有意に低かった(ハザード比;0.68、95%CI:0.47~0.97)
*卵の摂取量は心血管疾患死亡と関連していなかった。
世界的に見れば、罹患率・死亡率共に減少傾向にあるといえ、依然最も診断されているがんであり、死因としは第3位の胃がん、、津金昌一郎氏(国立がん研究センター社会と健康研究センター長)が、ピロリー菌をはじめとする胃がんのリスク因子と予防について講演した。
環境要因?日本で胃がんが多い地域。少ない地域
講演で津金氏が示した日本の統計データによると、全がん種で死亡した人は、2015年に37万人、(男性22万人、女性15万人)で、このうち胃がんで死亡した人は4万6000人(男性3万人、女性1.5万人)となっており、肺、大腸について第3位だった。また罹患率については、新たに診断されたのは、2013年時点のデータで、全がん種で推定86万例(男性50万例、女性36万例)。このうち胃がんと診断されたのは推定13万例(男性9万例、女性4万例)となっており、最も多かった。ただ、年次推移を見ると、罹患率の減少と生存率の向上により、死亡率は確立に減少傾向にある。また、患者の分布を見ると、東北地方の日本海側地域に多く、九州・沖縄地域では少ない傾向があるという。津金氏は、「食生活を含めた生活習慣などの環境要因が、遺伝要因よりも影響が大きいのでは」と述べた。
リスクは知るべきだが、ピロリ菌除菌は「成人以降で」
胃がんの確実なリスク因子であるピロリ菌感染の有無は尿素呼気試験のほか、便や尿、血液の検査などで簡便にわかるようになった。
日本では、2000年に「胃潰瘍、十二指腸潰瘍」に対し、ピロリ菌の感染診断および治療が保険適用となり、13年には「ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎」に対するピロリ菌除菌も保険適用となった。
胃がんのリスク分類は4つの分類(ABC分類)が知られている。これはピロリ菌感染の有無と、萎縮性胃炎(血中のペプシノーゲン値で判明)の組み合わせに分類で、ピロリ菌感染(-)/胃粘膜の萎縮ないしは「A」、ピロリ菌感染(+)/胃粘膜の萎縮なしは「B」、ピロリ菌感染(+)/胃粘膜に委縮進行は「C」。ピロリ菌感染(+)/胃粘膜の萎縮が高度に進行は「D」と評価される。
また国立がんセンターが作成した、今後10年の胃がん罹患リスクを予測する診断ツールも有用である。年齢、性別。喫煙習慣、食習慣、胃癌の家族歴、それにピロリ菌染の有無を入力すれば、上記のABC分類のいずれに該当するかを即座に知ることができる。津金氏は、こうした手軽なツールも活用して、患者自身に胃がん予防に対する意識付けを促すことの必要性を述べる一方、リスクを低減させるピロリ菌除菌については、その有効性を認めつつ、「小児期に抗生剤を使うことがただしいのか不明な点も多い。検査や除菌、自治体や親に強制されるべきでなく、英人になって自らの判断で行うべきと考える」と私見を述べた。
これまでインフルエンザに関連した呼吸器系死亡推計は、世界で年間25~50万人とされてきた。米国疾病予防管理センターのA Danielle Iuliano氏らは「この推計値はWHOが2004年頃に公表したものだが、算出方法が不明で、1990年代のデータを用いていると推察され、各国の実情を反映していないと思われる」として、1995~2015年の各国インフルエンザ関連の呼吸器系超過死亡の推計値を用いて、最新の状況を推算した。結果、従来値より多い約29万~65万人と算出されたという。インフルエンザ関連死の推計値は、国際的なおよび各国のパブリックヘルスの優先事項を決定する際に重視されている。著者は「従来数値によって、疾病負荷が過小評価されていたかもしれない」と指摘し、「世界のインフルエンザ関連死亡に占める、呼吸器系疾患以外の死因について調査す る必要がある」」と指摘している。Lancet誌オンライン版2017年12月13日号掲載の報告。
モデリング誌を用いて世界各国のインフルエンザ死亡リスクの実情に迫る
検討は、モデリング誌を用いて行った。まず、死亡レコードとインフルエンザサーベイランスデータがある33カ国について、時系列対数線形モデルを用いて各国のインフルエンザ関連呼吸器系超過死亡率(EMR)を推算。次に、データのない国のたに外挿法を用いて推計を行うため、WHO Global Health Estimate(GHE)の呼吸器感染死亡率を用いて、各国の3つの年齢群(65歳未満、65~74歳、75歳以上)について、3つの分析部門(1~3)に分類した。
EMR 推定値のある国とない国のGHE呼吸器感染症死亡率の比較で全世界おけるインフルエンザ死亡リスクの差を明らかにするために、死亡率比(MRR)を算出。また、各年齢別分析部門内で個々の国の死亡推計を算出するために、無作為に選択した平均年間EMRと各国MRRおよび母集団を乗算して評価した 。
季節性インフルエンザ関連呼吸器系死亡は、毎年29万1,243~64万5,832例と推計
EMR推計値の得られた33カ国のデータは、全集団の57%を占めた。平均年間インフルエンザ関連呼吸器系EMRは、65歳未満群では、10万人当たり0.1~6.4にわたった。65~74歳未満群では同2.9~44.0であり、75歳以上群では17.9~223.5にわたった。季節性インフルエンザ関連呼吸器系死は、毎年29万1,243~65万5,832例(10万人当たり4.0~8.8)発生していると推計された。死亡率比が最も高いのは、サハラ以南のアフリカ(10万人当たり2.8~16.5)東南アジア(同3.5~9.2)であり、年齢群では75歳以上(同51.3~99.4)で最も高いと推定された。92カ国の5歳未満のインフルエンザ関連呼吸器系死は、毎年9,243~10万5,690例発生していると推計された。
電子タバコ(e-cigarettes)は禁煙を促進するという研究結果がある一方、喫煙開始のきっかけになるリスクを懸念する意見もある。その評価を確認すべく米国では、若年の非喫煙者の電子タバコ使用と、それに続くタバコの喫煙開始との関連性評価を目的としたコホート研究が行われた。THE American Journal of Medicine誌オンライン版2017年12月10日号に掲載。
試験概要 *前向きコホート試験、ベースライン時(2013年3月)と追試験(2014年10月)を比較。*対象;米国人の97%を代表する18~30歳の若年成人の非喫煙者のサンプリングフレームを使用*主要評価項目:電子タバコ使用者(ベースライン時)と非使用者の18カ月後の従来タバコ喫煙の廃止頻度
主な試験 *ベースラインの非喫煙者1,508人のうち915人(60.8%)追跡を完了。*ベースライン時に電子タバコを使用した非喫煙者は2.5%(3,204万393人中8万10人)であった。*従来タバコの喫煙開始頻度は、電子タバコ使用者の47.7%に対し、非利用者では10.2%(P=0.001)であった。*ベースライン時の電子タバコ使用は、18カ月時の喫煙開始の独立した関連因子であった(調整オッズ比;6.8、95% CI;1.7~28.3)。
本邦では、ニコチン含有の製品は認可されていないため状況は異なるが、筆者らは、この結果は、非喫煙者においては電子タバコの使用を減少させる政策及び教育的介入を支持するものだとしている。
傷ややけどが治る速さには概日リズム(体内時計)が関与しており、日中にできた傷は夜間にできた傷よりも早く治癒することが英医学研究会議(MRC)分子生物学研究所のNathanael Hoyle 氏らによる研究で明らかになった。
Hoyle氏らは今回、皮膚細胞(線維芽細胞および角化細胞)を用いた実験とマウスの実験を行い、日中にできた傷の方が夜間の傷よりも約2倍の速さで治癒することを確認した。また、やけど患者118人の医療記録を分析したところ、夜間(午後8時から午前8時まで)に負ったやけどは日中(午前8時から午後8時まぜ)に負ったやけどよりも治癒するまでの期間が60%長かった。こうした受傷のタイミングによる治癒速度の差は、体内時計の影響により夜間よりも日中の方が、皮膚細胞が修復のために総省部位までより早く移動するために生じることも分かった、特に日中は皮膚細胞の移動や傷の修復にかかわるアクチンなどのタンパク質の活性化が認められ、このことが創傷の治癒を早める要因であると考えられたという。Hoyle氏らは「概日リズムは皮膚細胞による創傷治癒を制御しており、日中に最適化される」と説明、また、「この研究から得られた知見は手術などの医学的処置を行う際の参考になるだけでなく、創傷の新たな治療薬の開発につながる可能性もある」としている。さらに、Hoyle氏はMRC]のプレスリースで{傷からの感染を防ぐためには皮膚の修復をいかに効率的に行うかが鍵となる。傷の治癒がいかないと、いつまでも傷が残ったり、過度の瘢痕ができたりする可能性もある}とした上で、今後さらなる研究で概日リズムと創傷治癒との関連について検討する必要性があると強調している。
以前から禁煙は疫学的にSIDSの予防に有用であると報告されている。ところで、SIDSとは、Sudden Infant Death Syndromeの略であり、乳幼児突然死症候群をさす。 厚生労働省のSIDSのガイドラインでは「それまでの健康状態および既往歴からその死亡が予測できず、しかも死亡状況調査および解剖検査によってもその原因が同定されない、原則として1歳未満の児に突然の死をもたらした症候群、突然の死亡でも原因が限定できる症例は狭義のBIDSとは言わない」との記載がある。さらにホームページには乳幼児突発性危急事態(アルテ):ALTE(Apparent Life Threateniing Event)という死亡にまで至らない病態についても言及されている。SIDSはSyndrome(症候群)であるがゆえに誘因と考えられるものも多岐にわたり厚労省のホームジにもSIDSの予防にはあおむけ寝、母乳育児、禁煙の推進が有用であり、さらに喫煙については妊娠中から控えた方がよい旨の記載もある。だからと言って、喫煙すればSIDSが必ず発症するわけでなく、さらに喫煙だけでなくSIDSのリスクとされることをすべて回避してもSIDSがなくなるわけではない。しかし、最近の文献には喫煙にはSIDSと喫煙に関し疫学的な検討だけでなく、ニコチンの暴露による循環器や脳へ悪影響が発症機序の可能性になるとした報告もみられる。そもそもリスクマネージメントの観点からすれば、危険は回避されるべきであろう。SIDSの誘因になると認識しながら喫煙するのは、夏の日にげりら豪雨を心配しておきながら傘も持たず外出し、ずぶぬれになるようなものではないだろうか。
フルーツ摂取量の増加喘息や鼻炎を予防:日本の小学生
日本の小学生を対象とした研究で、フルーツの摂取量が多いほど、呼吸器アレルギー症状を予防できる可能性があることが、滋賀県立小児保健医療センターの橋隆氏らによる研究で明らかになった。Pediatric allergy and Immunology誌 オンライン版2017年10月11日号の報告。
食事パターンがアレルギー予防と関連するという報告がある。そのため、著書らは、滋賀県近江八幡市のすべての小学校において、前向きコホート研究を実施した。対象は、7歳児(2011年時点)の759人、2011-14年までの4年連続で、アレルギー症状及び食事に関するアンケートを両親に配布し、記入を依頼した。10歳時に、吸入アレルゲンに対する特異的免疫グロブリンEを測定した。調査期間中、参加者は4つの食品群(フルーツ、野菜、魚、豆)の低摂取群、中摂取群、高摂取群に分類された。オッズ比及び95%信頼区間を推定するためにロジステイック回帰分析を行った。
主な結果は以下の通り。
*両親が4年連続でアンケートに回答した計520人の子供(68.5%)が分析対象となった。
*10歳時の喘息、鼻炎、その他のアレルギー症状の有病率は、フルーツ摂取量の増加に伴って有意に減少した。
*さらに、調査期間中のアレルギーしょうじょうの発症は、フルーツ摂取量の増加に伴い、有意に減少した(低摂取群33%、中摂取群28.3%、高摂取群14.3%、P for trend=0.01)
*10歳時のブタクサに対する感作率は、フルーツ摂取量の増加に伴って有意に減少した。
*魚摂取と喘息の新規発症との関連を除き、他の3つの食品群に有意な影響は観察されなかった。
“健康的(healthy)”と表示された食品には注意が必要かもしれない。"健康的"と表示されていても含まれている糖分が多いと、その後の間食が増える可能性があるからだ。一方、含まれている糖分の量が多くても、"自分へのご褒美(Indulgent)"というキヤツチフレーズが表示された食品の場合、後に間食が増える可能性は低いという。これらのことは米アリゾナ州立大学マーケテイング学部教授のNaomi Mandel氏らが実施した研究で明らかになった。
Mandel氏らによると、糖分の多い食物を摂取すると其の日は空腹感が高まることは以前の研究で明らかにされていた。そこで今回の研究で同氏らは、糖分の多い食品のラベルに表示された内容が、その後の空腹感にどのように影響するかについて検討した。
まず、大学生76人に2種類の「プロテインシエイク」のいずれかを飲んでもらった。これらのシエイクは、味は同じで含有するタンパク質やエネルギー量も同量だが、一方は糖分が多く脂肪分が少ないもの、もう1方は糖分が少なく脂肪分が多いものだった。シエイクを飲んだ後はビデオを鑑賞してもらい、その間にポテトチップを提供した。その結果、予想通り糖分の多いシエイクを飲んだ学生の方が食べたポテトチップの量が多かった。
次に、別の大学生193名を対象に、これら2種類のシエイクのいずれかを飲んだ学生のグループの中で、食べたトマトチツプスの量が最も多かったのは、
"健康的な生活"と表示された糖分の多い」シエイクを飲んだ学生だった。これに対し、"自分へのご褒美"と表示された糖分の多いシエイクを飲んだ学生のグループでは、その後食べたポテトチップスの量が最も少なかった。その結果について、Mandel氏らは「糖分が多くても食品のバッケージにそのことを警告する表示があれば、食べた後に襲ってくる空腹感を抑えられるが可能性が今回の研究で示された」と説明。また、同氏は「"健康的”というキャツチフレーズで販売されているが糖分の多いシリアルやヨーグルトなどを朝食にとることによる影響が特に懸念される」と話し、食品のパッケージに表示され栄養成分表とリストを確認して実際に健康的かどうか判断するよう勧めている。
朝食を抜く習慣が、一般的な心血管疾患(CV)リスク因支とは関係なく、非冠動脈性および全身性のアテローム性動脈硬化性のリスク増加と関連することが、スペイン・Centro Nacional de Investigaciones Cardovasculares
Carlos III のIrina Uzhova氏らの前向きコホート研究で示された。 Journal of the Amerucan College of Cardiology誌2017年10月10日号に掲載。
著者らは、CVリスク因子および無症候性アテローム性動脈硬化症の存在・分布・進展と、朝食パターンとの関係を調べた。
本研究は、ベースライン時にCVイベントのなかった40-54歳の成人の前向きコホート研究であるPESE(Progression of Early Subclinical Atherosclerosis)研究における横断分析。
4052人の参加者から、生活習慣、複数の血菅内イメージングデータ、臨床共変量を収集した。朝食パターンは以下の3つで検討した。
・高エネルギー朝食:朝食が1日の総エネルギー摂取量の20%超(全体の27%)
・低エネルギー朝食:朝食が1日の総エネルゴー接種量の5~20%(全体の70%)
・朝食抜き:朝食が1日の総エネルギーの5%未満(全体の3%)
多変量ロジステイック回帰モデルのよる分析の結果、朝食抜きは高エネルギー朝食と比べて、従来の食事性CVリスク因子の存在とは関係なく、非冠動脈性アテローム性動脈硬化症(オツズ比:1.55、95% CL:0.97~2.46)および全身性アテローム性動脈硬化症(オッズ比:2.57、95%
CL:1.54~4.31)の高い有病理と関連していた
インフルエンザの専門家「菅谷憲夫(けいゆう病院)」
香港や豪州の"異例の流行"から日本の今シーズンについて言えることは、香港と豪州の共通点は、A香港の流行であり、患者の中心が小さな子どもと高齢者で入院率も高い傾向を示していることです。 香港では昨冬のA香港の流行の規模は例年よりかなり小さく、その"反動"が夏に来たと言えるでしよう。
香港の医師は、ワクチンは11月頃に打つのが普通なので、効果の切れたところへ流行が来て大規模化したのではないかと言っています。
豪州の医師は、今年のA香港には変異があるのではないかと指摘しています。
香港では今夏にインフルエンザでICUに入院した成人患者582人のうち430人が死亡しています(9月9日現在)。ただ、例年より強毒というわけではないようです。日本と比べると深刻に見えますが、過去の香港のデータに照らしていえば、A香港が流行した過去の数シーズンと同等です、日本の昨シーズンはA香港が大きな流行を見せましたから、"パターン"通りなら今シーズンはH1N1pdm09の可能性が高いはずですが、今シーズンは話が違って来るかも知れません、香港と豪州の状況や、日本で9月以降に検出されているA香港の多さを踏まえると、A香港が再びくることを考えないといけない、H1N1pdm09と半々くらいなる可能性もあります。
"A香港とH1N1pdm09の両方に備える必要があるということですね"はい。臨床現場の早期診断・早期治療が例年以上に求められます。そして、ハイリスク層である小さな子どもと高齢者に対しては、しっかりワクチンを接種してほしいと思います。その上で、A香港の流行となった場合の注意点は2つ。まずワクチンの効果が成人で30~40%と低くなること、もう1つは小児と高齢者は細菌性肺炎の合併に要注意です。インフルエンザワクチンだけでなく、機会があれば肺炎球菌ワクチンの接種も進めるも良いでしょう。一方、H1N1pdm09に対しては、ワクチンの効果は60%程度と期待できます。
H1N1prom09のワクチンは昨シーズンまで2009年に分離された「カリフオルニア株」で製造されてきましたが、変異の出現を踏まえ、今シーズンは新しい株に変更されました。 H1N1pdm09の流行となった場合、若年層を中心に、重いウイルス性肺炎などの合併症が懸念されます。変異を踏まえると、H1N1pdm09に以前かかった人が再罹患することも念頭に置くべきです。 B型についてはいかがでしょう。例年の傾向からいえば、BはAが減り始める2月頃から増え始め、学級閉鎖を引き起こしたりするので、主に学童への影響に注意が必要です。 Bに対するワクチンの効果は50%前後で、A香港に比べると高齢者にも効果が出やすく、細菌性肺炎の合併率も低い。
Bは2年に1度大きな流行を起すと言われています昨シーズンに大きめの流行となったので、今シーズンはそこまで流行しないと予想します。ワクチン不足を懸念する声があります。当初使う予定だったA香港の「埼玉株」の増殖効率が予想より悪く、選び直した結果、生産開始が遅れたとのことです。
ただ、全然足りないというわけでなく、ハイリスクの層の分はある程度確保されそうですので、大きな影響は出ないでしょう。
妊娠中に携帯電話で通話しても、胎児の脳の発達に悪影響はないとするノルウエーの母子約4万5000組を対象とした研究の結果が「BMC Public
Health」9月5日オンライン版に掲載された。この研究では、妊娠中に母親が携帯電話を使用しても、その後生まれた子供が3歳及び5歳になった時の言語能力や運動能力への影響は認められなかったという。
今回の研究を実施したノルウエー公衆衛生研究所のEleni Papadopoulou氏によると、以前報告された研究結果を受け、携帯電話などから放出される電磁波が胎児に悪影響を与える可能性が懸念されてきた、ただ、これ等の研究は多くが動物実験で、結果も一貫していないという。
そこで同氏らは、1999年から2008年までに登録された妊娠中期の女性とその子ども計4万5389組のデータを用い、妊娠初期の携帯電話を使用した通話の頻度と子どもの3歳及び5歳の時点の言語能力やコミユニケーション能力、運動能力を評価した。
その結果、3歳時点の評価では、妊娠中に携帯電話を使用していなかった母親から生まれた子どもと比べ、使用していた母親から生まれた子どもでは、複雑な文を話せないリスクが27%、正しい文法で話せないリスクが14%低く、中等度の言語発達遅滞がみられるリスクも31%低かった。さらに、運動能力の低下リスクについても、妊娠中に携帯電話をしていなかった母親から生まれた子どもと比べ、使用していた母親から生まれた子どもでは低かった。ただし、5歳時点ではこのような関連は認められなかったという。
この研究結果は因果関係ではなく、関連を示しているに過ぎないが、Papadopoulou氏は「今回の研究では妊娠中の携帯電話の使用が胎児の言語やコミユニケーシヨン、運動の能力に悪影響を与えるとする仮説を支持する結果は得られなかった」と説明。また、むしろ妊娠中に携帯電話を使用していた母親から生まれた子どもの方が、発達レベルが高かったとする結果に関しては、「今回の研究で考慮されなかった社会的背景や家庭環境が影響した可能性もあり、慎重な解釈が必要だ」とした上で、「少なくとも妊娠中の携帯電話の使用について母親が抱いている不安を軽減する結果と言えるだろう」と話している。
幼い子どもに野菜好きになって欲しければ、母親が授乳中に野菜を食べておくと良いかもしれない。{American journal of Clinical
Nutrition}7月号に掲載された研究で、母親が授乳前に野菜ジユースを飲むと母乳が野菜の風味になり、その母乳を飲んだ子どもは後に同じ味のする食べ物を嫌がる可能性が低くなることが示された。
今回の研究では、母乳育児中の母子97組を5つのグループにランダムに割り付け、第1~第4グループの母親には授乳前に野菜ジュース(ニンジン、セロリ、ピートなど)を半カップ飲んでもらうことにした。 その時期は、第1~第3グループではそれぞれ子どもの生後2週間目、1.5ヵ月目、2.5ヵ月目から1ヵ月間とし、第4グループでは生2週間目から3ヵ月間とした。第5グループは水を飲む対照群とした。
子どもの離乳後(生後8ヵ月頃)、母親が子どもに対してプレーンまたはニンジン風味、ブロッコリー風味の離乳食用シリアルを与える様子をビデオ撮影し、子どもの嫌がるサイン(鼻にしわを寄せる、唇を尖らせる、顔をしかめる、スプーンを強く拒絶するなど)を観察した。
その結果、野菜風味の母乳を飲んだ子どもはプレーンなシリアルや不慣れなブロッコリー風味のシリアルよりも、ニンジン風味のシリアルを好むことが分かった。また、最後2週目から1ヵ月間、野菜風味の母乳を飲んだ子どもは、他のグループの子どもに比べてニンジン風味のシリアルをより多く、より勢いよく食べていた、この結果について研究では「生後数週間は授乳の頻度が高いためか、もしくは味覚の形成に影響を及ぼし易い時期であるためだろう」と推測している。
なお、母親の野菜摂取量は研究期間中を通して変化しておらず、8割が推奨量を満たしていなかったが、母親は次第に野菜ジュースの味を好むようになっていた。 そのため、その後も子どもに健康的な食べ物を与え続ける可能性が高まっているかも知れないという。
研究を率いた米Monell Chemical Senses
CenterのMenncella氏は「乳児の感覚的経験はそれぞれの児に固有のものだが、味覚の経験は子宮内にいるうちから始まり。母親が食べた物による影響を受ける。母親から与えられる母乳は精密医療の極致といえるだろう」と述べている。母親が野菜を食べると、其の風味が洋水や母乳に移行し、子どもに伝わる。それにより子どもが早期から野菜の味を学べば、固形食を取り始めたときにいやがりにくくなる可能性があるという。
米国栄養・食事療法学会(AND)スポークスパーソンのJennifer
McDaniel氏は「他にも複数の研究で、母乳育児により食べ物の好き嫌いを少なく出来る可能性が示されている。しかし、母乳育児をできない母親は自分を責めなくて良い。健康的で多様性に富む食事を与えれば、子どもは異なる味や食感を経験して受け入れていき、選り好みしない健康的な食事パターンを身につけられる可能性が高い」とアドバイスしている。
最近、腸管出血性大腸菌感染症に関して、連日、テレビや新聞紙上で報道されています。
この感染症は、1982年、米国ミシガン州とオレゴン州で、同じファミリーレストラン・チェーンのハンバーガーによる大腸菌O157;H7集団食中毒が世界で始めて発生した。
その後米国全域で患者と死者が出るようになり、現在も米国全域で患者と死者が出ており、現在、世界全域で患者の報告があり、地域的な偏りはない。
我が国では、1990年埼玉浦和市の幼稚園で、井戸水汚洗による事件が発生し、患者数319人、死者2人を出した。1996年には全国で爆発的発性が見られた。
更生省の報告では、この年の患者総数は17,877人、死者12人、特に大阪府堺市では小学校給食がO157;H7に汚染したために、100,000を超える患者が発生した。世界最大の歴史的な事件であった。
その後も、毎年患者の報告があり、季節的には夏期に多いが、冬期でも患者は発生している。
最近の傾向としては、合併症としての溶血性尿毒症症候群(HUS)は小児に多く、死亡例は高齢者に多い。
ベロ毒素(VT)を産生する大腸菌は、我が国では、多くがO157血清型に属する。本菌はウシの大腸に生息している。それらの腸内容物で汚染された商品(生肉や野菜、特に芽野菜など)や水を介して経口感染する、感染菌量が数10個~約100個と少ないため、患者や保菌者の便からの2次感染もしばしば起きる。潜伏期は2~14日(平均3~5日)。
臨床症状:腸管病変;出血性大腸炎;水様性下痢と腹痛で発症、血便、発熱、殴気、嘔吐、翌日には血便、重症例では鮮血を多量頻回(出血性大腸炎)、腸重積、中垂炎、を合併、
合併症;発症1週後、約10%にHUSを発症、(乳幼児・高齢者)
治療;腸炎には安静、水分補給、経口摂取不可能・重症患者には輸液、止痢剤は控える、HUSには腹膜透析、
抗菌薬:小児;ホスホマイシン・カナマイシン、成人;ニューキノロン、ホスホマイシン。
O157食中毒予防のポイント;肉や魚はポリ袋や容器に入れて冷蔵庫に、手は調理前や排便後などこまめに洗う、野菜は良く洗う、冷凍食品は使う分だけ解凍し、解凍後すぐに調理する、調理前の食品や調理後の食品は、室温に長く放置しない、残った食品は怪しいと思ったら食べずに捨てる。
(スタンフォード大学医学部教授・西野精冶氏)
「睡眠の質を最大限に高める」ことを突きつめたメソッドは「最初の90分」を深くせよ!である。人は眠りに落ちてから眼覚めるまで、ずっと同じょうに眠っているわけではない。眠りにはレム睡眠(脳は起きていて体が眠っている睡眠)とノンレム睡眠(脳も体も眠っている睡眠)の2種類があり、それを繰り返しながら眠っている。寝ついたあと、すぐに訪れるのはノンレム睡眠。とりわけ最初の90分間のノンレム睡眠は、睡眠全体の中でも最も深い眠りである。この段階の人を起こすのは非常に難しく、無理に起すと頭がすっきりしない。脳波を測定すると、非活動状態であることを示す「大きくて、徐行運転のようなゆっくりした波形」が出現するので「除波睡眠」とも呼ばれている。そして、入眠後およそ90分後に訪れるのが最初のレム睡眠。まぶたの下で眼球が素早く動く「急速眼球運動」が見られ、このタイミングで(割と現実的な)夢を見たりする。レム睡眠中は意識はないが、比較的簡単に起すことができる。ちなみに、レムとは「急速眼球運動(Rapid
Eye
Movement)の略だ。この「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」が明け方位までに4,5回繰り返し現れ、明け方になるとレム睡眠の出現時間が長くなるのが通常のパターンだ。この浅くて長い明け方のレム睡眠の出現時に目覚めるのが、自然の流れである。ノンレム睡眠は入眠直後が最も深いが、逆に明け方に近づくにつれ、眠りは浅くなり持続時間も短くなる。睡眠メンテナンスで意識したいのが、「最初のノンレム睡眠」をいかに深くするかということ。ここで深く眠れば、その後の睡眠リズムも整うし、自律神経やホルモンの働きも良くなり、翌日のパフォマンスも上がる。つまり、入眠直後のもつとも深い眠りの90分が、最高の睡眠の鍵を握っているのだ。
寝始めが作る「最強ホルモン」「最初の90分が眠りのゴールデンタイム」と言われているが、まさに黄金だ。例えば、成長ホルモンがもっとも多く分泌されるも、最初のノンレム睡眠が訪れたとき、この一番深いノンレム睡眠の質が悪かったり、外部から阻害されると、成長ホルモンは正常に分泌されない。成長ホルモンは、そのなの通り子どもの成長に関与するだけではない。大人の細胞の増殖や正常な代謝を促進させる働きがある「アンチエイジングに効果がある」などとも言われている。また、長く起きていると「眠りたい」という睡眠欲求(「睡眠圧」)が高まってくるが、最初のノンレム睡眠でその睡眠圧の多くが解放されることもわかっている。黄金の90分の質を高めれば、すっきりした朝を迎えられる。昼間の寝気も消える。さらに「しっかり寝たはずなのに。疲れがとれない」こともなくなる。この90分は睡眠に欠かせない。最大基礎なのである。